A.建築基準法への適合は住宅を建てるための必須条件ですが、それだけで「大地震後も住み続けられる」「夏涼しく冬暖かい」「光熱費が安い」とは限りません。
建築基準法は、法律の第1条で、建物の敷地・構造・設備・用途について「最低の基準」を定める法律と明記されています。e-Gov法令検索「建築基準法」
つまり、建築基準法は家づくりの合格ラインであり、快適性や長期的な安心まで保証する最高水準ではありません。
法律で確認されること・されないこと
| 項目 | 法律上の基準 | より快適・安心にする選択 |
|---|---|---|
| 耐震性 | 耐震等級1相当が基本 | 耐震等級2・3 |
| 断熱性 | 現行の省エネ基準 | 断熱等級5・6・7 |
| 気密性 | C値の一律義務なし | 気密測定・目標値設定 |
| 換気 | 24時間換気設備など | 適切な換気設計・風量確認 |
| 台風対策 | 構造・屋根などの基準 | 耐風等級・窓・防水の強化 |
| 耐久性 | 最低限の防腐・防蟻など | 劣化対策等級・長期保証 |
| 光熱費 | 金額までは保証しない | 高断熱・高効率設備・太陽光 |
| 室温 | 快適な温度を保証しない | 断熱・気密・日射・空調計画 |
| 防音性 | 最低限の規定など | 窓・壁・床の遮音強化 |
耐震基準を満たせば、大地震後も住めますか?
必ずしも住み続けられるとは限りません。
住宅性能表示制度では、建築基準法水準を耐震等級1としています。大きな地震で直ちに倒壊・崩壊しないことを重視した水準ですが、地震後に無傷であることや、そのまま住み続けられることを保証するものではありません。
| 耐震等級 | 地震に対する性能 |
|---|---|
| 等級1 | 建築基準法水準 |
| 等級2 | 等級1の1.25倍の地震力に対する水準 |
| 等級3 | 等級1の1.5倍の地震力に対する水準 |
国土技術政策総合研究所も、耐震等級1を建築基準法レベルの最低限守るべき水準と説明しています。国土技術政策総合研究所「住宅の基本性能」
大地震後の損傷をできるだけ抑え、補修して住み続けることまで考える場合は、耐震等級3を検討したいところです。
デザインハウス宮崎では、ツーバイフォー工法による耐震等級3を標準としています。
省エネ基準を満たせば、夏涼しく冬暖かい?
これも必ずしも十分とは限りません。
2025年4月から、原則として新築住宅には省エネ基準への適合が義務付けられました。現在の基準水準は、将来にわたる最高水準ではなく、国は遅くとも2030年までにZEH水準へ引き上げる予定を示しています。国土交通省「省エネ基準引き上げへ」
断熱性能を比較すると、次のように位置付けられます。
- 断熱等級4:現在の省エネ基準水準
- 断熱等級5:ZEH水準
- 断熱等級6:ZEH水準を上回る高断熱水準
- 断熱等級7:現行制度上の最高水準
これから数十年住む住宅を、現在の最低基準だけで決めてよいかは慎重に考える必要があります。
建築基準法ではC値を確認しません
UA値や断熱等級が良くても、施工された住宅に隙間が多ければ、次のような問題につながります。
- 冷暖房した空気が逃げやすい
- 隙間風を感じる
- 24時間換気が計画どおり働きにくい
- 壁内へ湿気が入りやすい
- 部屋によって温度差が生じる
気密性能を表すC値には、現行の省エネ基準として全国一律の義務値がありません。
そのため、気密性を確認するには、完成した住宅などで気密測定を実施する必要があります。建築確認済証や検査済証があっても、C値まで確認されたことにはなりません。
宮崎では夏の日射対策も必要
宮崎で快適な家を建てるには、断熱材の厚さだけでなく、窓から入る日射熱を抑える必要があります。
- 南側の軒・庇
- 西側・東側の窓面積
- Low-Eガラスの使い分け
- 外付けシェード
- 屋根・天井の断熱
- 窓の配置
- 植栽や周辺建物による影
建築基準法に適合し、断熱等級を満たしていても、西側に大きな窓があり、日射遮蔽が不十分なら夏に暑くなる可能性があります。
台風・豪雨への対策も最低基準以上を検討
宮崎では、地震だけでなく台風の強風と横殴りの雨への対策が必要です。
- 耐風性能
- 屋根材の固定方法
- 軒天・外壁の耐風対策
- 窓の耐風圧性能
- シャッターや雨戸
- 窓周りの防水施工
- 太陽光パネルの固定
- 雨水排水計画
法令に適合していても、台風後の雨漏りや外装の損傷を完全に防げるわけではありません。構造、防水、外装材を一体で考える必要があります。
シロアリ・耐久性にも差が出ます
宮崎のように温暖で湿度の高い地域では、シロアリ・木材腐朽・結露への対策が住宅寿命を左右します。
建築基準法上の防腐・防蟻措置に加えて、次の内容を確認しましょう。
- 防蟻処理の方法
- 処理範囲
- 保証期間と保証対象
- 床下の防湿
- 点検口の位置
- 壁内・屋根の通気
- 雨漏りを防ぐ施工
- 定期点検の内容
デザインハウス宮崎では、ターミダンシートによる防蟻対策を標準採用し、20年保証を付けています。
建築確認に合格すれば施工品質も完璧?
建築確認は、設計や建物が建築基準関係規定へ適合しているかを確認する制度です。しかし、住宅のすべての施工箇所を常時監視するものではありません。
次の検査や管理も重要です。
- 住宅会社の施工管理
- 基礎・構造の検査
- 断熱材の施工確認
- 防水施工の検査
- 気密測定
- 住宅瑕疵保険の検査
- 建設住宅性能評価
- 完成検査
法律を守ることに加え、設計した性能を現場で再現できる住宅会社かを確認しましょう。
住宅会社へ確認したい性能
契約前に、少なくとも次の内容を確認してください。
- 断熱等性能等級はいくつか
- UA値とηAC値を一棟ごとに計算するか
- C値を実測するか
- 正式な耐震等級はいくつか
- 耐風・台風対策はどうなっているか
- 防水検査をどの段階で行うか
- 防蟻処理と保証内容は何か
- 24時間換気の方式とメンテナンス方法
- 住宅性能評価書を取得できるか
- 測定結果や計算書を引渡し時にもらえるか
宮崎で目指したい考え方
すべてを最高等級にすればよいわけではありません。宮崎の気候と予算に合わせ、次のバランスを整えることが大切です。
- 断熱等級6を基本的な推奨水準として検討
- 気密測定による施工精度の確認
- 窓・軒による夏の日射遮蔽
- 耐震等級3
- 台風への耐風・防水対策
- 計画換気と湿気対策
- シロアリ対策
- 維持管理しやすい設計
まとめ
建築基準法への適合は絶対に必要ですが、それは安全と衛生を確保するための最低基準です。
建築基準法に適合している=十分に暖かい、涼しい、光熱費が安い、大地震後も住み続けられる、長期間メンテナンス不要という意味ではありません。
宮崎では法令適合を出発点として、断熱・気密・日射遮蔽・耐震・耐風・防水・防蟻性能を、家族の暮らしと予算に合わせて上乗せしましょう。








