株式会社ツチモチが運営する「デザインハウス宮崎」の町田です。
「トリプルガラスは北海道などの寒い地域で使うものではありませんか?」
「暖かい宮崎なら、ペアガラスで十分ではないでしょうか?」
窓の仕様を検討するとき、このようなご質問をいただくことがあります。
先に結論をお伝えすると、宮崎のすべての住宅、すべての窓にトリプルガラスが必要なわけではありません。
宮崎では、樹脂サッシと高性能なLow-Eペアガラスでも、窓の数や大きさ、建物全体の断熱性能を適切に計画すれば、快適な住宅をつくることができます。
一方で、
- 断熱等級7を目指す
- 窓際の暑さや寒さをできるだけ抑えたい
- 大きな窓を設けたい
- 家全体の温度差を小さくしたい
- 長期間の快適性を優先したい
という場合には、宮崎でもトリプルガラスを採用する価値があります。
大切なのは、地域名やガラスの枚数だけで判断せず、住宅一棟ごとに必要性を考えることです。
トリプルガラスとは?
トリプルガラスとは、3枚のガラスと2つの中空層で構成されたガラスです。
基本的な構造は次のようになります。
ガラス+中空層+ガラス+中空層+ガラス
2枚のガラスで構成されるペアガラスには中空層が一つありますが、トリプルガラスには二つあります。
この二つの中空層が、室内と屋外の間の熱移動を抑えるため、一般的にはペアガラスより断熱性能を高めやすくなります。
ただし、実際の性能はガラスの枚数だけで決まりません。
- サッシの材質
- Low-E膜の種類と位置
- 中空層の厚さ
- 封入されているガス
- スペーサーの材質
- 窓の大きさ
- 窓の開き方
によって、窓全体の性能が変わります。
宮崎でも冬の窓際は寒くなる
宮崎は温暖な地域ですが、冬の朝には外気温が低くなります。
断熱性能の低い窓では、暖房で室温を上げてもガラスの室内側表面が冷たくなります。
すると、
- 窓の近くにいると寒く感じる
- カーテンの下から冷気が流れてくる
- 暖房しても足元が寒い
- 窓に結露が発生する
- 暖房を止めると室温が下がりやすい
といったことが起こります。
人の体感温度は、空気の温度だけでなく、壁、床、天井、窓などの表面温度にも影響されます。
室温が22℃あっても、窓の表面温度が低ければ、窓の近くでは寒さを感じやすくなります。
トリプルガラスはペアガラスより室内側の表面温度を保ちやすいため、窓際の寒さやコールドドラフトを軽減する効果が期待できます。
宮崎の夏にもトリプルガラスの効果はある
トリプルガラスは寒さ対策だけのものではありません。
熱を伝えにくいため、夏には屋外の熱が室内へ伝わることを抑え、冷房した室温を保ちやすくします。
高温多湿で冷房を使う期間が長い宮崎でも、
- 窓際の暑さを軽減しやすい
- 外の熱を室内へ伝えにくい
- 冷房効率を高めやすい
- 室温の上昇を緩やかにしやすい
- エアコンの負担を減らしやすい
というメリットがあります。
ただし、宮崎の夏は、外気温だけでなく窓から入る強い日射熱の影響を大きく受けます。
そのため、トリプルガラスを採用しただけで、夏の暑さを十分に防げるわけではありません。
夏の暑さ対策は「ガラスの枚数」だけでは足りない
窓から室内へ入る熱には、大きく分けて次の二つがあります。
- 室内外の温度差によって伝わる熱
- 太陽の日差しによって入る熱
トリプルガラスは、温度差による熱の移動を抑えることには有効です。
一方、夏の日差しをどれだけ遮るかは、Low-Eガラスの種類や日射熱取得率、窓の方角、軒や庇などによって変わります。
宮崎では、トリプルガラスと併せて次の対策が必要です。
- 南側には適切な深さの軒や庇を設ける
- 東側・西側の窓を必要以上に大きくしない
- 方角に応じてLow-Eガラスを選ぶ
- 外付けシェードやすだれを活用する
- シャッターや植栽で西日を和らげる
- 冬の日射取得も考えて窓を配置する
特に西日は太陽の高度が低く、軒だけでは遮りにくいため、窓の外側で遮る対策が重要です。
トリプルガラスなら結露しない?
トリプルガラスは室内側のガラス表面が冷たくなりにくいため、ペアガラスより結露を抑えやすくなります。
しかし、トリプルガラスでも結露が絶対に発生しないわけではありません。
結露は次の条件にも左右されます。
- 室内の温度と湿度
- 外気温
- サッシの材質
- スペーサーの材質
- 換気の状態
- 室内干しの量
- 加湿器の使用
- カーテンの閉め方
- 窓まわりの空気の流れ
特に宮崎は湿度が高いため、ガラスの性能だけでなく、換気と除湿を適切に計画する必要があります。
また、トリプルガラスをアルミサッシと組み合わせると、ガラスは結露しにくくなっても、熱を伝えやすいアルミ部分に結露が発生する可能性があります。
結露対策を重視する場合は、ガラスだけでなく樹脂サッシとの組み合わせが有効です。
宮崎でトリプルガラスをおすすめしたい住宅
断熱等級7を目指す住宅
断熱等級7の高い外皮性能を実現する場合、窓からの熱損失を減らす必要があります。
樹脂サッシとトリプルガラスの組み合わせが、有力な選択肢になります。
ただし、トリプルガラスだけで等級7になるわけではありません。屋根、壁、床、玄関ドア、熱橋対策など、建物全体の性能を高める必要があります。
大きな窓のある住宅
窓の面積が大きくなるほど、建物全体の断熱性能に与える影響も大きくなります。
明るさや眺望のために大きな窓を採用したい場合は、トリプルガラスによって熱の出入りを抑える効果が期待できます。
ただし、大きなトリプルガラスは重量が増すため、開閉のしやすさ、耐風圧性能、飛来物への対策も必要です。
吹き抜けや大空間のある住宅
吹き抜けや広いLDKは、空間全体を冷暖房する必要があります。
大きな窓も組み合わせる場合は、窓の断熱性能が室内環境に与える影響が大きくなります。
室温だけでなく窓の表面温度を保ちやすくするため、トリプルガラスを検討する価値があります。
窓際の快適性を重視する住宅
窓の近くにソファ、ベッド、ダイニングテーブルなどを置く場合、窓の表面温度が体感温度に影響します。
冬の冷たさや夏の熱さをできるだけ抑えたい方には、トリプルガラスが適しています。
50代・60代からの建て替え
50代・60代からの建て替えでは、将来の健康と室内温度差も重要です。
寝室、トイレ、洗面脱衣室などの窓性能を高めることで、冬の寒さを抑えやすくなります。
一方、大きなトリプルガラスの引違い窓は重くなる場合があります。将来の握力や身体状況も考え、窓の大きさや開き方まで検討しましょう。
騒音が気になる住宅
ガラス構成によっては、防音性を高められる場合があります。
ただし、トリプルガラスなら必ず防音性能が高いとは限りません。道路交通音などを防ぎたい場合は、ガラスの厚さを変えたり、防音合わせガラスや内窓を検討したりする必要があります。
ペアガラスでも十分な場合
次のような条件では、高性能なペアガラスが合理的な選択になることがあります。
- 断熱等級6を目標としている
- 窓の面積を適切に抑えている
- 樹脂サッシを採用する
- 高性能なLow-Eペアガラスを選ぶ
- 軒や庇による日射対策ができている
- 建物形状がコンパクトである
- 一棟ごとの外皮計算で目標性能を確認している
- 建築費とのバランスを重視する
宮崎では「樹脂サッシ+Low-Eペアガラス」が、性能と価格のバランスを取りやすい基本候補です。
ガラスをトリプルにする前に、耐震性、防水・防湿、断熱材の施工、気密性、換気、日射対策などへ予算を配分した方が、住宅全体として効果的な場合もあります。
トリプルガラスのデメリット
初期費用が高くなる
ペアガラスより材料と製造工程が増えるため、一般的には費用が高くなります。
差額はメーカー、窓の数、大きさ、商品シリーズによって変わります。坪単価による説明ではなく、建物一棟での実際の差額を確認しましょう。
窓が重くなる
3枚のガラスを使用するため、ペアガラスより重量が増します。
特に大きな引違い窓では、
- 開け閉めが重い
- 掃除が大変になる
- 将来の身体的負担になる
- 製作可能寸法に制限がある
といったことがあります。
設計段階で実物を操作して確認することをおすすめします。
冬の日射熱も減ることがある
断熱性能を高めるために日射を強く遮るガラスを選ぶと、夏の日射だけでなく、冬に利用できる太陽の暖かさも減ることがあります。
南側の窓から冬の日差しを十分に取り込める敷地では、ガラスの日射熱取得率も確認する必要があります。
費用回収だけでは判断しにくい
宮崎は寒冷地より暖房期間が短いため、光熱費の削減だけでトリプルガラスの追加費用を短期間に回収できるとは限りません。
トリプルガラスの価値は、光熱費だけではなく、
- 窓際の快適性
- 室温の安定
- 結露の軽減
- 冷暖房の効きやすさ
- 将来の健康や暮らしやすさ
も含めて判断する必要があります。
全部の窓をトリプルにする必要はある?
すべての窓を同じ仕様にする必要はありません。
例えば、
- 大きなリビング窓はトリプルガラス
- 小さな窓は高性能ペアガラス
- 寝室や脱衣室はトリプルガラス
- 西側は日射遮蔽を優先
- 南側は冬の日射取得を考慮
という使い分けもできます。
ただし、窓ごとに仕様を変えると、発注や施工が複雑になり、必ずしも費用が下がるとは限りません。
最終的には外皮計算を行い、快適性、費用、施工性を含めて判断しましょう。
ペアとトリプルは、U値で比較する
窓は、ガラスの枚数や商品名だけでなく、「窓全体のU値」で比較します。
U値は、窓からどれくらい熱が伝わるかを示す数値です。数値が小さいほど、断熱性能が高い窓です。
確認すべきなのは、ガラス中央部分だけの性能ではなく、サッシを含めた窓全体のU値です。
国の窓性能表示制度でも、断熱性能と日射熱取得率は分けて表示されています。国土交通省「省エネ性能向上のための窓の性能表示制度」
比較するときは、次の項目を確認しましょう。
- 窓全体のU値
- サッシの材質
- Low-E膜の種類
- 日射熱取得率
- 中空層の厚さ
- 封入ガスの種類
- スペーサーの材質
- 窓の開き方
- 耐風圧・水密性能
宮崎での選び分けの目安
| 住宅の希望・条件 | 基本的な候補 |
|---|---|
| 建築費とのバランスを重視 | 樹脂サッシ+Low-Eペア |
| 断熱等級6を目指す | 高性能ペアを基本に外皮計算 |
| 等級6でも快適性を高めたい | 大きな窓などにトリプルを検討 |
| 断熱等級7を目指す | 樹脂サッシ+トリプルを中心に検討 |
| 大きな窓が多い | トリプルの性能・重量・操作性を確認 |
| 西側・東側の窓 | ガラス枚数より日射遮蔽を重視 |
| 冬の日差しが入る南窓 | 日射取得率を確認して選定 |
| 50代・60代の建て替え | 快適性と開閉のしやすさを両方確認 |
これは一般的な目安であり、最終的には建築地と建物ごとの計算が必要です。
住宅会社へ確認してほしいこと
トリプルガラスを検討するときは、次の内容を住宅会社へ確認しましょう。
- トリプルガラスにする目的は何か
- ペアガラスとの一棟分の差額はいくらか
- 窓全体のU値はいくつか
- サッシは樹脂かアルミ樹脂複合か
- Low-Eガラスは取得型か遮蔽型か
- 方角ごとにガラスを選んでいるか
- 中空層には何が入っているか
- 樹脂スペーサーを使用しているか
- ペアとトリプルでUA値がどれだけ変わるか
- 冷暖房負荷がどれだけ変わるか
- 大きな窓の開閉が重くないか
- 宮崎の台風に必要な耐風圧・水密性能があるか
「トリプルガラスだから高性能」という言葉だけでなく、数値と設計上の目的を確認することが大切です。
私たちが考える宮崎のトリプルガラス
宮崎でトリプルガラスは、すべての住宅に必須という設備ではありません。
樹脂サッシと高性能なLow-Eペアガラスでも、窓の配置や大きさ、断熱材、気密、日射対策を適切に計画すれば、快適な住宅をつくることは可能です。
一方、断熱等級7、大きな窓、吹き抜け、窓際の快適性などを求める場合には、トリプルガラスの価値が高まります。
株式会社ツチモチとデザインハウス宮崎では、
ペアかトリプルかを先に決めるのではなく、その家に必要なUA値、窓際の快適性、日射対策、予算から逆算して選ぶこと
を大切にしています。
北海道で学んだ断熱の知恵に、宮崎の強い日差し、高温多湿、台風への備えを組み合わせる。
宮崎だからトリプルガラスは不要、寒冷地で使われるものだから高性能、という二択ではありません。
建築地と暮らし方に合わせて、本当に必要な窓性能を選ぶことが、宮崎型高性能住宅につながります。








