A.原則として、建替えや新築には適用されません。介護保険の住宅改修制度と、住宅の建替え支援は別の制度です。
要支援・要介護認定を受けていても、古い家を解体して新築する費用や、新築時に設置する手すり・スロープなどは、原則として介護保険の対象外です。
介護保険の住宅改修制度は、現在住んでいる既存住宅を、本人の身体状況に合わせて小規模に改修するための制度だからです。
建替えと住宅改修の違い
| 比較項目 | 建替え | 介護保険の住宅改修 |
|---|---|---|
| 工事内容 | 古い住宅を解体して新築 | 現在の住宅を部分的に改修 |
| 介護保険の対象 | 原則対象外 | 要件を満たせば対象 |
| 主な対象者 | 年齢・認定を問わない | 要支援・要介護認定者 |
| 対象費用 | 解体・設計・建築・設備など | 手すり・段差解消など |
| 支給限度基準額 | なし | 原則20万円 |
| 申請時期 | 建替え補助ごとに異なる | 必ず工事着工前 |
| 相談先 | 建築会社・自治体建築担当課 | ケアマネジャー・介護保険課 |
介護保険で対象となる主な住宅改修
介護保険の対象となる工事は、原則として次の6区分です。
- 手すりの取り付け
- 段差の解消
- 滑りにくい床材などへの変更
- 開き戸から引き戸などへの交換
- 和式便器から洋式便器などへの交換
- 上記工事に付帯して必要となる工事
例えば、廊下やトイレの手すり、玄関の小さな段差解消、浴室の滑りにくい床への変更などが該当します。
支給限度額はいくら?
介護保険の住宅改修では、原則として工事費20万円が支給限度基準額です。
| 自己負担割合 | 最大支給額 | 自己負担額 |
|---|---|---|
| 1割負担 | 18万円 | 2万円 |
| 2割負担 | 16万円 | 4万円 |
| 3割負担 | 14万円 | 6万円 |
20万円を超える工事費は、原則として全額自己負担です。
また、1回につき20万円ではなく、原則として同じ利用者・同じ住宅における累計額です。転居や要介護度が大きく上がった場合には、再度利用できる特例があります。厚生労働省「居宅介護住宅改修費等の支給」
要介護認定を受けていれば新築時にも使える?
要介護認定を受けていても、新築工事には原則として使えません。
例えば、新築時に次の設備を採用しても、一般的には介護保険の対象外です。
- 廊下やトイレの手すり
- 玄関スロープ
- 段差のない床
- 引き戸
- 車椅子対応トイレ
- バリアフリーユニットバス
- ホームエレベーター
- 車椅子用の広い廊下
- 介護用寝室
これらは介護のために必要な設備であっても、新築住宅の建築費・資産形成の一部と判断されるためです。
増築なら対象になりますか?
居室やトイレ、浴室などを新たに増築する費用も、原則として対象外です。
ただし、増築工事と同時に行う次のような工事は、対象部分を明確に分けることで認められる場合があります。
- 拡幅した廊下への手すり設置
- 拡張したトイレでの便器交換
- 出入口部分の段差解消
- 開き戸から引き戸への交換
増築工事一式ではなく、介護保険対象部分だけを分けた見積書が必要です。最終判断は市町村が行います。
建替え後に身体状況が変わった場合は?
新築・建替え完成後に生活を始め、その後に身体状況が変化して新たな改修が必要になった場合は、介護保険を利用できる可能性があります。
例えば、入居後に次の工事が必要になった場合です。
- 廊下に手すりを追加する
- 玄関へスロープを設置する
- 開き戸を引き戸に変更する
- トイレへ立ち上がり用手すりを設置する
- 浴室の段差を解消する
ただし、完成直後に補助金目的で設備を後付けする計画は認められない可能性があります。本人の身体状況と、改修の必要性に基づいて判断されます。
建替えでは、どの補助制度を確認すべき?
介護保険ではなく、次のような建替え・新築向け制度を確認します。
耐震建替え補助
宮崎市では、1981年5月31日以前に着工した一定の木造住宅について、耐震診断の評点が1.0未満などの条件を満たす場合、建替え補助を受けられる年度があります。
2026年度は上限38万円でしたが、受付は終了しています。翌年度の実施は改めて確認が必要です。
省エネ住宅補助
2026年度の「みらいエコ住宅2026事業」では、一般的なシニア世帯でもGX志向型住宅なら、宮崎県の多くの地域で110万円の補助対象になる可能性があります。
太陽光・蓄電池補助
宮崎県の「ひなたゼロカーボン加速化事業」では、太陽光発電や蓄電池などへの補助があります。
これらは介護保険とは別制度で、住宅性能、既存住宅の築年数、設備、所在地などによって対象が決まります。
宮崎市には介護保険以外の住宅改修支援もある
宮崎市では、一定所得以下の要支援・要介護認定者を対象に、市独自の「高齢者等居宅介護住宅改修補助事業」を設けています。
- 対象額は1住宅につき上限20万円
- 世帯の課税状況により補助率が異なる
- 介護保険対象工事の超過部分などを支援
- 浴室改修、移動・介護スペースの確保なども対象になる場合がある
- 必ず着工前の申請が必要
ただし、こちらも現在住んでいる既存住宅の改修を支援する制度であり、新築・建替え費用を補助する制度ではありません。
建替え時に準備しておきたいこと
補助対象にならなくても、新築時に将来の介護を考えておけば、後の改修費を抑えられます。
新築時から採用したいもの
- 1階だけで生活できる間取り
- 寝室からトイレまでの短い動線
- 室内の段差解消
- 引き戸
- 滑りにくい床
- 浴室・脱衣室・トイレの温度差対策
- 車椅子でも通りやすい出入口
- 玄関スロープを設置できるスペース
後付けに備えたいもの
- 廊下・トイレ・浴室の手すり用下地
- 介護ベッド用コンセント
- 見守り設備用の電源・配線
- 天井走行リフトを想定した構造補強
- 洗面台を車椅子対応型へ交換できるスペース
- 将来のスロープ・昇降機設置スペース
手すりは本人の身長、利き手、麻痺の状態などで適切な位置が変わるため、広い範囲に下地を入れ、必要になった時点で設置する方法も有効です。
申請前に工事を始めない
介護保険住宅改修を利用するときは、次の順番が基本です。
- ケアマネジャーまたは地域包括支援センターへ相談
- 本人の身体状況と必要な工事を確認
- 見積書・図面・工事前写真を準備
- 住宅改修が必要な理由書を作成
- 市町村へ事前申請
- 着工承諾後に工事開始
- 完成後に領収書・写真などを提出
- 住宅改修費の支給
事前申請をせずに工事を始めると、原則として支給されません。
結論
介護保険の住宅改修制度は、建替え補助とは別物です。
- 新築・建替え費用:原則対象外
- 新築時の手すり・スロープ:原則対象外
- 既存住宅の段差解消や手すり設置:対象になる可能性あり
- 支給限度基準額:原則20万円
- 対象者:要支援・要介護認定者
- 申請:必ず工事着工前
- 建替え後に新たな改修が必要になった場合:利用できる可能性あり
建替え時は介護保険を資金計画に入れず、耐震・省エネなどの新築向け補助制度を確認しながら、将来の介護改修がしやすい設計にしておくことが現実的です。
※制度内容は2026年8月16日時点です。








