A.住宅性能は「不具合が起こりにくく、快適に暮らすための設計・施工水準」、長期保証は「対象となる不具合が起きた場合に、定められた条件で補修などを受ける制度」です。
性能が高ければ劣化や不具合のリスクを抑えやすくなりますが、自動的に保証期間が長くなるわけではありません。また、長期保証が付いているだけで、高性能住宅だと判断することもできません。
住宅性能と保証の違い
| 項目 | 住宅性能 | 長期保証 |
|---|---|---|
| 主な目的 | 快適性・安全性・耐久性の確保 | 不具合発生時の補修対応 |
| 確認方法 | 等級・計算・実測・評価書 | 保証書・約款・契約書 |
| 代表例 | 断熱等級、UA値、C値、耐震等級 | 構造保証、防水保証、設備保証 |
| 判断時期 | 設計・施工・完成時 | 不具合が起きたとき |
| 重要な条件 | 設計・施工精度 | 対象範囲・免責・点検・更新 |
| 長期間の維持 | 点検・修繕が必要 | 指定点検や有償工事が必要な場合がある |
簡単に表すと、次のような関係です。
住宅性能=不具合を予防する力
長期保証=対象となる不具合が起きた後に対応する仕組み
どちらか一方だけでなく、両方を確認することが重要です。
高性能住宅なら長期保証も自動的に付きますか?
自動的には付きません。
例えば正式な耐震等級3、断熱等級6、優れた防水仕様を採用していても、住宅会社の保証制度が10年であれば、契約上の保証期間は原則としてその内容に従います。
反対に「最長60年保証」と表示されていても、断熱等級や気密性能、耐震等級が高いとは限りません。
次の項目はそれぞれ別に確認しましょう。
- 住宅の設計性能
- 現場の施工品質
- 第三者評価・検査
- 初期保証期間
- 保証延長条件
- 定期点検
- 有償メンテナンス
- 不具合発生時の補修体制
新築住宅には法律上の10年責任があります
新築住宅では、住宅会社などが「構造耐力上主要な部分」と「雨水の浸入を防止する部分」の瑕疵について、原則として引渡しから10年間の責任を負います。
構造耐力上主要な部分の例
- 基礎
- 土台
- 柱
- 梁
- 耐力壁
- 床版
- 屋根版
- 構造上重要な接合部
雨水の浸入を防止する部分の例
- 屋根
- 外壁
- 開口部
- 屋根・外壁の防水層
- 雨水を排除するための配管の一部
国土交通省は、新築住宅の基本構造部分について10年間の瑕疵担保責任があることを示しています。国土交通省「住宅品確法のポイント」
また、住宅事業者には、この責任を確実に果たすため、保証金の供託または住宅瑕疵担保責任保険への加入による資力確保が求められます。国土交通省「新築住宅に関する法制度」
法律上の10年責任は、住宅全体が対象ですか?
いいえ。住宅のすべての不具合が10年間保証されるわけではありません。
法律上の10年責任は、主に構造耐力と雨水浸入防止に関する瑕疵が対象です。
| 不具合の例 | 法律上の10年責任 |
|---|---|
| 構造に影響する基礎の欠陥 | 対象になる可能性 |
| 耐力壁などの重大な施工不良 | 対象になる可能性 |
| 屋根・外壁の施工不良による雨漏り | 対象になる可能性 |
| クロスの隙間・傷 | 通常は別の保証基準 |
| 建具の調整 | 通常は別の保証基準 |
| 給湯器の故障 | 設備・メーカー保証 |
| 外壁の色あせ | 材料・塗膜保証など |
| シロアリ被害 | 防蟻保証など |
| 地盤沈下 | 地盤保証など |
| 台風・洪水・地震による被害 | 火災・地震保険など |
例えば外壁のシーリングが剥がれただけでは、直ちに法律上の10年責任の対象になるとは限りません。しかし、その不具合によって雨漏りが生じる場合は、雨水浸入防止部分の瑕疵として対象になる可能性があります。住まいるダイヤル「外壁シーリングの保証」
最終的には原因、契約内容、保証基準、現地調査によって判断されます。
住宅会社の長期保証とは何ですか?
住宅会社が独自に、法律上の10年を超えて構造・防水などを保証する制度です。
ただし、次の2つは意味が異なります。
初期20年保証
引渡しから20年間を、最初から一定条件で保証する制度です。
最長60年保証
一定期間ごとに点検・補修・更新手続きを行うことで、保証を延長し続けた場合の最長期間です。
「最長60年」と表示されていても、最初から無条件で60年間保証されるとは限りません。
「初期保証」と「最長保証」を区別する
| 表示 | 確認したい内容 |
|---|---|
| 10年保証 | 法律上の責任か、独自保証か |
| 初期20年保証 | 20年間の途中で有償工事が必要か |
| 30年保証 | 最初から30年か、10年ごとの更新か |
| 最長60年保証 | 何年ごとに更新するか |
| 永年保証 | 対象・条件・終了事由は何か |
広告では大きく「60年保証」と書かれ、細かい部分に「最長」と記載されている場合があります。
保証期間を見るときは、次のように質問しましょう。
「有償メンテナンスを一度も行わなかった場合、何年まで保証されますか?」
この質問をすると、実質的な初期保証期間が分かりやすくなります。
長期保証を維持するには何が必要ですか?
住宅会社の長期保証では、一般的に次の条件が設けられることがあります。
- 指定時期の定期点検を受ける
- 住宅会社が必要と判断した補修を行う
- 指定業者による有償メンテナンスを行う
- 屋根・外壁・防水を定期的に更新する
- シーリングを補修する
- 防蟻処理を更新する
- 点検記録・修繕記録を保存する
- 無断で増改築しない
- 他社工事による保証対象部分の変更を届け出る
- 不具合発見後、速やかに連絡する
必要な点検や工事を行わなかった場合、保証が延長されない、または保証対象外になることがあります。
保証延長のための有償工事はいくらかかりますか?
必要な金額は、住宅会社、屋根・外壁材、建物規模、劣化状態によって異なります。
保証延長の時期に、次の工事が提案される可能性があります。
- 屋根塗装・補修
- 外壁塗装
- シーリング交換
- バルコニー防水
- 防蟻再処理
- 雨どい補修
- 防水部材の交換
- 給湯・換気設備の更新
契約前に正確な将来費用を確定するのは難しいものの、次の資料があるか確認しましょう。
- 長期修繕計画
- 点検スケジュール
- メンテナンス費用の概算
- 保証延長条件
- 指定工事の一覧
- 工事を断った場合の取り扱い
長期保証を選ぶときは、保証年数だけでなく、保証を維持するための総費用まで考えることが大切です。
高い住宅性能は保証とどう関係しますか?
高い住宅性能は、保証対象になるような不具合の発生リスクや、建物の劣化リスクを抑えることにつながります。
耐震性能
正式な耐震等級3で、構造材・面材・金物が正しく施工されていれば、地震に対する安全性を高められます。
ただし、地震による被害は、通常の構造保証ではなく、地震保険や保証約款の災害規定が関係する場合があります。
耐震等級3だから、地震被害を住宅会社がすべて無償補修するという意味ではありません。
断熱・気密性能
断熱材が隙間なく施工され、気密・換気・防湿が適切なら、表面結露や壁内結露のリスクを抑えやすくなります。
しかし、次のような内容が長期保証の対象になるとは限りません。
- 冬に期待したほど暖かくない
- 夏の2階が暑い
- 光熱費がシミュレーションより高い
- C値が経年変化した
- 窓に結露した
- 湿度が高い
温熱環境に関する数値を保証する場合は、契約書や性能保証書へ明記されている必要があります。
防水性能
下葺き材、透湿防水シート、窓まわり、配管貫通部などが正しく施工されていれば、雨漏りリスクを抑えられます。
雨漏りは法律上の10年責任と関係しますが、経年劣化やメンテナンス不足、災害、無断改修などが原因の場合は、保証判断が変わる可能性があります。
防蟻性能
防蟻シート、薬剤処理、配管貫通部処理などによって、シロアリ被害のリスクを抑えられます。
ただし、防蟻保証は一般的な構造保証とは別制度であることが多く、対象となるシロアリ、保証限度額、点検・更新条件が定められています。
性能が高ければ、保証を使わなくて済む家になりますか?
高い性能と正しい施工は、不具合を減らす方向に働きます。しかし、自然災害、経年劣化、設備故障、使用方法など、設計性能だけでは防げない問題もあります。
住宅の安心は、次の5つの組み合わせで考えます。
- 適切な設計
- 正しい施工
- 工事中・完成時の検査
- 保証・保険
- 入居後の点検・メンテナンス
長期保証は、設計や施工品質の代わりではありません。
長期優良住宅なら長期保証も付きますか?
長期優良住宅の認定と、住宅会社の長期保証は別制度です。
長期優良住宅は、耐震性、省エネ性、劣化対策、維持管理、住戸面積、維持保全計画などについて、一定の基準を満たした住宅です。
しかし、認定を取得したからといって、住宅会社の構造・防水保証が自動的に30年や60年になるわけではありません。
反対に、長期保証が付いていても、その住宅が認定長期優良住宅とは限りません。
| 制度 | 主な意味 |
|---|---|
| 長期優良住宅 | 長期使用に必要な性能・維持保全計画の認定 |
| 住宅性能評価 | 住宅性能を共通基準で評価 |
| 瑕疵担保責任 | 構造・雨水浸入部分への法定責任 |
| 住宅会社の長期保証 | 会社独自の保証制度 |
| メーカー保証 | 建材・設備製品への保証 |
保証があっても対象外になりやすいもの
保証内容は会社によって異なりますが、次のようなものが免責・対象外になる場合があります。
- 経年劣化
- 通常使用による摩耗
- 台風・洪水・地震などの自然災害
- 火災
- 施主による不適切な使用
- 手入れ不足
- 必要な点検・補修を受けていない
- 他社による増改築・穴開け
- エアコン・太陽光設備などの後付け工事
- 結露やカビ
- 害虫・動物による被害
- 地盤保証の対象外となる周辺地盤の変動
- 植栽・外構・擁壁
- 保証期間を過ぎた設備故障
例えば、台風で屋根材が直接破損した場合と、施工不良によって台風時に雨漏りした場合では、保証・保険の判断が異なる可能性があります。
保証と保険は何が違いますか?
| 項目 | 保証 | 保険 |
|---|---|---|
| 主な提供者 | 住宅会社・メーカー | 保険会社・保険法人 |
| 目的 | 契約条件に基づく補修 | 偶然な事故等に対する金銭的補償 |
| 例 | 構造保証・設備保証 | 瑕疵保険・火災保険・地震保険 |
| 対象 | 保証書に定めた範囲 | 保険約款に定めた範囲 |
| 自然災害 | 対象外の場合が多い | 火災・地震保険などで検討 |
| 会社倒産時 | 制度によって異なる | 瑕疵保険では直接請求できる場合がある |
長期保証だけで、地震、台風、洪水、設備故障まで全部補償されるわけではありません。
保証内容に合わせて、火災保険、地震保険、水災補償なども検討します。
住宅保証にはどのような種類がありますか?
| 保証・保険 | 主な対象 |
|---|---|
| 構造保証 | 基礎・柱・梁・耐力壁など |
| 防水保証 | 屋根・外壁などからの雨水浸入 |
| 瑕疵保険 | 構造・雨水浸入部分の瑕疵 |
| 地盤保証 | 対象となる不同沈下 |
| 防蟻保証 | 対象シロアリによる被害 |
| 設備保証 | キッチン・給湯器・トイレなど |
| 防水材・外壁材保証 | 対象製品の材料・塗膜など |
| 太陽光発電保証 | パネル・出力・機器 |
| 完成保証 | 工事中に事業者が倒産した場合など |
| 火災保険 | 火災・風災・水災など契約範囲 |
| 地震保険 | 地震・噴火・津波による損害 |
「住宅保証20年」と書かれていても、これらのすべてが20年間保証されるとは限りません。
保証期間より重要な確認項目
1.誰が保証するのか
- 住宅会社
- フランチャイズ本部
- 保証会社
- 瑕疵保険法人
- 建材メーカー
- 設備メーカー
- 地盤保証会社
- 防蟻保証会社
住宅会社が廃業した場合も保証が続くのか確認しましょう。
2.何を保証するのか
- 構造
- 防水
- 地盤
- 防蟻
- 設備
- 仕上げ
- 断熱・気密性能
「建物保証」という曖昧な言葉ではなく、対象部位を確認します。
3.初期保証は何年か
- 無条件で何年保証されるか
- 何年目から更新が必要か
- 最長年数まで何回更新するか
4.補修費用はどこまで出るか
- 調査費
- 解体費
- 補修費
- 内装復旧費
- 仮住まい費
- 引越し費
- 保証限度額
- 自己負担額
原因調査だけ対象で補修費が十分でない、または駆除費のみで構造材の修復費が含まれない制度もあります。
5.点検・更新条件
- 無料点検か有料点検か
- 必須の点検時期
- 指定工事の有無
- 他社で補修した場合
- 点検を一度忘れた場合
- 売却・相続時の名義変更
デザインハウス宮崎の住宅性能と保証の考え方
デザインハウス宮崎では、保証年数だけを長く見せるのではなく、まず不具合を起こしにくい住宅性能と施工を重視しています。
- 面で建物を支える2×4工法
- 正式な耐震等級3
- ZEH水準を標準仕様
- 断熱等級6を推奨
- 高性能グラスウール「アクリアα」
- 日本スティーベルのダクトレス第一種熱交換換気
- 軒による日射・雨掛かり対策
- 屋根・外壁・窓まわりの防水施工
- ターミダンシートによる防蟻・防湿対策
- 地盤調査費をコミコミ価格に含める
ターミダンシートについては、所定の施工・申請・点検条件に基づくシロアリ20年保証を標準としています。
ただし、シロアリ20年保証は、建物の構造・防水・設備すべてを20年間保証するものではありません。保証対象、限度額、免責事項、10年時の点検・更新条件などは、実際に交付される保証書で確認する必要があります。
構造・防水、地盤、設備などについても、それぞれ保証主体と保証書が異なるため、引渡し時に一覧にして説明・保管することが重要です。
契約前に住宅会社へ確認したい質問
- 法律上の10年責任以外に、どの保証がありますか
- 構造と防水の初期保証は何年ですか
- 広告の「最長保証」と初期保証はどう違いますか
- 保証延長には何年ごとの点検が必要ですか
- 点検は無料ですか、有料ですか
- 保証延長に有償工事は必要ですか
- 有償工事の概算費用を提示できますか
- 必要な工事を行わない場合、どの保証が終了しますか
- 住宅会社が廃業した場合も保証されますか
- 保証限度額と自己負担額はいくらですか
- 調査費・補修費・仮住まい費は対象ですか
- 地震・台風・洪水は保証対象ですか
- 結露・カビ・シロアリは対象ですか
- 設備保証はメーカー保証と別にありますか
- 太陽光発電・換気設備の保証期間は何年ですか
- 他社でリフォームした場合、保証はどうなりますか
- 売却・相続後も保証を引き継げますか
- 点検・修繕履歴はどのように保存しますか
引渡し時に受け取りたい保証書
- 住宅瑕疵担保責任保険の付保証明書
- 構造保証書
- 防水保証書
- 地盤保証書
- 防蟻保証書
- 住宅設備保証書
- 各メーカー保証書
- 太陽光発電・蓄電池の保証書
- 屋根材・外壁材の保証書
- 定期点検スケジュール
- 保証延長条件
- 長期修繕計画
- 問い合わせ先一覧
保証書は紙だけでなく、データ化して家族とも共有しておくと、売却や相続時にも役立ちます。
まとめ
- 住宅性能と長期保証は同じものではない
- 住宅性能は不具合を予防し、保証は発生後に対応する仕組み
- 高性能住宅でも保証期間が自動的に長くなるわけではない
- 長期保証があっても、高性能住宅とは限らない
- 新築住宅の法定10年責任は、主に構造と雨水浸入防止部分が対象
- 内装・設備・地盤・防蟻などは別の保証になる
- 「初期20年」と「最長60年」は意味が異なる
- 長期保証の延長には、点検や有償メンテナンスが必要な場合がある
- 長期優良住宅の認定と住宅会社の長期保証は別制度
- 耐震等級3でも地震被害がすべて無償補修されるわけではない
- 保証期間だけでなく、対象・限度額・免責・更新条件を確認する
- 性能・施工・検査・保証・維持管理をセットで考える
結論として、安心できる住宅とは「保証が長いだけの家」ではありません。不具合を起こしにくい性能と施工があり、その状態を点検・修繕で維持し、万一のときに実際に使える保証が用意された家です。








