「45年ローンを利用すると毎月の返済は抑えられるけれど、80歳まで住宅ローンが残るのは不安」
土地を購入して新築住宅を建てる子育て世帯にとって、住宅ローンと教育費の両立は大きな課題です。
住宅ローンで大切なのは、金融機関から「いくら借りられるか」だけではありません。
子どもの教育費や毎月の生活費を確保しながら、希望する年齢までに無理なく完済できるかを確認することが大切です。
今回は、土地・建物・付帯工事・諸費用を含む新築総額3,500万円のモデルケースで、光熱費の削減分を繰上返済へ回した場合、住宅ローンの完済時期がどのように変わるのかをシミュレーションします。
今回のモデルケース
今回の家族構成は、次の4人家族です。
- 夫:35歳
- 妻:32歳
- 第一子:8歳
- 第二子:6歳
夫の現在年収は380万円で、毎年2%ずつ上昇し、上限は600万円としています。
妻の現在年収は150万円で、7年後からフルタイム勤務へ移行し、年収250万円になる前提です。
ただし、現在年収が税込か手取りか明確ではないため、今回は「税込年収による暫定計算」としています。
家計が黒字になるかどうかを正式に判断するには、源泉徴収票や給与明細を確認し、実際の手取り収入で再計算する必要があります。
新築総額と住宅ローンの条件
新築計画の資金内訳は、次のとおりです。
- 土地・建物・付帯工事・諸費用を含む総額:3,500万円
- 頭金:300万円
- 住宅ローン借入額:3,200万円
- 返済期間:45年
- 返済方法:元利均等返済
- ボーナス返済:なし
- 希望完済年齢:夫70歳
金利は、将来の上昇を想定して次のように設定しました。
- 当初5年間:年1.5%
- 6年目から10年目:年2.0%
- 11年目以降:年2.5%
金利が変わる時点で、そのときの住宅ローン残高と残存期間から毎月返済額を再計算しています。
毎月の住宅ローン返済額はいくらになる?
住宅ローン3,200万円を45年返済で借りた場合、毎月返済額は次のようになります。
- 当初5年間:約8万2,000円
- 6年目から10年目:約8万9,000円
- 11年目以降:約9万7,000円
現在の住居費は月7万円です。
新築後は現在の住居費が終了し、住宅ローン返済へ置き換わります。
現在の住居費と住宅ローン返済を同時に計上していないため、住居費の二重計上はありません。
ただし、新築後には住宅ローン以外にも、固定資産税、火災・地震保険、将来の修繕費などが必要です。
「現在の家賃と住宅ローン返済額があまり変わらないから大丈夫」と判断せず、住宅維持費まで含めて確認することが大切です。
45年ローンをそのまま返すと、完済は80歳
繰上返済を一度も行わず、45年間そのまま返済した場合、ご主人の完済年齢は80歳です。
45年ローンには、毎月返済額を抑えやすいというメリットがあります。
一方で、何も対策をしなければ、定年後や年金生活に入ってからも住宅ローンが残る可能性があります。
そこで今回の計画では、高断熱・高気密住宅によって削減できる光熱費を、住宅ローンの期間短縮へ活用します。
高断熱住宅で削減できた光熱費を繰上返済へ
今回のシミュレーションでは、次の光熱費が削減できるものとしています。
電気代の削減
月1万5,000円×12か月=年間18万円
灯油代の削減
月1万5,000円×5か月=年間7万5,000円
年間の削減見込額
18万円+7万5,000円=年間25万5,000円
月平均では、2万1,250円です。
この2万1,250円を生活費として使ってしまわず、毎月「省エネ繰上返済専用口座」へ積み立てます。
専用口座の残高が50万円に達するたびに、期間短縮型の繰上返済を行います。
期間短縮型とは、毎月の返済額を下げるのではなく、住宅ローンの完済時期を早める繰上返済方法です。
なお、年間25万5,000円の光熱費削減は保証された金額ではありません。
実際の削減額は、住宅面積、断熱性能、気密性能、換気設備、冷暖房設備、家族の在宅時間、設定温度、電気料金、給湯設備、太陽光発電の有無などによって変わります。
3つの返済方法を比較
今回のシミュレーションでは、次の3つの返済方法を比較しました。
1.繰上返済をしない場合
- 完済年齢:夫80歳
- 繰上返済累計額:0円
- 総利息額:約1,861万円
- 70歳時点の住宅ローン残高:約1,019万円
毎月返済額は抑えられますが、70歳を迎えた時点で約1,019万円の住宅ローンが残ります。
2.光熱費削減分だけを繰上返済する場合
高断熱・高気密住宅によって削減できた年間25万5,000円を専用口座へ積み立て、50万円に達するたびに繰上返済します。
- 繰上返済回数:18回
- 繰上返済累計額:900万円
- 完済年齢:夫70歳6か月
- 総利息額:約1,366万円
- 利息削減額:約495万円
- 70歳時点の住宅ローン残高:約95万円
光熱費の削減分だけでも、完済時期を80歳から70歳6か月まで短縮できる計算です。
70歳時点の住宅ローン残高も、約1,019万円から約95万円まで減少します。
3.おすすめ案
おすすめ案では、光熱費の削減分に加えて、第二子が高校を卒業した後から月3,000円を追加で積み立てます。
- 繰上返済回数:19回
- 繰上返済累計額:950万円
- 完済年齢:夫69歳8か月
- 総利息額:約1,334万円
- 利息削減額:約526万円
- 70歳時点の住宅ローン残高:0円
この方法であれば、教育費の負担が大きい時期に無理な追加返済をせず、第二子の高校卒業後から少額を追加することで、70歳までの完済を目指せます。
高校卒業までの教育費は約1,099万円
教育費は、文部科学省の「令和5年度 子供の学習費調査」2026年1月16日訂正版を参考にしています。
公立学校の年間学習費総額は、次の金額を基準としました。
- 公立小学校:36万6,599円
- 公立中学校:54万2,450円
- 公立高校:59万6,954円
さらに、教育費には年0.8%の物価上昇を反映しています。
今回のモデルケースでは、子ども2人が公立小学校、公立中学校、公立高校へ進学した場合、高校卒業までの教育費総額は約1,099万1,000円です。
ただし、誕生月が未確認のため、第一子は小学3年生、第二子は小学1年生として暫定計算しています。
教育費のピークは2035年度
教育費が最も高くなるのは2035年度です。
この年の家族状況は、次のようになります。
- 夫:44歳
- 妻:41歳
- 第一子:高校3年生
- 第二子:高校1年生
- 年間教育費:約128万3,000円
教育費と住宅ローン返済が最も大きく重なる時期です。
そのため、教育費のピーク期間に無理な追加返済を行う計画はおすすめできません。
教育費や生活費を別の借入で補いながら、住宅ローンの繰上返済を行うのは本末転倒です。
家計が赤字になる場合や、生活防衛資金が不足する場合は、繰上返済を一時停止することも必要です。
大学・短期大学・専門学校の費用は含まれていません
今回の約1,099万円という教育費には、大学、短期大学、専門学校への進学費用は含まれていません。
大学進学を希望する場合は、次の費用を別に準備する必要があります。
- 入学金
- 授業料
- 施設設備費
- 教材費
- 通学費
- 一人暮らしの家賃
- 生活費や仕送り
特に県外の大学へ進学する場合は、授業料以外の住居費や仕送りが大きな負担になります。
実際のお客様の資金計画では、お子様の進学希望を確認したうえで、大学費用を追加して再計算する必要があります。
光熱費削減分だけでは、70歳完済に6か月届かない
光熱費の削減分だけを繰上返済へ回した場合、完済時期は70歳6か月です。
70歳完済まで、わずか6か月届きません。
しかし、これは「返済できない」という結果ではありません。
条件を少し調整することで、教育費を守りながら70歳完済を目指せます。
今回の調整方法は、次の3つです。
教育費終了後の追加積立
第二子の高校卒業後から月3,000円を追加することで、69歳8か月頃の完済を目指せます。
教育費終了時の一時繰上返済
月3,000円を追加しない場合は、教育費終了時に約54万円を一時繰上返済する方法があります。
新築総額を調整する場合
光熱費削減分だけで70歳完済を目指す場合、借入額または新築総額を約298万円調整することが一つの目安です。
ただし、新築総額を調整する場合も、耐震性能、断熱性能、気密性能、換気性能を最初に削るべきではありません。
土地価格、土地面積、建物面積、間取りの複雑さ、設備、造作家具、外構工事、家具・家電など、後から調整しやすい項目から検討します。
高断熱住宅は「建築費」だけで判断しない
高断熱・高気密住宅は、一般的な住宅より建築費が高くなることがあります。
しかし、家づくりは建築時の価格だけで判断するものではありません。
建築後には、次の費用が長期間続きます。
- 住宅ローン
- 電気代
- 冷暖房費
- 給湯費
- 火災・地震保険
- 固定資産税
- 修繕費
- メンテナンス費
高断熱・高気密住宅で光熱費を削減し、その削減分を住宅ローンの繰上返済へ回すことができれば、毎月の快適性を高めながら、返済期間と総利息を減らせる可能性があります。
住宅性能は、暮らしやすさだけではなく、長期的な家計にも関係します。
デザインハウス宮崎が大切にしていること
デザインハウス宮崎では、住宅ローンが借りられるかどうかだけで新築計画を判断しません。
大切にしているのは、次の3点です。
- 子どもの教育費を払いながら返済を続けられるか
- 建築後の生活防衛資金を残せるか
- 希望する年齢までに住宅ローンを完済できるか
デザインハウス宮崎の住宅は、2×4工法、ZEH仕様、耐震等級3を標準とし、宮崎の暑さ、湿気、台風、冬の寒さを考えた家づくりを行っています。
完成後に変更しにくい耐震、断熱、気密、換気などの住宅性能を守りながら、土地、建物面積、設備、外構などの調整できる項目を整理します。
70歳完済を目指す具体的な6つのステップ
STEP1 新築総額の内訳を確定する
土地、建物本体、付帯工事、外構、登記、住宅ローン費用、火災・地震保険、引越し、家具・家電まで含めて確認します。
STEP2 実際の手取り収入を確認する
源泉徴収票と給与明細を確認し、税込年収ではなく手取り収入で家計を計算します。
STEP3 教育費のピークを確認する
子どもの進学希望を確認し、高校卒業までだけでなく、必要に応じて大学費用も追加します。
STEP4 光熱費削減分を自動積立する
月2万1,250円を繰上返済専用口座へ自動的に移します。
STEP5 50万円単位で繰上返済する
専用口座が50万円に達するたびに、期間短縮型の繰上返済を行います。
STEP6 教育費終了後に月3,000円を追加する
第二子の高校卒業後から積立額を増やし、70歳までの完済を目指します。
まとめ|教育費を削らず、住宅性能を家計に生かす
今回のモデルケースでは、3,200万円の住宅ローンを45年間そのまま返済すると、完済年齢は80歳です。
一方、高断熱・高気密住宅で削減できる年間25万5,000円を繰上返済へ回すと、完済時期は70歳6か月まで短縮できます。
さらに、第二子の高校卒業後から月3,000円を追加することで、69歳8か月頃の完済を目指せる計算です。
教育費を削って住宅ローンを返す計画ではありません。
教育費の負担が大きい時期は、子どもの教育費と家族の生活を優先します。
高断熱住宅で削減できた光熱費を積み立て、教育費終了後に少額を追加することで、70歳完済を目指します。
住宅ローンが「通るか」だけではなく、建てた後も安心して暮らせるか。
デザインハウス宮崎では、ご家族の教育費、生活費、老後資金まで考えた新築資金計画をご提案しています。
よくある質問
Q.45年住宅ローンは利用しない方がよいのでしょうか?
45年ローン自体が悪いわけではありません。毎月返済額を抑え、教育費が必要な時期の家計負担を軽くできる場合があります。ただし、何も対策をしなければ完済年齢が高くなるため、繰上返済計画とセットで考えることが重要です。
Q.光熱費は本当に年間25万5,000円も安くなりますか?
年間25万5,000円は今回の想定値です。実際の削減額は住宅性能、家の広さ、家族の在宅時間、冷暖房設定、電気料金、太陽光発電などによって異なります。実際に削減できた金額を確認しながら積み立てることが大切です。
Q.教育費が高い年も繰上返済を続けるべきですか?
教育費や生活費が不足する場合は、繰上返済を一時停止してください。繰上返済より、教育費と生活防衛資金を優先します。
Q.大学進学を予定している場合も計算できますか?
計算できます。国公立・私立、県内・県外、自宅通学・一人暮らしなど、希望する進路に合わせて大学費用を追加します。
Q.住宅ローン審査に通れば、この計画で新築できますか?
住宅ローン審査に通ることと、無理なく返済できることは同じではありません。実際の手取り収入、固定資産税、保険料、車費、修繕費などを確認したうえで最終判断する必要があります。



















