公開日:2026年8月○日
監修・作成:デザインハウス宮崎(株式会社ツチモチ)
「50歳から建て替えても、老後の生活は大丈夫でしょうか?」
「今の家に住宅ローンが900万円残っています。それでも建て替えられますか?」
「断熱等級6と耐震等級3は、予算を抑えるために諦めなければいけませんか?」
今回は、夫50歳・妻45歳のご夫婦が、80㎡・2LDKの住宅へ建て替えるモデル事例をご紹介します。
建て替え総額は2,680万円、現在の住宅ローン残高は900万円です。
建物の価格だけでなく、現在の住宅ローン、退職金、年金、生活費、修繕費、医療・介護費などを含め、夫90歳までの金融資産を試算しました。
この建て替え事例の結論
今回の計画は、条件を3つ整えることで、建て替えを前向きに検討できます。
おすすめ標準案は、次のとおりです。
| 項目 | おすすめ標準案 |
|---|---|
| おすすめ建築総額 | 2,480万円 |
| 自己資金 | 600万円 |
| 既存ローンを含む住宅ローン | 2,780万円 |
| 毎月返済額 | 約13万8,000円 |
| 建築後に残す現金 | 900万円 |
| 完済年齢 | 夫70歳 |
| 老後の基本生活費 | 月17万4,000円 |
| 90歳時点の予想残高 | 約494万円 |
守る条件は、次の3つです。
- 2LDKの間取り
- 断熱等級6
- 耐震等級3
一方、建築総額は2,680万円から2,480万円へ、200万円調整します。
調整するのは耐震性能や断熱性能ではありません。外構工事の施工時期、設備グレード、造作家具、間取りの複雑さ、建物面積など、完成後でも見直しやすい部分を中心に検討します。
なぜ「条件調整型」という判定なのか
今回の建て替えは、建築費だけを見れば自己資金500万円と住宅ローン2,180万円で計算が合います。
しかし、現在の住宅ローンが900万円残っています。
建て替え総額2,680万円に対して、
- 自己資金:500万円
- 新しい住宅ローン:2,180万円
とすると、建築費は準備できますが、既存住宅ローン900万円の精算方法が決まっていません。
現在の建物を解体して建て替える場合、既存住宅ローンをそのまま残せるとは限りません。金融機関との調整や、新しい住宅ローンへの借り換え・一本化が必要になる可能性があります。
そこで今回の試算では、既存住宅ローン900万円を新しい住宅ローンへ組み込むものとして暫定計算しました。
現在の希望では、住宅ローンはいくら必要?
現在希望している建築総額は2,680万円です。
これに既存住宅ローン900万円を加えると、住宅に関する必要資金は合計3,580万円になります。
自己資金500万円を使用する場合、新たに整理する住宅ローンは次の金額です。
3,580万円-自己資金500万円=3,080万円
つまり、希望する住宅ローン2,180万円とは別に、既存住宅ローン900万円の精算方法を決める必要があります。
| 資金項目 | 金額 |
| 建て替え総額 | 2,680万円 |
| 既存住宅ローン | 900万円 |
| 住宅関連資金の合計 | 3,580万円 |
| 自己資金 | 500万円 |
| 必要な住宅ローン | 3,080万円 |
これは金融機関から3,080万円を借りられることを保証するものではありません。
実際には、土地と建物の担保状況、現在の住宅ローン契約、完済条件、年収、健康状態、団体信用生命保険、金融機関の審査基準などを確認する必要があります。
建て替え総額2,680万円には何が含まれている?
今回の2,680万円は、建物本体価格だけではありません。
| 費用項目 | 金額 |
| 建物本体 | 1,500万円 |
| 付帯工事 | 300万円 |
| 解体費 | 150万円 |
| アスベスト調査・除去費 | 50万円 |
| 仮住まい費 | 0円 |
| 往復引越し費 | 50万円 |
| 登記費 | 30万円 |
| 測量費 | 20万円 |
| 外構費 | 150万円 |
| 地盤改良予備費 | 100万円 |
| 設計・確認申請費 | 80万円 |
| 住宅ローン諸費用 | 30万円 |
| 火災・地震保険 | 20万円 |
| その他費用 | 200万円 |
| 合計 | 2,680万円 |
建て替えでは、建物本体以外の費用が大きくなります。
解体、アスベスト、仮住まい、往復の引越し、登記、測量、外構、地盤改良、住宅ローン諸費用まで含めた「入居までの総額」で判断することが大切です。
なお、仮住まい費は0円で入力されています。親族宅などを利用できる予定なのか、まだ見積もりを取っていないのかによって結果が変わるため、正式計画では確認が必要です。
なぜ建築総額を200万円調整するのか
おすすめ標準案では、建築総額を2,680万円から2,480万円へ200万円調整します。
目的は、単に家を小さくしたり、住宅性能を下げたりすることではありません。
現在の住宅ローン900万円を整理しながら、建築後の現金を残し、老後の毎月の支出を抑えるためです。
削減を検討する順番は、次のとおりです。
- 建物面積の微調整
- 凹凸の少ないシンプルな間取り
- 設備グレード
- 造作家具や装飾
- 外構工事の範囲と施工時期
- 解体・引越し・仮住まい費の相見積もり
- その他費用200万円の内訳確認
一方で、次の項目は原則として守ります。
- 耐震性能と構造安全性
- 断熱性能
- 気密性能
- 換気性能
- 建築後の手元資金
- 将来の修繕費
- 医療・介護に備える資金
特に断熱、気密、耐震などは、完成後に変更しにくい部分です。
予算調整は、将来変更しやすい設備や外構から検討します。
3つの建て替え案を比較
今回の試算では、「希望優先案」「おすすめ標準案」「安全重視案」の3案を作成しました。
| 比較項目 | 希望優先案 | おすすめ標準案 | 安全重視案 |
| 建築総額 | 2,680万円 | 2,480万円 | 2,280万円 |
| 自己資金 | 500万円 | 600万円 | 500万円 |
| 既存ローンを含む住宅ローン | 3,080万円 | 2,780万円 | 2,680万円 |
| 毎月返済額 | 約15万3,000円 | 約13万8,000円 | 約13万3,000円 |
| 建築後の現金 | 1,000万円 | 900万円 | 1,000万円 |
| 老後の基本生活費 | 月16万8,000円 | 月17万4,000円 | 月17万8,000円 |
| 完済年齢 | 70歳 | 70歳 | 70歳 |
| 90歳時点の予想残高 | 約497万円 | 約494万円 | 約539万円 |
| 位置づけ | 住宅の希望を優先 | 希望と安心の両立 | 将来支出への余裕を重視 |
希望優先案
希望優先案では、建築総額2,680万円を維持します。
既存住宅ローン900万円を含めた住宅ローンは3,080万円、毎月返済額は約15万3,000円です。
建築後に現金1,000万円を残せますが、90歳時点で約500万円を残すためには、老後の基本生活費を月16万8,000円程度へ調整する必要があります。
住宅の希望をできるだけ残したい方向けの案ですが、老後の生活費管理が重要になります。
おすすめ標準案
おすすめ標準案では、建築総額を200万円調整して2,480万円とします。
自己資金は600万円、既存住宅ローンを含む住宅ローンは2,780万円です。
毎月返済額は約13万8,000円となり、建築後に現金900万円を残します。
老後の基本生活費を月17万4,000円程度に整えることで、夫90歳時点の予想残高は約494万円です。
2LDK、断熱等級6、耐震等級3を守りながら、住宅費と老後資金のバランスを取る中心案です。
安全重視案
安全重視案では、建築総額を2,280万円へ抑えます。
自己資金500万円、住宅ローン2,680万円、毎月返済額は約13万3,000円です。
建築後に現金1,000万円を残し、老後の基本生活費は月17万8,000円を確保します。
90歳時点の予想残高は約539万円です。
医療費、介護費、建物修繕費など、将来の支出により余裕を持ちたい方向けの案です。
現在の希望条件のままでは、老後資金はどうなる?
現在の希望条件をそのまま使い、
- 建築総額:2,680万円
- 自己資金:500万円
- 既存ローンを含む住宅ローン:3,080万円
- 現役中の基本生活費:月20万円
- 老後の基本生活費:月20万円
- 物価上昇率:年1.2%
として90歳まで計算すると、90歳時点で約895万円の不足が見込まれました。
ただし、これは「建て替えられない」という結論ではありません。
不足の原因を分けて考えると、調整方法が見えてきます。
主な原因は次の3点です。
- 現在の住宅ローン900万円が残っている
- 70歳まで住宅ローン返済が続く
- 老後生活費に年1.2%の物価上昇を反映している
条件を組み替えることで、建て替えの可能性があります。
今回のおすすめ標準案では、建築総額を200万円調整し、自己資金を100万円増やし、老後の基本生活費を月17万4,000円へ再設計することで、90歳時点約494万円を残す計画に整えています。
建築後に900万円を残す理由
50代からの建て替えでは、住宅ローンを少なくすることだけが安心ではありません。
建築直後には、次のような予定外の支出が発生する可能性があります。
- 解体時に見つかった地中障害物
- アスベスト除去費の追加
- 地盤改良費
- 仮住まい期間の延長
- 外構工事の追加
- 家具・家電の購入
- 車の故障や買い替え
- 病気や入院
- 親族に関係する支出
今回のおすすめ標準案では、現在の預金1,500万円から自己資金600万円を使用し、建築後に現金900万円を残します。
住宅ローンの借入額だけを小さくするのではなく、「建て替えた直後に、すぐ使える現金がいくら残るか」を重視した計画です。
退職金1,400万円は建て替えに使う?
今回の退職金は、ご夫婦合計で1,400万円です。
- 夫の退職金:1,200万円
- 妻の退職金:200万円
年齢差を考えると、夫65歳・妻60歳の時期に受け取る予定です。
おすすめ標準案では、この退職金を建築時の自己資金には使いません。
退職金は65歳時点で老後資金へ加算し、次の費用に備えます。
- 住宅ローン返済
- 建物修繕費
- 車の買い替え
- 医療・介護費
- 物価上昇による生活費増加
- 年金だけでは不足する生活費
退職金を受け取った後、すぐに住宅ローンを繰上返済する方法もあります。
ただし、繰上返済を行う前に、医療費、介護費、修繕費、生活予備費を分けて確保する必要があります。
年金生活になっても大丈夫?
年金の入力条件は、次のとおりです。
| 項目 | 受給開始 | 月額 |
| 夫の年金 | 65歳 | 15万円 |
| 妻の年金 | 60歳 | 8万円 |
| 夫婦合計 | 同じ時期に開始予定 | 月23万円 |
夫婦の年齢差は5歳です。
夫65歳のときに妻60歳となるため、今回の入力条件では、夫婦の年金は同じ時期から受給開始となります。
夫婦合計の年金は額面で年間276万円です。
税金や社会保険料を考慮し、年間手取り約248万円として暫定計算しています。
一方、生活費には年1.2%の物価上昇を反映しています。
そのため、年金だけで90歳までのすべての生活費を賄うのではなく、預金と退職金を計画的に取り崩す前提です。
将来の大きな支出も計算している?
今回の試算では、次の支出を計算しています。
| 発生時期 | 支出内容 | 金額 |
| 夫60歳 | 車の買い替え | 100万円 |
| 夫65歳 | 建物修繕費 | 150万円 |
| 夫80歳 | 医療・介護、援助、旅行などの予備費 | 260万円 |
医療・介護予備費100万円、子ども・孫への援助100万円、旅行・趣味費50万円、その他特別支出10万円については、発生年齢が入力されていません。
そこで今回は、合計260万円を夫80歳時点で支出する保守的な暫定計算としました。
実際の発生時期が分かれば、年齢ごとに分けて再計算します。
今回の試算で使用した収入の考え方
入力された年収は税込年収です。
毎年の資産残高を計算するには、税金や社会保険料を差し引いた手取り収入が必要です。
そこで今回は、次の金額を暫定的な手取り収入として使用しました。
| 収入 | 税込年収 | 推定手取り |
| 夫・現役中 | 550万円 | 約430万円 |
| 夫・再雇用中 | 400万円 | 約320万円 |
| 妻・現役中 | 200万円 | 約160万円 |
| 夫婦の年金 | 年276万円 | 約248万円 |
実際の手取り額は、扶養家族、社会保険、住民税、生命保険料控除などによって変わります。
正式な資金計画では、源泉徴収票、給与明細、年金見込額を確認して再計算します。
建て替えを実現する4つのステップ
STEP1 建築総額を再設計する
建築総額2,680万円から200万円を調整し、2,480万円を目標とします。
外構の分割施工、設備、造作家具、建物面積、間取りの複雑さなどから調整します。
STEP2 建築後に残す現金を先に確保する
自己資金をいくら出せるかではなく、建築後にいくら残すかを先に決めます。
おすすめ標準案では、現金900万円を残します。
STEP3 既存住宅ローンを含めて比較する
新しい住宅ローンだけでなく、現在残っている900万円をどのように精算するか確認します。
借り換え、一本化、自己資金での一部精算などを金融機関と比較します。
STEP4 正式資料で再計算する
収入、年金、税金、社会保険、既存ローン、建築見積もりを確認し、最終判断します。
次回までに確認したい資料
正式な計画を作るため、次の資料を確認します。
- ご夫婦の源泉徴収票
- 直近の給与明細
- ご夫婦それぞれの年金見込額
- 預金・投資・保険の残高
- 退職金の見込額と受取時期
- 現在の住宅ローン返済予定表
- 現在の住宅ローンの金利と残存期間
- 建築・解体・外構工事の見積書
- 仮住まい・引越しの見積書
- 住宅ローンの事前審査結果
- 車や医療費など、将来の大きな支出
よくある質問
50歳から20年の住宅ローンは組めますか?
50歳から20年返済の場合、計算上の完済年齢は70歳です。ただし、融資承認は保証されません。年収、勤続年数、健康状態、団体信用生命保険、既存借入、担保評価などによって結果が変わります。
既存住宅ローン900万円があっても建て替えられますか?
建て替えを検討することはできます。ただし、現在の建物を解体する前に、既存住宅ローンの金融機関へ相談が必要です。新しい住宅ローンへの借り換えや一本化が必要になる場合があります。
預金1,500万円をもっと自己資金に使ったほうがよいですか?
自己資金を増やせば住宅ローンは減りますが、建築後の現金も少なくなります。50代からの建て替えでは、医療・介護費、修繕費、車の買い替えなどに備え、現金を残すことも大切です。
断熱等級6と耐震等級3は予算調整の対象ですか?
今回のおすすめ標準案では守る条件です。予算調整は、外構、設備、造作、間取りの複雑さ、建物面積などから先に検討します。
老後生活費を月17万4,000円にすれば必ず大丈夫ですか?
保証できる金額ではありません。今回の収入、年金、物価上昇率、特別支出を基にした暫定的な目安です。実際の支出を確認し、税金や社会保険を含めて再計算する必要があります。
90歳時点で約494万円残ることは保証されますか?
保証値ではありません。収入、年金、物価、金利、医療費、介護費、修繕費などが変われば、将来の資産残高も変わります。
宮崎県で50代・60代から建て替えを考えている方へ
50代・60代の建て替えで大切なのは、「住宅ローンがいくら借りられるか」だけではありません。
確認したいのは、次の4点です。
- 建て替え後に現金をいくら残せるか
- 退職後も住宅ローンを返せるか
- 医療・介護・修繕費を準備できるか
- 90歳時点で資産を残せるか
現在の希望条件で将来の資金不足が見込まれても、すぐに建て替えを諦める必要はありません。
建築総額、自己資金、住宅ローン、建物面積、設備、外構、老後生活費を組み替えることで、安心できる着地点が見つかる可能性があります。
デザインハウス宮崎では、住宅ローンの審査に通る金額ではなく、「老後資金を残しながら返せる金額」から建築予算を考えます。
ご希望の間取りや住宅性能を守りながら、調整できる項目を一緒に整理していきます。
まとめ
今回のモデル事例では、希望する建築総額2,680万円のまま、老後生活費月20万円を維持すると、90歳時点で約895万円の不足が見込まれました。
そこでおすすめ標準案では、次の3条件を整えます。
- 建築総額を2,680万円から2,480万円へ200万円調整する
- 既存住宅ローン900万円を含めた借り換えを確認する
- 老後の基本生活費を月17万4,000円へ再設計する
その結果、建築後に現金900万円を残し、夫70歳で住宅ローンを完済し、90歳時点で約494万円を残す計画になります。
2LDK、断熱等級6、耐震等級3は守ります。
今回の診断は、建て替えを諦めるためのものではありません。
住宅ローンが通るかどうかだけで判断せず、老後資金を残しながら建てられる方法を探します。
おすすめ建築総額を基準に、どこまで希望を実現できるか確認しましょう。
50代・60代の建て替え資金相談
デザインハウス宮崎
株式会社ツチモチ
電話:0985-78-2807
建築費、既存住宅ローン、退職金、年金、生活費をまとめ、90歳までの資産推移を確認します。
建て替え後も安心して暮らせる予算を、一緒に考えてみませんか。
※本記事は入力条件に基づくモデル事例・暫定計算です。将来の収入、年金、金利、物価、資産残高を保証するものではありません。また、金融機関の融資承認や借り換えを保証するものではありません。











