A.一般的な住宅では、玄関土間とホールの段差を15~18cm程度にすることが多く、上り下りのしやすさを重視するなら10~15cm程度も検討できます。将来の安全性を考えると、段差を高くしすぎないことが大切です。
ただし、段差を完全になくす場合は、雨水や砂の侵入、靴を脱ぐ場所の分かりにくさ、防水施工などへの対策が必要です。
上がり框とは?
上がり框とは、玄関の土間と室内の床との境にある段差部分です。
主に次の役割があります。
- 土足部分と室内を区切る
- 雨水・砂・ほこりが室内へ入りにくくする
- 靴を脱ぎ履きするときの境界になる
- 玄関の床材と室内床を納める
- 腰を掛けて靴を履く場所になる
- 玄関空間にメリハリをつける
単に見た目のための段差ではなく、玄関の使いやすさや防水にも関係します。
高さ別の使いやすさ
| 上がり框の高さ | 特徴・注意点 |
|---|---|
| 0~3cm程度 | バリアフリーにしやすいが、雨水や砂の侵入対策が重要 |
| 5~10cm程度 | 小さな段差だが、つまずきやすい場合がある |
| 10~15cm程度 | 上り下りしやすく、将来にも配慮しやすい |
| 15~18cm程度 | 一般的に採用しやすい高さ |
| 20cm以上 | 腰掛けやすい場合もあるが、上り下りの負担が大きい |
最適な高さは、家族の年齢、身長、玄関の広さ、基礎や床の構成によって変わります。
特に5cm前後の小さな段差は、存在に気づきにくく、つまずく場合があります。低くすれば必ず安全になるわけではありません。
家族4人なら何cmが使いやすいですか?
現在子育て中の家族4人なら、10~18cm程度の範囲で検討しやすいでしょう。
10~15cm程度が向いている家庭
- 小さな子どもがいる
- 将来の上り下りの負担を減らしたい
- 高齢の親が訪問する
- 玄関に広さを確保できる
- 手すりやベンチを設置する予定がある
15~18cm程度が向いている家庭
- 土間と室内を明確に分けたい
- 雨水や砂を室内へ入れにくくしたい
- 一般的な床・基礎構成で計画したい
- 上がり框へ腰掛けて靴を履きたい
寸法だけでなく、実際に立ち上がったり、子どもの靴を履かせたりする動作を考えましょう。
段差が高い場合のデメリット
上がり框が高すぎると、次の負担が生じます。
- 子どもが上り下りしにくい
- 荷物を持って上がりにくい
- 高齢になったときに負担が増える
- 転倒時の危険が大きくなる
- 杖や歩行器で移動しにくい
- 腰や膝へ負担がかかる
- 夜間や暗い玄関で段差を見落としやすい
今は問題がなくても、長く住むことを考え、必要以上に高くしないことが重要です。
段差を完全になくすことはできますか?
設計上は可能ですが、防水・排水・泥や砂への対策が必要です。
玄関土間と室内床をほぼ同じ高さにすると、車いすや歩行器で移動しやすくなります。一方で、次の問題が起こる可能性があります。
- 土間の雨水が室内へ流れやすい
- 泥や砂が居室側へ広がる
- 靴を脱ぐ境界が分かりにくい
- 室内床が傷みやすい
- 玄関ドア下枠との納まりが難しくなる
- 台風時の吹込みに慎重な対策が必要
- 外部アプローチとの高さ調整が必要
完全な段差ゼロを希望する場合は、玄関ポーチの屋根、床勾配、排水、ドア下枠、防水処理まで一体で設計します。
小さな段差なら安全ですか?
数cm程度の小さな段差は、足を大きく上げる必要がない一方、段差に気づかずつまずきやすいことがあります。
安全性を高めるには、次の対策が有効です。
- 土間と室内床の色や素材を変える
- 段差部分に照明を当てる
- 上がり框の端を見分けやすくする
- 玄関へ人感センサー照明を設ける
- 手すりを設置できる下地を入れる
- 段差の近くへ物を置かない
- 靴で通路を塞がない
高さだけでなく、段差が視覚的に分かりやすいことが重要です。
上がり框の形にも違いがあります
| 形状 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|
| 直線型 | シンプルで掃除しやすい | 土間とホールの幅を確保したい |
| L字型 | 靴を脱ぎ履きできる範囲が広い | 角部分の納まりや掃除に注意 |
| 斜め型 | 玄関を広く見せやすい | 家具・手すりを配置しにくい場合がある |
| 曲線型 | デザイン性がある | 施工費と床材の納まりを確認 |
| 二方向型 | 家族用・来客用を分けやすい | 土間面積と建築費が増えやすい |
家族が同時に靴を履くなら、上がり框の長さも重要です。高さだけでなく、何人が横に並べるか確認しましょう。
ベンチを設けると便利ですか?
玄関ベンチがあると、上がり框の高さにかかわらず靴を履きやすくなります。
便利な場面
- 小さな子どもの靴を履かせる
- ブーツやひも靴を履く
- 買い物袋を一時的に置く
- 高齢の家族が腰掛ける
- 宅配荷物を置く
- 来客が靴を履く
常設ベンチを置くスペースがない場合は、折り畳み式のベンチや、シューズボックスの一部を腰掛けにする方法もあります。
ただし、ベンチの前に靴を置くと使えません。靴の収納量と合わせて計画しましょう。
手すりは付けるべきですか?
新築時から必ず手すりを設置する必要はありませんが、将来付けられるよう壁下地を入れておくと安心です。
玄関には、次の2種類の手すりがあります。
| 手すり | 用途 |
|---|---|
| 縦手すり | 上がり框を上り下りするときにつかまる |
| 横手すり | 土間やホールを移動するときに使う |
手すりの位置は、靴を履く動作や利き手、ドアの開閉、収納扉との干渉を考えて決めます。
車いすを考える場合は?
車いすで玄関から室内へ入る可能性を考える場合は、上がり框の高さだけでは判断できません。
次の内容をまとめて検討します。
- 玄関ドアの有効開口
- ポーチから玄関までの段差
- スロープの長さと勾配
- 玄関土間の方向転換スペース
- 室内側の通路幅
- 上がり框部分の昇降方法
- 車いす用リフトの設置可能性
- 介助者が立つスペース
- 雨の日に濡れない屋根
スペースが限られる場合は、玄関以外に将来スロープを設置できる出入口を準備する方法もあります。
宮崎の玄関では雨水対策が重要
宮崎では台風や横殴りの雨があるため、段差を低くする場合ほど、雨水を室内へ入れない対策が重要になります。
計画したい対策
- 玄関を外壁より少し引き込む
- 深い軒や庇を設ける
- 風上側へ袖壁を設ける
- ポーチ床を建物の外側へ傾ける
- 雨水の排水先を確保する
- 玄関ドア下枠の防水施工を確認する
- 土間からホールへ水が流れない納まりにする
- 雨樋の水を玄関付近へ流さない
- 濡れた傘や雨具の一時置場を設ける
完全なフラット玄関を希望する場合は、通常以上に丁寧な防水・排水計画が必要です。
滑りにくい床材を選びましょう
雨の日には、上がり框の高さだけでなく、土間やホールの滑りにくさも重要です。
- 濡れても滑りにくい屋外・玄関用タイルを選ぶ
- 表面が滑らかすぎる素材を避ける
- 水たまりができない勾配にする
- 玄関マットがずれないようにする
- 土間とホールの境界を見分けやすくする
- 段差付近へ十分な照明を設ける
滑りにくさと掃除のしやすさの両方を確認しましょう。凹凸が深すぎるタイルは、泥や降灰が入り込んで掃除しにくい場合があります。
断熱性にも注意が必要です
玄関土間は外気の影響を受けやすく、断熱計画が不十分だと玄関ホールが寒くなります。
- 基礎や床の断熱方法
- 玄関ドアの断熱性能
- ドア枠まわりの気密施工
- 土間部分の熱橋対策
- 玄関とLDKを区切る建具
- 24時間換気の給排気位置
上がり框を低くする場合も、断熱材の連続性や玄関ドア下部の納まりを設計段階で確認します。
後悔しやすいポイント
- 上がり框が高く、子どもや親が上がりにくい
- 段差を低くしたが、気づかずつまずく
- 段差ゼロにして砂や雨水が室内へ入りやすくなった
- 上がり框が短く、家族が並んで靴を履けない
- 靴が並び、手すりまで移動できない
- ベンチを置いたら玄関が狭くなった
- 手すりを後付けしたいが壁下地がなかった
- 玄関ポーチから室内までの段差が多かった
- 土間とホールの色が似ていて段差が見えにくい
- タイルが雨の日に滑りやすかった
間取り決定前のチェックポイント
- 上がり框は何cmの高さになるか
- 子どもや将来の自分が上り下りしやすいか
- 段差が視覚的に分かりやすいか
- 家族が並べる框の長さがあるか
- 靴を置いても通路を確保できるか
- ベンチや手すりを設置できるか
- 将来用の壁下地を入れているか
- ポーチから室内までに何段あるか
- 雨水や砂が室内へ入りにくいか
- ポーチ床の排水方向は適切か
- 滑りにくく掃除しやすい床材か
- 車いす対応が必要になった場合に改修できるか
デザインハウス宮崎の考え方
デザインハウス宮崎では、上がり框の高さを見た目だけで決めず、家族の日常動作と将来の安全性から検討します。
女性スタッフの生活目線から、次の場面を確認します。
- 子どもの靴を履かせる
- 買い物袋を持って上がる
- ブーツやひも靴を履く
- 高齢の家族が訪問する
- 将来、手すりやベンチを設置する
- 雨天時に濡れた靴で入る
- 台風時に雨が吹き込む
- 泥や降灰を掃除する
宮崎の豪雨や台風を考え、深い軒・袖壁・床勾配・排水計画と組み合わせながら、安全で使いやすい玄関をご提案します。
まとめ
- 上がり框は10~18cm程度が検討しやすい範囲
- 上り下りを重視するなら10~15cm程度も選択肢
- 小さすぎる段差は気づきにくく、つまずく場合がある
- 段差ゼロには雨水・砂・防水への対策が必要
- 高さだけでなく、框の長さと玄関の横幅も重要
- ベンチや縦手すりがあると靴を履きやすい
- 将来の手すり用下地を準備しておく
- 宮崎では台風・豪雨を考えた排水計画が欠かせない
結論として、玄関の上がり框は15cm前後を一つの目安に、家族の年齢や将来性に応じて調整するのが現実的です。段差を低くする場合は、安全性だけでなく、宮崎の強い雨を室内へ入れない防水・排水計画までセットで考えましょう。








