A.平面図の方位を見るだけでなく、夏至・冬至の日影シミュレーション、窓ごとの方角・大きさ、軒や庇の寸法、ガラス仕様、周辺建物まで図面上で確認します。
宮崎では、南側の窓から冬の日差しを取り込みながら、夏は軒や庇で遮る設計が基本です。一方、東西の低い日差しは軒だけでは防ぎにくいため、窓の大きさ、ガラス、外付けシェードなどを組み合わせます。
「南向きなので明るいです」「深い軒があるので涼しいです」という説明だけではなく、季節・時刻ごとの日差しを図や数値で示してもらうことが大切です。
1.南向きの家なら自動的に快適になるわけではない
土地やリビングが南向きでも、次の条件によって日当たりは変わります。
- 南側の隣家
- 隣家との距離
- 隣家の高さ
- 敷地の高低差
- カーポート
- 塀・フェンス
- 樹木
- 窓の高さ
- 軒やバルコニー
- 室内の奥行き
- 建物の向きのずれ
- 将来建つ可能性のある建物
「南向き」という言葉だけで判断せず、冬の太陽が低い時期に、リビングのどこまで日差しが入るか確認しましょう。
2.夏と冬では太陽の高さが違う
夏は太陽の位置が高く、冬は低くなります。
南側では、この違いを利用できます。
夏
高い位置から入る日差しを、軒・庇・バルコニーなどで遮ります。
冬
低い位置から入る日差しを、窓から室内へ取り込みます。
国土交通省の省エネ設計資料でも、南面の軒や庇は太陽高度の季節変化を利用し、夏の日差しを遮りながら冬の日差しを取り入れられると説明されています。国土交通省「住宅の省エネルギー 設計と施工2023」
住宅会社がこの関係を、断面図やシミュレーションで説明できるか確認しましょう。
3.日影シミュレーションを見せてもらう
確認しやすい方法は、建築地の緯度・方位・周辺建物を入れた日影シミュレーションです。
少なくとも、次の時期と時刻を確認します。
夏至前後
- 午前9時
- 正午
- 午後3時
冬至前後
- 午前9時
- 正午
- 午後3時
できれば確認したい時期
- 春分・秋分
- 梅雨明けから残暑期
- 入居後にリビングを使う時間帯
正午だけでは、東西から入る低い日差しを確認できません。午前と午後も確認しましょう。
4.日影図と室内への日差しは分けて確認する
敷地の日影図だけでは、室内のどこまで日差しが入るか分かりにくい場合があります。
確認したいのは次の2種類です。
建物外部の日影
- 建物が庭や駐車場へつくる影
- 隣家が自宅へつくる影
- 軒・庇・カーポートの影
室内の日射
- 窓から床へ入る日差し
- ソファやテレビへの日差し
- ダイニングテーブルへの日差し
- キッチンへの西日
- 吹抜け高窓から入る日差し
平面図だけでなく、断面図、立面図、室内シミュレーションで確認しましょう。
5.真南と「南側」は同じではない
図面上で南側に窓があっても、敷地や建物が南東・南西へ振れている場合があります。
- 南東向き:朝の日差しが入りやすい
- 南西向き:午後の日差しが入りやすい
- 南西へのずれが大きい:夏の午後に暑くなりやすい
- 南東へのずれが大きい:夕方の日射を抑えやすい場合がある
方位記号が正確か、真北を基準にしているか確認します。
住宅会社へ「この窓は真南から何度ずれていますか」と聞くと、日射を具体的に検討しているか判断しやすくなります。
6.南側の窓は軒寸法まで確認する
「深い軒」という言葉だけでは、夏の日差しを適切に遮れるか分かりません。
確認したい寸法は次のとおりです。
- 軒の出
- 窓の高さ
- 窓上端から軒までの距離
- 2階バルコニーの出
- 庇の長さ
- 建物の方角
- 室内床までの日射角度
同じ90cmの軒でも、窓の高さ、取付位置、建物の向きによって影の範囲が変わります。
軒寸法を一律に決めるのではなく、窓ごとに検討しましょう。
7.軒を深くしすぎると冬の日差しを遮ることがある
深い軒は宮崎の夏に有効ですが、長すぎると冬の日差しまで遮る場合があります。
- 冬のリビングが暗い
- 床まで日差しが届かない
- 日中も暖房が必要になる
- 窓からの明るさが不足する
- 植栽や隣家の影と重なる
一方、短すぎる軒は夏の日差しや雨が窓・外壁へ当たりやすくなります。
夏と冬の両方の日射シミュレーションを行い、適切な長さを決めることが重要です。
8.西日は軒だけでは遮りにくい
西日は夕方に低い角度から入るため、水平な軒や庇だけでは遮りにくい日差しです。
宮崎では、夏の西日が室内の床、壁、家具を暖め、夜まで暑さが残ることがあります。
西側では次の対策を検討します。
- 窓を必要以上に大きくしない
- 縦長の窓を必要な場所に設ける
- 日射遮蔽型のLow-Eガラス
- 外付けシェード
- シャッター
- 縦ルーバー
- 落葉樹や植栽
- 西側へ収納・水回りを配置
- エアコン室外機への日射対策
「カーテンを閉めれば大丈夫」という説明だけでは不十分です。
9.東側の朝日も確認する
東側の朝日は、西日ほど長時間続かない場合がありますが、夏の早朝から寝室やキッチンが暑くなることがあります。
- 寝室の東窓
- キッチンの勝手口
- 洗面室
- 子ども部屋
- 吹抜けの高窓
朝日で目覚めたい家庭もあれば、夜勤や遅い時間まで寝る家族には遮光が必要です。
家族の生活時間に合わせて、窓の大きさ、位置、遮光設備を決めましょう。
10.北側の窓にも役割がある
北側は直射日光が入りにくい一方、比較的安定した明るさを取り入れやすい方角です。
- 洗面室
- キッチン
- 書斎
- 階段
- 廊下
- アトリエ
- パントリー
ただし、北側でも窓を大きくしすぎると、冬の熱損失が増えます。
直射日光だけでなく、採光、眺望、断熱、プライバシーのバランスを考えます。
11.窓ごとにガラス仕様を使い分ける
すべての窓へ同じLow-Eガラスを使えばよいとは限りません。
日射取得を重視する窓
冬の日差しを取り込みたい南側などで検討します。
日射遮蔽を重視する窓
夏の強い日差しが入る西側・東側などで検討します。
確認したい項目は次のとおりです。
- サッシの材質
- ガラスの枚数
- Low-E膜
- 日射熱取得率
- 窓全体の熱貫流率
- ガス入りか
- スペーサー
- 方角ごとの仕様
「全窓Low-E複層ガラス」と聞くだけでなく、日射取得型・遮蔽型などを方角に応じて検討しているか確認しましょう。
12.ηAC値を確認する
ηAC値は「冷房期の平均日射熱取得率」といい、夏に建物へ入る日射熱の割合を示す指標です。
一般的には、数値が小さいほど日射熱を取り込みにくく、遮蔽性能が高いと考えられます。国の資料でも、地域区分ごとにηAC値の基準が定められています。国土交通省「住宅の仕様基準・誘導仕様基準」
住宅会社へ次の点を聞きましょう。
- 自分の家のηAC値
- 建築地の基準値
- 軒・庇を計算へ反映しているか
- 付属部材を反映しているか
- 最終図面で再計算するか
UA値がよくても、ηAC値や西日対策が不十分なら、夏に暑くなる可能性があります。
13.ηAH値も参考にする
ηAH値は「暖房期の平均日射熱取得率」で、冬に日射熱をどの程度取り込むかを考える指標です。
ただし、ηAH値は大きければ無条件によいわけではありません。
- 冬は日射を取り込みたい
- 夏は遮りたい
- 窓からの熱損失も抑えたい
- 日当たりがない時間は窓が熱の出口になる
- 周辺建物の影響がある
日射取得と窓の断熱性能を一緒に考える必要があります。
省エネ計算書には、冷房期のηAC値と暖房期のηAH値が表示される場合があります。国土交通省「省エネ計算演習事例」
14.UA値だけでは夏の暑さを判断できない
UA値は、屋根・壁・床・窓などから熱が移動しやすい程度を示します。
しかし、次の内容はUA値だけでは十分に判断できません。
- 窓から入る直射日光
- 西日
- 軒・庇による影
- 周辺建物の影
- 室内へ入る日差しの位置
- 日射で暖められる床や家具
- 時間帯ごとの室温上昇
国の断熱性能表示でも、UA値とηAC値の両方を評価し、低い方の等級で表示します。国土交通省「断熱性能」
15.周辺建物をシミュレーションへ入れる
冬の日当たりを確認するときは、自宅だけのシミュレーションでは不十分です。
- 南側の隣家
- 2階建て・3階建て
- 隣家の屋根
- 境界からの距離
- 敷地の高低差
- 擁壁
- カーポート
- 塀
- 樹木
土地が更地でも、将来南側へ建物が建つ可能性があります。
周辺の用途地域、建ぺい率、容積率、高さ制限、道路位置などから、将来建つ可能性のある建物も想定しましょう。
16.駐車場やカーポートの影響を確認する
建物完成後にカーポートを付けると、リビングの日当たりや窓からの景色へ影響する場合があります。
- カーポートの屋根
- 柱
- 車
- 目隠しフェンス
- サイクルポート
- 物置
透明・半透明の屋根でも、日射や明るさは変わります。
外構を後回しにせず、日射シミュレーションへ入れて確認しましょう。
17.冬の日差しが入る時間を確認する
「冬は日が入ります」という説明だけでは、使いたい時間に入るか分かりません。
- 朝食時間
- 午前中の家事
- 昼間の在宅勤務
- 子どもの帰宅時間
- 夕方のリビング
- 洗濯物を干す時間
共働きで日中不在なら、日射取得の効果と帰宅時の室温をどう考えるか確認します。
在宅時間が長い家庭では、日中の日射取得を活用しやすくなります。
18.日差しが室内のどこへ届くか確認する
冬の日射が窓の近くだけに入るのか、室内の奥まで届くのかで効果が変わります。
- 窓の高さ
- 窓の下端
- 天井高
- 部屋の奥行き
- 家具
- カウンター
- 階段
- 間仕切り
- 床材
日差しがテレビ画面やダイニングの座る位置へ直接当たり、まぶしくなる場合もあります。
日射取得量だけでなく、光の届く位置と暮らし方を確認しましょう。
19.吹抜けや高窓は特に慎重に確認する
吹抜けの高窓は、室内を明るくできますが、日射熱が入りすぎる場合があります。
- 方角
- 夏の直射日光
- 西日
- ガラス仕様
- 外側で遮る方法
- 電動ブラインド
- 清掃
- 故障時の修理
- エアコンへの影響
高窓は完成後に外付けシェードを設置しにくい場合があります。
図面段階で夏至・冬至の光を確認しましょう。
20.屋根から入る熱も確認する
日射対策は窓だけではありません。夏は屋根面が高温になります。
特に次の間取りでは、屋根・天井の断熱が重要です。
- 平屋
- 勾配天井
- 2階リビング
- 吹抜け
- ロフト
- 小屋裏収納
- 片流れ屋根
確認したい項目は次のとおりです。
- 屋根・天井断熱の種類
- 厚さ
- 通気層
- 小屋裏換気
- 屋根色
- 太陽光パネル
- 軒裏換気
- 断熱施工検査
窓の日射遮蔽だけでなく、屋根からの熱も含めて冷房負荷を考えましょう。
21.日射遮蔽は窓の外側で行う
日射熱は、室内へ入ってからカーテンで遮るより、窓の外側で遮る方が効果的です。
- 軒
- 庇
- 外付けシェード
- シャッター
- すだれ
- 縦ルーバー
- 落葉樹
- 外構の壁
環境省も、夏の熱を建物外部で遮る方法として、軒・庇、植栽などを挙げています。環境省「環境白書」
宮崎では、台風時に収納・固定できる外付け設備を選ぶことも重要です。
22.落葉樹を利用する場合の注意点
落葉樹は、夏に葉で日差しを遮り、冬は葉が落ちて日差しを通す効果を期待できます。
ただし、次の点を確認します。
- 成長後の高さ・幅
- 落ち葉の清掃
- 雨樋との距離
- 根と基礎・配管
- 台風時の枝
- 害虫
- 隣地への越境
- 日差しを遮るまでの年数
植栽だけに頼らず、建物本体の軒・庇と組み合わせましょう。
23.カーテンを閉めた生活にならないか
大きな南窓を設けても、道路や隣家からの視線があれば、一日中カーテンを閉めることになります。
- 道路との距離
- 歩行者の目線
- 隣家の窓
- 駐車場
- 庭の使い方
- 室内の床高さ
- 窓の高さ
- 外構の目隠し
明るさを確保するために、次の方法も検討できます。
- 高窓
- 地窓
- 窓位置をずらす
- 外構で視線を遮る
- レースカーテン
- 型板ガラス
- 植栽
日射シミュレーションと視線の確認を一緒に行いましょう。
24.明るさと日射熱を混同しない
明るい部屋にするため、必ずしも大きな直射日光の入る窓が必要とは限りません。
- 北側から安定した光を入れる
- 高窓で室内奥まで明るくする
- 室内ドアのガラスを利用する
- 吹抜けを小さくする
- 内装の反射率を高める
- 隣家との間から光を入れる
採光と日射取得は別の要素です。
明るさを確保しながら、夏の日射熱を抑える方法を提案できる会社を選びましょう。
25.冷暖房負荷シミュレーションも確認する
より詳しく確認するなら、日影図だけでなく冷暖房負荷のシミュレーションを依頼します。
- 月別の暖房負荷
- 月別の冷房負荷
- 窓からの日射取得
- 断熱性能
- 気密性能の設定
- 換気による熱損失
- エアコンの設定条件
- 家族の在宅時間
- 内部発熱
シミュレーションは前提条件で結果が変わるため、金額や室温を保証するものではありません。
複数案を同じ条件で比較するために利用しましょう。
日射設計を行う住宅会社の特徴
- 建築地の正確な方位を確認する
- 現地で周辺建物を確認する
- 夏至・冬至の日影図を示す
- 午前・正午・午後を比較する
- 室内への日差しを立体的に示す
- 窓ごとに大きさと役割を決める
- 軒・庇の寸法根拠を説明する
- 東西と南でガラスを使い分ける
- UA値とηAC値を確認する
- 西日を外側で遮る
- 外構・カーポートも同時に計画する
- エアコン能力へ日射を反映する
注意したい住宅会社の説明
- 「南向きなので必ず明るいです」
- 「大きな窓があれば暖かいです」
- 「Low-Eガラスなので夏も暑くありません」
- 「断熱等級6だから日射対策は不要です」
- 「深い軒なので一年中快適です」
- 「西日はカーテンで防げます」
- 「周辺の建物は関係ありません」
- 「窓が多いほど風通しも明るさもよくなります」
- 「シミュレーションは必要ありません」
言葉だけでなく、図面・数値・シミュレーションで確認しましょう。
契約前に聞きたい質問
- 建物は真南から何度ずれていますか?
- 夏至・冬至の日影図を見せてもらえますか?
- 午前9時、正午、午後3時を確認できますか?
- 周辺建物や高低差を反映していますか?
- 冬の日差しはリビングのどこまで入りますか?
- 夏は窓全体が軒の影に入りますか?
- 軒の出はどのように決めましたか?
- 西側・東側の窓はどのように遮蔽しますか?
- 方角によってガラスを使い分けますか?
- 自分の家のUA値とηAC値はいくつですか?
- ηAH値も確認できますか?
- 外付けシェードを設置できますか?
- 台風時に安全に収納できますか?
- カーポートを付けた場合の日当たりは?
- 将来南側へ建物が建った場合は?
- 吹抜け高窓の夏の日射対策は?
- 屋根・天井の断熱は十分ですか?
- 日射を反映してエアコンを選定しますか?
- 最終図面で再シミュレーションしますか?
契約前のチェックリスト
- 正確な方位を確認した
- 周辺建物と高低差を確認した
- 夏至の日影を確認した
- 冬至の日影を確認した
- 午前・正午・午後を確認した
- 室内へ入る光の位置を確認した
- 南窓の軒・庇寸法を確認した
- 冬の日射を遮りすぎていない
- 西側の窓を大きくしすぎていない
- 東側の朝日を確認した
- 北側の採光を検討した
- 方角ごとのガラス仕様を確認した
- UA値とηAC値を確認した
- 必要に応じてηAH値を確認した
- 外側の日射遮蔽を確認した
- 吹抜け・高窓の日射を確認した
- 屋根・天井の断熱を確認した
- カーポート・外構を図面へ入れた
- 視線でカーテンを閉めないか確認した
- 最終図面で再確認した
デザインハウス宮崎の考え方
デザインハウス宮崎では、南側へ大きな窓を設ければ快適になるとは考えていません。
ツーバイフォー工法、ZEH水準、正式な耐震等級3を基本とし、必要に応じて断熱等級6をご提案したうえで、宮崎の日射を設計へ反映します。
- 冬の日差しを取り込む南窓
- 夏の日差しを遮る深い軒
- 西側の窓の大きさとガラス
- 外付けシェード
- 周辺建物の影
- 吹抜け・高窓
- 屋根・天井断熱
- 第一種熱交換換気
- エアコンの位置と能力
- 台風時の日射遮蔽設備の収納
女性スタッフの生活目線から、単に「明るいLDK」をつくるのではなく、ソファでまぶしくないか、キッチンへ西日が入らないか、洗濯物を干す場所に冬の日差しが届くかなど、実際の生活時間に合わせて確認します。
まとめ
- 南向きだけで快適性を判断しない
- 夏至・冬至の日影シミュレーションを確認する
- 正午だけでなく午前・午後も見る
- 日影図と室内への日差しを分けて確認する
- 南窓は軒・庇の寸法まで確認する
- 軒を深くしすぎると冬の日射を遮る場合がある
- 西日は窓の外側で遮る
- 方角に合わせてガラスを使い分ける
- UA値だけでなくηAC値も確認する
- 周辺建物と将来の建築を想定する
- 外構・カーポートも同時に計画する
- 明るさと日射熱を混同しない
結論として、宮崎の夏の日射と冬の日当たりを設計に反映しているかは、建築地の正確な方位、周辺建物、夏至・冬至の日影図、室内への日差し、窓・軒・ガラスの仕様で確認します。南面は夏に遮り冬に取り込み、東西面は低い日差しを外側で遮ることが基本です。「南向き」「深い軒」という言葉だけでなく、図面とシミュレーションで根拠を示せる住宅会社を選びましょう。








