A.はい。断熱等級やUA値など、設計上は高性能でも、施工に隙間・欠損・間違いがあれば、本来の性能を十分に発揮できません。
ただし、すべてが無意味になるということではありません。問題は、カタログや計算書に記載された性能と、完成した住宅の実際の性能に差が生じることです。
高性能住宅では、良い材料を選ぶことと同じくらい、その材料を正しく施工し、途中で確認する仕組みが重要です。
「設計性能」と「実際の性能」は違います
住宅性能には、大きく分けて次の2つがあります。
| 性能の種類 | 内容 |
|---|---|
| 設計性能 | 図面・仕様書・計算によって確認した性能 |
| 実際の性能 | 現場で施工された完成住宅が発揮する性能 |
例えば、UA値は設計図書に基づき、断熱材の種類・厚さ、窓、玄関ドア、住宅の形状などから計算します。
しかし、計算どおりの断熱材を使用していても、現場で隙間やたるみ、施工忘れがあれば、計算上のUA値どおりの室内環境にならない可能性があります。
性能計算は「正しく施工されること」を前提にした数値です。
高性能住宅ほど施工精度が重要なのはなぜですか?
断熱・気密性能が高くなるほど、住宅全体を連続した断熱層・気密層で包むことが重要になります。
一部に大きな隙間や欠損があると、その場所へ熱・空気・湿気が集中します。
国土交通省の関連資料でも、高断熱・高気密化に伴い、断熱材や気密層、透湿防水層の不連続部分が熱橋となり、内部結露や耐久性低下につながる可能性が指摘されています。国土交通省「蒸暑期にも有効な高断熱・高気密住宅に関する技術開発」
1.断熱材の施工が悪いとどうなりますか?
断熱材は、壁・屋根・天井・床を切れ目なく包むことで性能を発揮します。
よくある施工上の問題
- 断熱材と柱の間に隙間がある
- 断熱材がたるんでいる
- 筋かいや配線部分で欠損している
- コンセントまわりが処理されていない
- エアコン配管の周囲に隙間がある
- 天井と壁の取り合いが途切れている
- 断熱材が押し込まれ、必要な厚さを確保できていない
- 雨に濡れた断熱材を十分乾燥させていない
起こる可能性があること
- 夏に暑く、冬に寒くなる
- 部屋ごとの温度差が大きくなる
- 冷暖房費が想定より高くなる
- 壁や天井の一部だけ表面温度が下がる
- 結露やカビが発生しやすくなる
- 断熱材が本来の性能を発揮できない
断熱材は厚いほどよいのではなく、必要な厚さで、隙間なく、つぶさずに施工することが大切です。
2.気密施工が悪いとどうなりますか?
気密性能とは、住宅にどの程度の隙間があるかを示す性能です。
UA値が断熱性能の計算値であるのに対し、C値は原則として完成した住宅などで気密測定を行い、実際の隙間を確認します。
隙間ができやすい場所
- 床と壁の接合部
- 壁と天井の接合部
- 窓・玄関ドアまわり
- コンセント・スイッチ
- 給排水管の貫通部
- エアコン配管
- 換気設備のダクト・給排気口
- 点検口
- 梁や金物が通る部分
気密性能が低い場合の影響
- 外気が隙間から入る
- 冷暖房した空気が逃げる
- 換気経路が計画どおりにならない
- 室内の湿気が壁内へ入る
- 壁内結露のリスクが高まる
- 外の音やほこりが入りやすくなる
- 足元や窓まわりに冷気を感じやすくなる
高性能な断熱材を使用していても、隙間が多ければ「暖かい上着のファスナーを開けたまま」のような状態になります。
3.窓の取付けが悪いとどうなりますか?
樹脂サッシやLow-E複層ガラスを採用しても、窓と壁の間に隙間があれば、断熱・気密性能が低下します。
また、防水施工が不十分だと、台風時の横殴りの雨が壁内へ入る可能性があります。
窓まわりで確認したいこと
- サッシが水平・垂直に取り付けられているか
- 枠と構造体の間を適切に処理しているか
- 気密層が窓枠まで連続しているか
- 窓台を先行して防水しているか
- 防水テープを正しい順番で施工しているか
- 透湿防水シートとの重ね方が適切か
- 外壁のシーリングだけに頼っていないか
窓は断熱、気密、防水の3つが交わる重要な場所です。
4.換気設備の施工が悪いとどうなりますか?
高気密住宅では、24時間換気システムが計画どおり機能することが重要です。
高性能な換気設備を採用しても、設置方法や給排気口の配置に問題があれば、十分な換気ができません。
注意したい施工・計画
- 給気口と排気口の位置が近すぎる
- 屋外で排気した空気を再び給気してしまう
- 必要な換気量を確保できていない
- フィルターを交換できない位置に設置している
- 給排気口が家具やカーテンで塞がれる
- ダクトがつぶれている、外れている
- 屋外フードから雨水が入る
- 各室への空気の通り道が確保されていない
換気設備は、製品の性能だけでなく、住宅全体の空気の流れを考えて設計・施工する必要があります。
5.耐震等級3でも施工が悪いとどうなりますか?
耐震等級3は設計上の高い耐震性能を示しますが、構造部分が図面どおり施工されることが前提です。
構造上重要な施工箇所
- 基礎の鉄筋の太さ・間隔・位置
- コンクリートの品質と施工
- 耐力壁の位置と長さ
- 構造用面材の釘の種類・間隔
- 釘のめり込みや打ち外し
- 柱・梁・床・屋根の接合部
- ホールダウン金物などの種類と位置
- 開口部まわりの補強
- アンカーボルトの位置
例えば、耐力面材を使用していても、指定された釘の種類や間隔を守らなければ、計算上の耐力を十分に発揮できない可能性があります。
正式な耐震等級3を取得することに加え、構造図面と現場施工が一致していることの確認が重要です。
6.防水施工が悪いとどうなりますか?
屋根材や外壁材は、雨を完全に止めるものではありません。内側の下葺き材や透湿防水シートが二次防水層として建物を守ります。
防水施工に問題がある場合
- 屋根から雨漏りする
- 窓まわりから水が入る
- 壁内部の断熱材が濡れる
- 木材が腐朽する
- カビや臭いが発生する
- 金物や釘がさびる
- シロアリ被害を招く
- 断熱・耐震性能が低下する
高断熱住宅でも、断熱材や構造材が濡れれば、性能と耐久性の両方へ影響します。
7.防蟻施工が悪いとどうなりますか?
ベタ基礎や防蟻シートを採用していても、配管貫通部、シートの継ぎ目、玄関土間などの施工が不十分では、シロアリの侵入経路が残ります。
防蟻施工の重要部分
- 防蟻シートの重ね・端部
- 破損箇所の補修
- 給排水管の貫通部
- 基礎の水抜き穴
- 玄関・勝手口の土間
- 基礎の打継ぎ部
- 木部の防腐・防蟻措置
- 施工写真と保証申請
「防蟻シートを使っている」という商品名だけでなく、施工要領どおりに処理され、保証申請まで完了しているかが大切です。
高価な建材を使えば安心ですか?
高価な建材を使うだけでは、安心とはいえません。
住宅性能は、次の掛け合わせで決まります。
実際の住宅性能=設計×材料×施工×検査×維持管理
どれか一つが極端に不足すると、期待した性能を発揮できない場合があります。
| 家づくり | 問題点 |
|---|---|
| 高性能材料+不十分な設計 | 材料の使い方や配置が適切でない |
| 高性能設計+不十分な施工 | 計算上の性能を再現できない |
| 高性能施工+検査なし | 間違いや欠損を発見しにくい |
| 高性能住宅+維持管理なし | 防水・換気・設備性能が低下する |
高性能住宅では、「何を使うか」と同時に「誰が、どのように施工し、どう確認するか」を見なければなりません。
性能を確認する方法はありますか?
1.設計図書・計算書を確認する
- 断熱等級
- UA値・ηAC値
- 一次エネルギー消費量・BEI
- 耐震等級
- 構造計算または性能評価の方法
- 断熱材・窓・換気設備の仕様
- 防水・防蟻仕様
「高性能です」という説明だけでなく、具体的な数値や図書で確認しましょう。
2.施工中に確認する
性能に関わる部分は、完成すると壁や天井の中へ隠れます。
特に次の段階での確認が重要です。
- 基礎配筋時
- 構造体・耐力面材施工時
- 断熱材施工後
- 気密層施工後
- 外壁防水シート施工後
- 屋根下葺き施工後
- 防蟻シート施工時
3.気密測定を行う
気密測定では、完成住宅などのC値を実測できます。
気密測定を行う場合は、単に数値を測るだけでなく、結果が悪かったときに修正できる時期に実施することが重要です。
一般的には次の考え方があります。
| 測定時期 | メリット |
|---|---|
| 工事途中 | 隙間を探して修正しやすい |
| 完成時 | 実際の引渡し状態を確認できる |
| 中間+完成 | 修正と最終確認の両方ができる |
気密測定の実施回数、目標C値、未達時の対応は、契約前に確認しておくと安心です。
4.住宅性能評価を確認する
住宅性能表示制度には、図面を確認する「設計住宅性能評価」と、建設工事の現場検査を経て交付される「建設住宅性能評価」があります。
| 評価書 | 確認内容 |
|---|---|
| 設計住宅性能評価書 | 設計図書上の性能 |
| 建設住宅性能評価書 | 工事中・完成段階の現場検査を経た性能 |
設計評価だけでなく、建設評価を受けることで、現場施工についても第三者機関による所定の検査が行われます。住宅性能評価・表示協会「住宅性能表示制度」
ただし、建設住宅性能評価も、すべての施工箇所を常時監視する制度ではありません。住宅会社による施工管理や写真記録も必要です。
住宅会社へ確認したい質問
- 断熱等級とUA値はいくつですか
- 断熱材の施工基準はありますか
- 断熱施工後に誰が確認しますか
- 気密測定を実施しますか
- 目標C値はいくつですか
- C値が目標に届かない場合は修正しますか
- 耐震等級は正式な等級3ですか、等級3相当ですか
- 構造施工をどのように検査しますか
- 防水シート施工後の検査はありますか
- 窓・配管まわりの防水方法はどうなっていますか
- 防蟻処理の施工写真と保証書はありますか
- 隠れる部分の写真を施主へ渡してもらえますか
- 現場担当者は何棟を同時に管理していますか
- 設計と異なる施工が発生した場合、どう記録・是正しますか
宮崎では施工精度が特に重要です
宮崎は、住宅にとって次のような負荷がかかる地域です。
- 夏の強い日射
- 高温多湿
- 梅雨時期の長雨
- 台風の横殴りの雨
- 短時間の豪雨
- 冬の朝晩の冷え込み
- シロアリが活動しやすい気候
断熱性能だけを高めても、日射遮蔽が不足すれば夏に暑くなります。気密性能だけを高めても、換気や除湿が適切でなければ湿気が残ります。
また、防水施工が悪ければ雨水が壁内へ入り、断熱材・構造用面材・木材を傷める可能性があります。
宮崎の高性能住宅では、断熱・気密だけでなく、日射遮蔽、換気、除湿、防水、防蟻、耐風を一体で考える必要があります。
デザインハウス宮崎の考え方
デザインハウス宮崎では、性能をカタログ上の数値だけで判断せず、宮崎の気候に合った設計と施工を組み合わせることを重視しています。
- 面で建物を支える2×4工法
- 正式な耐震等級3
- ZEH水準を標準仕様
- 断熱等級6を推奨
- 高性能グラスウール「アクリアα」
- 断熱材の隙間・たるみ・欠損を防ぐ施工
- 窓・屋根・外壁の連続した断熱・防水計画
- 日本スティーベルのダクトレス第一種熱交換換気
- 深い軒による夏の日射と雨掛かりの軽減
- ターミダンシートによる防蟻・防湿対策
- 所定の条件に基づくシロアリ20年保証
高性能グラスウール「アクリアα」も、材料を入れるだけでは本来の性能を発揮できません。配線・配管・コンセント・筋かいなどの周囲まで、隙間なく丁寧に施工する必要があります。
また、正式な耐震等級3も、構造計画に加えて、耐力壁、面材、釘、金物などが図面どおり施工されていることが重要です。
デザインハウス宮崎が大切にするのは、「性能の高い材料を売ること」ではなく、設計した性能を実際の住宅で再現し、長く維持できる家づくりです。
まとめ
- 設計上の高性能と、完成した家の実際の性能は同じとは限らない
- UA値は、断熱材などが正しく施工されることを前提とした計算値
- 断熱材の隙間・欠損は、暑さ・寒さ・結露につながる
- 気密施工が悪いと、冷暖房効率や換気計画へ影響する
- 高性能な窓でも、取付け部分の断熱・気密・防水が重要
- 換気設備は、機器だけでなく配置と空気の通り道が重要
- 耐震等級3も、釘・金物・耐力壁などが図面どおり施工されることが前提
- 防水・防蟻性能も、継ぎ目や貫通部の施工精度に左右される
- 完成後に隠れる部分は、工事中の検査と写真記録が重要
- 設計・材料・施工・検査・維持管理をセットで考える
結論として、高性能住宅は、良い数値や高価な材料だけでは完成しません。設計した性能を現場で正確に再現し、それを検査で確認して初めて「実際に高性能な家」になります。








