A.はい。完成後でも、気密性能、室温、換気量、設備の動作、防水状態などを確認する方法があります。ただし、耐震構造や断熱材の施工状態など、完成すると壁・床・天井の中へ隠れる部分は、完成後の検査だけでは十分に確認できません。
そのため、高性能住宅では「完成後に測定すること」と「工事中に確認して記録を残すこと」の両方が重要です。
完成後に確認できる性能・確認しにくい性能
| 性能項目 | 完成後の確認 | 主な確認方法 |
|---|---|---|
| UA値・断熱等級 | 書類で確認 | 外皮計算書・性能評価書 |
| 断熱材の施工状態 | 一部確認可能 | サーモグラフィー・小屋裏点検 |
| C値 | 実測可能 | 気密測定 |
| 換気性能 | 実測可能 | 給排気風量測定 |
| 室温・湿度 | 実測可能 | 温湿度計・データロガー |
| 省エネ性能 | 書類・使用実績 | BELS・一次エネルギー計算・電気使用量 |
| 耐震等級 | 主に書類で確認 | 性能評価書・構造計算書・施工記録 |
| 構造材の施工 | 完成後は限定的 | 床下・小屋裏・点検口・施工写真 |
| 防水性能 | 一部確認可能 | 目視・含水率・専門調査 |
| 防蟻施工 | 主に記録で確認 | 保証書・施工写真・床下点検 |
| 防音性能 | 実測可能 | 専門的な騒音測定 |
| 設備性能 | 動作確認可能 | 試運転・設定・計測 |
1.書類で住宅性能を確認する
完成後に最初に確認したいのは、住宅会社から受け取る性能関係の書類です。
確認したい主な書類
- 確認済証
- 検査済証
- 設計図・竣工図
- 仕様書・仕上表
- UA値・ηAC値の計算書
- 一次エネルギー消費量計算書
- BELS評価書
- 設計住宅性能評価書
- 建設住宅性能評価書
- 長期優良住宅の認定関係書類
- 構造計算書・構造図
- 耐震等級を証明する書類
- 気密測定報告書
- 地盤調査報告書
- 地盤保証書
- 住宅瑕疵担保責任保険の付保証明書
- 防蟻工事の保証書
- 施工中の写真
- 設備機器の保証書・取扱説明書
「高性能住宅です」という説明だけではなく、どの性能がどの書類で証明されているかを確認しましょう。
検査済証があれば高性能住宅と確認できますか?
検査済証は重要な書類ですが、それだけで断熱等級6や耐震等級3などの高い性能を証明するものではありません。
検査済証は、建築確認を受けた計画について、完了検査により建築基準関係規定への適合を確認した書類です。
一方、次の性能については、それぞれ別の資料が必要です。
| 確認したい性能 | 主な資料 |
|---|---|
| 断熱等級 | 外皮計算書・住宅性能評価書など |
| ZEH水準 | BELS評価書・省エネ性能証明書など |
| 耐震等級3 | 住宅性能評価書など契約に応じた証明書 |
| C値 | 気密測定報告書 |
| 防蟻保証 | 防蟻施工保証書 |
| 地盤保証 | 地盤保証書 |
建築基準法へ適合していることと、住宅会社が表示する高性能仕様が実現していることは、分けて確認する必要があります。
2.建設住宅性能評価書で確認する
住宅性能表示制度には、次の2段階があります。
| 評価書 | 確認内容 |
|---|---|
| 設計住宅性能評価書 | 設計図書上の性能 |
| 建設住宅性能評価書 | 工事中の現場検査を経た評価 |
建設住宅性能評価では、登録住宅性能評価機関が、施工の各段階で所定の現場検査を行い、完成後に評価書を交付します。国土交通省「住宅性能表示制度」
ただし、建設住宅性能評価は、完成後に突然依頼して、隠れたすべての施工を確認してもらうものではありません。原則として工事前から手続きを行い、工事中の検査を受ける必要があります。
また、建設住宅性能評価でも、現場のすべてを常時監視するわけではありません。住宅会社の施工管理、工事写真、各種測定と組み合わせることが大切です。
3.気密測定でC値を確認する
完成後に実測できる代表的な住宅性能がC値です。
気密測定器で建物内外に圧力差をつくり、住宅全体の隙間量を調べます。
完成時の気密測定で分かること
- 完成住宅全体の隙間量
- 気密施工の大まかな仕上がり
- 窓・ドア・点検口などからの漏気
- 給排水管・配線貫通部の隙間
- 換気計画が機能しやすい気密性か
気密測定は、JIS A 2201に基づく方法で行うことができます。住宅・建築SDGs推進センター「気密測定技能者」
確認したいこと
- 測定方法
- 測定者
- 測定時期
- どこを目張りしたか
- 延床面積
- 総相当隙間面積
- C値
- 測定時の建物状態
- 報告書の有無
- 目標値を超えた場合の対応
完成後でも隙間を修正できる場合はありますが、壁や天井の内部に原因があると補修が難しくなります。そのため、工事途中と完成時の2回測定ができれば、より確認しやすくなります。
4.サーモグラフィーで断熱状態を確認する
赤外線サーモグラフィーを使うと、壁・天井・床・窓などの表面温度の違いを画像で確認できます。
発見できる可能性があるもの
- 断熱材の大きな欠損
- 壁の一部にある低温・高温部分
- 窓やドアまわりの断熱不足
- 熱橋
- 天井点検口などからの漏気
- 条件によっては水分を含んだ部分
ただし、サーモグラフィーだけで「断熱材が完全に正しく施工されている」と証明することはできません。
測定結果は次の条件に左右されます。
- 室内外の温度差
- 日射
- 風
- 冷暖房の運転状態
- 壁の仕上げ材
- 家具の配置
- 測定時間
- 調査者の経験
宮崎で夏に調査する場合は、日射による表面温度上昇が断熱欠損と混同されることがあります。測定条件を整え、専門家に判定してもらうことが重要です。
5.小屋裏・床下・点検口から確認する
完成後でも、小屋裏や床下など、点検口から見える部分は目視できます。
小屋裏で確認したいこと
- 断熱材の隙間・たるみ
- 断熱材の厚さ
- 雨染み
- 木材の変色
- 金物の状態
- 換気口の確保
- 配線まわりの処理
- 結露・カビ
- 屋根下地の異常
床下で確認したいこと
- 床断熱材の垂れ・欠損
- 配管からの漏水
- 床下の湿気
- カビ・木材の変色
- 基礎のひび割れ
- シロアリの蟻道
- 防蟻処理の状態
- 配管貫通部
- 清掃状態
- 点検経路の確保
ただし、点検口から見える範囲には限界があります。住宅全体を確認したい場合は、床下へ進入できる専門家や点検機器が必要です。
既存住宅の現況検査も、原則として移動可能で目視できる範囲を中心に行うため、壁内などの隠れた部分まで完全に確認するものではありません。住宅性能評価・表示協会「現況検査の概要」
6.換気量を測定する
第一種換気・第三種換気のどちらでも、機器が動いているだけで、計画どおりの換気量が確保されているとは限りません。
専用の風量計などを使用すると、給気口・排気口ごとの風量を確認できます。
確認したい内容
- 換気設備が正常に作動するか
- 各給排気口の風量
- 設計換気量との差
- 給気と排気のバランス
- 強・中・弱運転の違い
- フィルターの取付状態
- 屋外フードの向き
- 給排気口の離隔
- 室内ドア下の空気の通り道
- 運転音
ダクト式の場合は、ダクトのつぶれ、外れ、曲がりなどで風量が低下する場合があります。ダクトレス式でも、設置台数や給排気位置が計画どおりか確認する必要があります。
7.室温・湿度を継続測定する
完成後の住み心地を確認するには、複数の場所へ温湿度計を設置し、一定期間記録する方法があります。
測定したい場所
- LDK
- 寝室
- 洗面脱衣室
- トイレ
- 廊下
- 玄関
- 小屋裏
- 床下
- 北側の部屋
- 日射の強い西側の部屋
確認できること
- 部屋間の温度差
- 朝晩の室温変化
- エアコン停止後の温度変化
- 洗面室や廊下の寒さ
- 夏の西日の影響
- 湿度が高くなる時間帯
- 結露・カビが発生しやすい場所
- 換気や除湿の効果
一日だけの測定では天候の影響を受けます。夏と冬に数日から数週間記録すると、住宅の傾向をつかみやすくなります。
ただし、室温は住宅性能だけでなく、エアコンの使い方、家族人数、日射、カーテンなどにも左右されます。
8.電気使用量から省エネ性を確認する
HEMSや電力会社のアプリを利用すると、時間別・日別・月別の電気使用量を確認できます。
- 冷房使用量
- 暖房使用量
- 給湯使用量
- 換気設備
- 家電
- 太陽光発電量
- 自家消費量
- 売電量
- 蓄電池の充放電
ただし、実際の光熱費だけで住宅の断熱性能を断定することはできません。
家族人数、在宅時間、設定温度、家電、入浴回数、電気料金単価などが違うためです。比較する場合は、床面積や生活条件も併せて記録しましょう。
9.耐震性能は書類と施工記録で確認する
完成後に建物を揺らして耐震等級を測定することは、通常の住宅検査では行いません。
耐震性能は、主に次の書類・記録で確認します。
- 構造計算書
- 構造図
- 基礎伏図・基礎配筋図
- 耐力壁配置図
- 金物配置図
- 設計住宅性能評価書
- 建設住宅性能評価書
- 基礎配筋の施工写真
- 構造用面材の釘施工写真
- 金物・アンカーボルトの施工写真
- 現場検査記録
完成後でも床下や小屋裏から一部の金物・構造材を確認できますが、壁内の耐力面材、釘、金物などをすべて確認することは困難です。
そのため、正式な耐震等級3を確認するには、証明書と工事中の検査・記録が重要です。
10.断熱等級やUA値は完成後に測れますか?
UA値は、通常、完成した住宅を直接測って求める数値ではありません。
図面、断熱材、窓、玄関ドア、外皮面積などを基に計算します。
完成後は次の資料で確認します。
- 建築予定住宅の外皮計算書
- 最終図面と仕様書
- 設計住宅性能評価書
- 建設住宅性能評価書
- BELS評価書
- 断熱材の納品記録
- 施工写真
サーモグラフィーや室温測定は、断熱上の異常や実際の住環境を確認する補助的な方法ですが、UA値そのものを証明するものではありません。
11.雨漏り・防水性能を確認する
完成時に雨漏りが見えなくても、将来にわたり雨漏りしないことを完全に証明するのは困難です。
ただし、次の確認はできます。
- 屋根材のずれ・割れ
- 棟や壁際の板金
- 外壁の割れ・浮き
- 窓まわりのシーリング
- 配管・換気口の貫通部
- バルコニーの勾配
- 排水口・オーバーフロー管
- 軒裏や小屋裏の雨染み
- 木材や下地材の含水率
- 防水施工時の写真
- 必要に応じた専門的な散水調査
散水調査は、方法を誤ると本来入らない場所へ水を入れる可能性があります。雨漏りが疑われる場合に、専門業者が範囲と順番を決めて行うべきです。
12.防蟻性能を確認する
完成後は、防蟻シートの大部分がコンクリートなどで隠れます。
そのため、次の資料と点検で確認します。
- 使用した防蟻製品
- 施工要領書
- シート敷設時の写真
- 継ぎ目・配管貫通部の写真
- 保証申請書
- 防蟻保証書
- 保証期間・限度額
- 定期点検条件
- 床下・基礎外周の蟻道点検
デザインハウス宮崎で標準採用しているターミダンシートも、完成後にシート全面を目視することはできません。施工時の写真、保証書、10年時などの所定の点検を含めた記録管理が重要です。
13.第三者のホームインスペクションを利用する
引渡し前に、住宅会社とは別の建築士や検査会社へ完成検査を依頼する方法もあります。
主な確認内容
- 床・壁の傾き
- 建具の開閉
- 床鳴り
- 内外装の傷・不具合
- 床下・小屋裏
- 給排水設備
- 換気設備
- 基礎のひび割れ
- バルコニー・外壁・屋根の見える範囲
- 図面との相違
- 一部の断熱施工
ただし、一般的なホームインスペクションは目視・非破壊検査が中心です。
壁を壊さずに、次のすべてを確認できるわけではありません。
- 壁内の断熱材全体
- 耐力面材の釘すべて
- 防水シートの重ね全体
- 防蟻シート全面
- 基礎内部の鉄筋
- 配管の隠蔽部分
第三者検査は有効ですが、工事途中の写真や検査記録に代わるものではありません。
完成後だけでは確認しにくい重要部分
| 隠れる部分 | 完成後の問題 | 有効な確認方法 |
|---|---|---|
| 基礎の鉄筋 | コンクリート内部で見えない | 配筋検査・施工写真 |
| 壁内の断熱材 | 内装で見えない | 施工中検査・写真 |
| 気密層 | 仕上げ後は補修しにくい | 中間気密測定 |
| 耐力面材・釘 | 外壁・内装で隠れる | 構造検査・写真 |
| 構造金物 | 壁内で見えない | 金物検査・写真 |
| 透湿防水シート | 外壁材で隠れる | 外壁施工前検査 |
| 窓まわりの防水 | 外壁で隠れる | 防水施工写真 |
| 屋根の下葺き材 | 屋根材で隠れる | 屋根施工前検査 |
| 防蟻シート | 基礎で隠れる | 施工写真・保証書 |
住宅性能は、完成時にまとめて検査するのではなく、隠れる直前に確認することが基本です。
おすすめの確認タイミング
契約前
- 目標性能を決める
- 証明書の種類を決める
- 気密測定の有無と目標値を決める
- 第三者評価・検査の費用を確認する
- 未達時の対応を決める
工事中
- 基礎配筋
- 構造・金物
- 耐力面材・釘
- 屋根防水
- 外壁防水
- 断熱・気密
- 防蟻
- 配管・換気
引渡し前
- 完成時気密測定
- 換気設備の試運転・風量
- 給排水設備
- 床下・小屋裏
- 建具・内外装
- 保証書・評価書・写真の受領
- 必要に応じた第三者完成検査
入居後
- 夏・冬の温湿度
- 結露の有無
- 電気使用量
- 換気フィルター
- 台風後の雨漏り点検
- 定期的な床下・外壁・屋根点検
引渡し時に受け取りたい資料
- 最終図面・竣工図
- 最終仕様書
- UA値・ηAC値計算書
- 一次エネルギー計算書
- BELS等の省エネ証明書
- 耐震等級の証明書
- 構造計算書
- 気密測定報告書
- 地盤調査・改良報告書
- 各種検査記録
- 工事中の写真
- 検査済証
- 瑕疵保険の付保証明書
- 地盤保証書
- 防蟻保証書
- 設備保証書
- 定期点検予定表
- メンテナンス方法
データでも受け取り、複数の場所へ保存しておくと、将来の修繕、売却、相続にも役立ちます。
デザインハウス宮崎の考え方
デザインハウス宮崎では、住宅性能を広告上の数字だけでなく、設計・施工・確認・維持管理の流れで考えることが大切だと考えています。
主な標準仕様・考え方は次のとおりです。
- 2×4工法
- 正式な耐震等級3
- ZEH水準を標準仕様
- 断熱等級6を推奨
- 高性能グラスウール「アクリアα」
- 日本スティーベルのダクトレス第一種熱交換換気
- 深い軒による日射・雨掛かり対策
- ターミダンシートによる防蟻・防湿対策
- 所定の条件に基づくシロアリ20年保証
ただし、これらの材料や等級を採用するだけで性能が完成するわけではありません。
- 断熱材が隙間なく施工されているか
- 耐力面材や金物が図面どおりか
- 防水層が連続しているか
- 換気設備が適切に作動するか
- 防蟻シートの継ぎ目や貫通部が処理されているか
このような完成後に見えない部分を、工事中に確認し、記録として残すことが重要です。
完成後の測定と工事中の確認記録を組み合わせることが、性能に対する安心につながります。
まとめ
- 完成後でも気密性能、換気量、温湿度、設備動作などは確認できる
- UA値は通常、完成住宅で直接測定するのではなく計算書で確認する
- C値は完成後も気密測定で実測できる
- サーモグラフィーは断熱欠損などを探す補助的な方法
- 室温・湿度は複数箇所で継続測定する
- 建設住宅性能評価は、工事中の現場検査を経て交付される
- 検査済証だけでは、断熱等級6や耐震等級3を証明できない
- 耐震構造は構造計算書・評価書・施工写真で確認する
- 防水・防蟻は完成後に見えない部分が多く、施工写真が重要
- 一般的な完成検査やインスペクションにも確認範囲の限界がある
- 住宅性能は完成後だけでなく、工事中に隠れる前に確認する
- 引渡し時に計算書・証明書・保証書・施工写真を受け取る
結論として、完成後の住宅性能は、気密測定、換気量測定、温湿度記録、第三者検査などで一定範囲を確認できます。しかし、本当に性能を確かめるには、完成後の測定だけでなく、工事中の検査記録と公的な評価書を組み合わせることが重要です。








