A.最低限検討したいのは「住宅ローン特約」です。そのほか、土地の状況に応じて、建築可否・境界・越境・解体・私道・農地転用・造成などの特約を追加します。
特約で重要なのは、単に「問題があれば解除できる」と書くことではありません。次の4点を具体的に決める必要があります。
- 何が成立しなかった場合か
- 誰が、いつまでに確認するか
- 成立しなかった場合に解除できるか
- 手付金や調査費用を誰が負担するか
土地契約で検討したい主な特約
| 特約の種類 | 主な目的 |
|---|---|
| 住宅ローン特約 | 融資不承認時に契約を解除する |
| 建築可否に関する特約 | 希望する住宅を建てられない場合に備える |
| 境界・確定測量特約 | 境界や実際の面積を明確にする |
| 越境物に関する特約 | 塀・屋根・配管などの越境を整理する |
| 解体・残置物撤去特約 | 古家や地中埋設物の処理を決める |
| 私道特約 | 通行・水道工事などの権利を確保する |
| 農地転用・許可特約 | 必要な許可が得られない場合に備える |
| 擁壁・造成特約 | 補修・造り替えの負担を決める |
| 建築条件付き土地の特約 | 請負契約不成立時の扱いを決める |
1.住宅ローン特約
住宅ローンを利用する場合は、特に重要な特約です。
融資の全部または一部が不承認になった場合に、土地売買契約を解除し、支払った手付金の返還を受けられるようにします。
特約には次の内容を明記します。
- 申込予定の金融機関
- 借入予定額
- 融資の利用目的
- 融資承認期限
- 契約解除期限
- 減額承認だった場合の扱い
- 解除の通知方法
- 手付金などの返還
- 土地先行融資やつなぎ融資を含むか
不動産適正取引推進機構も、金融機関・融資金額・承認期限・不承認時の対応を明確にするよう案内しています。不動産適正取引推進機構「ローン特約・買換え特約」
「住宅ローンが通らなければ白紙解除」という曖昧な表現だけではなく、借入条件と期限を具体的に記載しましょう。
2.希望する住宅が建てられることを条件とする特約
住宅会社の確認前に土地を契約する場合は、希望する建物が建築可能かを確認するための特約を検討します。
例えば、次の条件です。
- 希望する平屋・2階建てを配置できる
- 必要な駐車台数を確保できる
- 法令上、住宅を建築できる
- 想定した床面積を確保できる
- 開発許可や建築許可を取得できる
- 給排水の放流先を確保できる
ただし、「希望どおりの家が建たない場合」という表現では判断基準が曖昧です。必要な延床面積、階数、駐車台数、確認期限などを具体的に決めます。
この特約を売主が承諾するとは限らないため、可能であれば契約前に住宅会社から配置計画を作ってもらう方が確実です。
3.境界・確定測量に関する特約
境界杭がない、測量図が古い、隣地との境が不明確な土地では、次の内容を決めます。
- 売主の責任と費用で確定測量を行う
- 隣地所有者の立会いを得る
- 境界確認書を買主へ交付する
- 境界標を設置する
- 期限までに境界が確定しない場合の扱い
- 登記面積と実測面積が違う場合の精算方法
「公簿売買・境界非明示」とされている場合は、将来の境界トラブルや有効面積の減少を買主が引き受ける可能性があります。
境界や越境の確認は、建物配置にも影響します。全日本不動産協会も、境界非明示での取引には注意が必要と説明しています。全日本不動産協会「敷地境界の調査」
4.越境物に関する特約
隣地の塀・屋根・樹木・配管などが越境している場合は、口頭で済ませず、次のどちらかを決めます。
- 引渡しまでに売主の責任で撤去・是正する
- 直ちに撤去できない場合は、隣地所有者と越境確認書を交わす
越境確認書には、一般的に次の内容を記載します。
- 越境物の位置と範囲
- 所有者
- 建て替えや撤去時に越境を解消すること
- 将来の所有者にも合意内容を引き継ぐこと
越境によって希望する位置に建物を建てられない場合もあるため、配置図と照合しましょう。
5.古家解体・残置物・地中埋設物に関する特約
古家付き土地では、次の負担区分を明確にします。
- 古家を誰が解体するか
- 解体費用を誰が負担するか
- 家具・庭石・植木・物置・井戸の撤去
- 浄化槽や古い基礎の撤去
- アスベストが見つかった場合
- 地中からコンクリートや廃棄物が出た場合
- 解体後に建物滅失登記を誰が行うか
「現況有姿」「契約不適合責任免責」と記載されている土地では、引渡し後に見つかった地中埋設物の撤去費用を買主が負担する可能性があります。免責の対象と期間を確認しましょう。
6.私道の通行・掘削承諾に関する特約
私道に接している土地では、道路を通れるだけでなく、水道・下水・ガスなどの工事ができるかが重要です。
次の書類を引渡しまでに取得する特約を検討します。
- 車両を含む通行承諾書
- 給排水管などの掘削承諾書
- 配管の設置・維持管理承諾書
- 工事車両の通行承諾
- 承諾内容を将来の所有者へ承継する合意
承諾を取得できなかった場合に、契約を解除できるか、手付金を返還するかまで決めておきましょう。
7.農地転用・市街化調整区域などの許可特約
地目が「田・畑」の土地や、市街化調整区域の土地では、農地転用・開発許可・建築許可などが必要になることがあります。
特約では次の内容を明確にします。
- 取得すべき許可の種類
- 申請を行う人
- 申請費用の負担
- 許可取得期限
- 許可されなかった場合の白紙解除
- 手付金などの返還
「たぶん建てられる」という説明だけで契約せず、宮崎県や各市町村の担当窓口へ事前確認を行いましょう。
8.擁壁・造成・高低差に関する特約
古い擁壁や大きな高低差がある土地では、次の内容を確認します。
- 擁壁の確認済証・検査済証の有無
- 安全性を誰が調査するか
- 補修・造り替え費用の負担
- 造成許可が必要になった場合の扱い
- 想定以上の工事費が判明した場合の解除条件
擁壁の造り替えは高額になることがあります。単に「現状で引き渡す」という契約にせず、住宅会社や専門家の確認を先に受けることが大切です。
9.建築条件付き土地の特約
建築条件付き土地では、次の内容を確認します。
- 指定された建築会社
- 建築工事請負契約を結ぶ期限
- 間取りや仕様を決められる範囲
- 請負契約が成立しなかった場合の白紙解除
- 土地の手付金などが全額返還されること
デザインハウス宮崎では間取りを自由に選べますが、他社ではプランや仕様が限定されている場合があります。土地価格だけでなく、希望プランを反映した建物価格まで確認しましょう。
宮崎で追加確認したい内容
宮崎の土地では、特に次の項目を契約前に確認します。
- 洪水・内水・津波・土砂災害リスク
- 過去の浸水・冠水履歴
- 水道引込みと浄化槽の設置
- 雨水・生活排水の放流先
- 台風時の接道や進入路
- 田畑・盛土・旧河川などの土地履歴
- シロアリ被害のある古家
- 宅地造成や古い擁壁
水害ハザードマップ上の所在地は重要事項説明の対象ですが、それだけで過去の冠水履歴や個別敷地の排水状況まで保証されるわけではありません。国土交通省「水害リスク情報の重要事項説明」
特約に入れるときの書き方
特約は、次のように具体化することが重要です。
曖昧な例
「建築できなかった場合は解除できる」
確認したい内容
「誰が、何について、いつまでに確認し、成立しなかった場合にどの方法で解除し、受領済みの金銭をいつ返還するか」
実際の文言は物件ごとに異なります。インターネット上のひな形をそのまま使用せず、宅地建物取引士・住宅会社・必要に応じて土地家屋調査士、行政書士、弁護士などへ確認してください。
まとめ
一般的な土地契約で最優先なのは、住宅ローン特約の内容を具体的にすることです。そのうえで、土地の状況に合わせて、建築可否・境界・越境・私道・解体・許可・擁壁などの特約を検討します。
すべての土地に同じ特約が必要なわけではありません。契約前に住宅会社が土地を調査し、希望の間取りと総予算に影響する問題を洗い出してから、必要な特約を選びましょう。








