住宅ローンの返済期間を40年にすると、毎月の返済額は抑えやすくなります。
しかし、大切なのは「今払えるか」だけではありません。
子どもの教育費が増える時期、車の買い替え、住宅の修繕、金利上昇、そして老後まで見据えたうえで、何歳まで返済が続くのかを確認する必要があります。
今回ご紹介するのは、宮崎で土地を購入し、土地・建物・諸費用を含む総額3,300万円の新築を検討している、夫34歳・妻32歳・子ども2人のご家族です。
住宅ローンが借りられるかではなく、教育費と生活防衛資金を守りながら、70歳までに完済できるかを診断しました。
今回の診断結果は「条件調整型」です
光熱費削減を活用すれば、70歳完済が見えてきます
今回の住宅ローンは2,800万円、返済期間40年です。
繰上返済を行わない場合、完済は夫74歳頃になります。夫70歳時点でも、住宅ローンが約410万円残る試算です。
一方、高断熱・高気密住宅への住み替えによって削減できると想定した年間20万円を、毎月「繰上返済専用口座」へ積み立てます。専用口座が50万円に達するたびに期間短縮型の繰上返済を行うと、完済は夫67歳5か月頃まで短縮できる試算となりました。
ただし、建築直後の現金は700万円です。
最低限残したい現金600万円を上回っていますが、その差は100万円しかありません。夫40歳時には250万円の車の買い替えも予定されています。
そのため、「このまま問題なく進められる」と判断するのではなく、頭金と手元資金の配分を整えることが必要です。
今回のご家族と新築計画
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 夫 | 34歳・税込年収480万円 |
| 妻 | 32歳・税込年収180万円 |
| 第一子 | 5歳 |
| 第二子 | 2歳 |
| 妻の働き方 | 現在パート、4年後からフルタイム |
| 妻のフルタイム後年収 | 280万円 |
| 現在の預金 | 1,000万円 |
| 投資・有価証券 | 100万円 |
| 親族からの援助 | 200万円 |
| 建築後に最低限残したい現金 | 600万円 |
| 新築総額 | 3,300万円 |
| 頭金 | 500万円 |
| 住宅ローン | 2,800万円 |
| 返済期間 | 40年 |
| 希望完済年齢 | 夫70歳 |
新築総額3,300万円の内訳は、土地750万円、土地関係・造成・地盤等150万円、建物本体1,900万円、付帯工事・外構・登記・諸費用500万円です。
頭金500万円と住宅ローン2,800万円の合計は、新築総額3,300万円と一致しています。
「借りられる金額」と「安心して返せる金額」は違います
今回の資料は、金融機関の融資承認を判断するものではありません。
金融機関から借りられる金額は、事前審査、返済負担率、勤務状況、既存借入、団体信用生命保険などによって決まります。今回はこれらの審査結果が未確認のため、「借りられる金額」は未確認としています。
一方、安心して返せる金額は、教育費、生活費、車、修繕費、医療費、老後資金を含めて考える必要があります。
今回は住宅ローン2,800万円を暫定的に検証しましたが、次の条件が前提です。
- 建築後も現金600万円以上を残す
- 光熱費の削減効果を実際の請求額で確認する
- 教育費や生活費が不足する年は、繰上返済を一時停止する
- 退職金を住宅ローン返済へ自動的に使わない
- 大学進学費用を計上する場合は、あらためて再計算する
夫婦の収入はどう変化するのか
夫の年収は480万円から毎年1.5%上昇し、上限600万円としました。65歳以降は再雇用となり、69歳まで年収350万円で計算しています。
妻は現在年収180万円のパート勤務で、4年後からフルタイムへ移行し、年収280万円で固定しています。
ただし、どちらも税込年収です。所得税、住民税、社会保険料を差し引いた手取り収入は確定していません。
そのため、年間家計収支については確定値ではなく、正式な源泉徴収票と給与明細を確認して再計算する必要があります。
高校卒業までの教育費は約1,669万円
教育費は、文部科学省「令和5年度 子供の学習費調査」の訂正後数値を基準としました。
基準となる年間学習費総額は次のとおりです。
| 学校 | 年間学習費総額 |
|---|---|
| 公立小学校 | 36万6,599円 |
| 公立中学校 | 54万2,450円 |
| 公立高等学校 | 59万6,954円 |
さらに、教育費には毎年0.8%の物価上昇を反映しています。
入力された習い事・塾費用は、世帯で年間30万円を別途加算しました。その結果、高校卒業までの教育費は次のようになりました。
| 教育費 | 金額 |
|---|---|
| 第一子の公立小・中・高校 | 約589.5万円 |
| 第二子の公立小・中・高校 | 約603.8万円 |
| 習い事・塾 | 約476.1万円 |
| 合計 | 約1,669.3万円 |
なお、文部科学省の学習費総額には学校外活動費が含まれています。今回入力された年間30万円の習い事・塾費用と重複している可能性があるため、正式診断では内訳の確認が必要です。
大学・短期大学・専門学校への進学費用は含まれていません
今回の約1,669万円には、大学、短期大学、専門学校、進学後の仕送り費用は含まれていません。
大学進学を予定している場合は、住宅ローンの繰上返済より大学資金の確保を優先しなければなりません。
金利上昇で毎月返済額はいくらになる?
住宅ローンは元利均等返済、ボーナス返済なしで計算しました。
| 期間 | 金利 | 繰上返済なしの場合の毎月返済額 |
|---|---|---|
| 1~5年目 | 1.5% | 約7万7,608円 |
| 6~10年目 | 2.0% | 約8万3,965円 |
| 11年目以降 | 2.5% | 約8万9,758円 |
11年目以降は、当初より月約1万2,150円、年間約14万6,000円の負担増となります。
省エネ繰上返済を行った場合は、金利変更時点の残高が減っているため、6年目は約8万589円、11年目は約8万2,097円となる試算です。
将来の金利を保証するものではありません。実際の商品に5年ルール・125%ルールがあるか、金融機関への確認が必要です。
繰上返済をしない場合と、省エネ効果を使う場合
| 比較項目 | 繰上返済なし | 省エネ繰上返済 |
|---|---|---|
| 借入額 | 2,800万円 | 2,800万円 |
| 契約返済期間 | 40年 | 40年 |
| 繰上返済回数 | 0回 | 13回 |
| 繰上返済累計額 | 0円 | 約650万円 |
| 完済時期 | 夫74歳頃 | 夫67歳5か月頃 |
| 総返済額 | 約4,200.7万円 | 約3,904.8万円 |
| 総利息 | 約1,400.7万円 | 約1,104.8万円 |
| 利息削減額 | 0円 | 約295.9万円 |
| 70歳時点の残高 | 約409.6万円 | 0円 |
年間20万円の光熱費削減効果を繰上返済に使えれば、70歳完済は達成できる試算です。
70歳完済に必要な追加積立月額は、今回の想定では0円です。
ただし、年間20万円の削減効果が実際に得られ、教育費の大きい時期にも積立を続けられることが条件です。
光熱費削減分は住宅ローン返済額から直接差し引きません
現在の電気・ガス・灯油代は年間約36万円、新築後は年間約16万円を想定しています。
年間削減見込額は20万円、月平均では約1万6,667円です。
この金額を住宅ローンの毎月返済額から直接差し引くのではなく、「省エネ繰上返済専用口座」へ毎月積み立てます。
専用口座が50万円に達した時点で、50万円単位の期間短縮型繰上返済を行います。
初回の50万円到達は約30か月後です。その後も、おおむね30か月ごとに50万円の繰上返済を行う計算になります。
光熱費削減額は保証値ではありません。
住宅面積、断熱性能、気密性能、換気設備、太陽光発電の自家消費率、家族の在宅時間、冷暖房の設定温度、電気料金、給湯設備などによって変わります。
実際の光熱費が想定ほど下がらなかった場合は、無理に20万円を積み立てず、実際に削減できた金額だけを積み立てます。
教育費と住宅ローン返済が重なる15年間
第一子が小学校へ入学する2027年度から、第二子が高校を卒業する2041年度まで、教育費と住宅ローン返済が重なります。
教育費が最も高くなるのは2036年度です。
この年は夫44歳、妻42歳頃で、教育費は約166万円です。通常の住宅ローン返済は約98万5,000円、50万円の繰上返済も重なるため、3項目の合計負担は約314万6,000円となります。
ただし、繰上返済は教育費や生活費より優先するものではありません。
家計収支が赤字になる場合や、生活防衛資金が減る場合は、50万円の繰上返済を一時停止します。
50万円単位の繰上返済予定
省エネ効果が想定どおり続いた場合、50万円の繰上返済を13回、合計650万円行う計算です。
繰上返済を行う前には、次の3点を毎回確認します。
- 教育費と生活費を支払っても年間収支が赤字にならないか
- 建築後に最低限残したい現金600万円を維持できるか
- 車、修繕、医療費など数年以内の大きな支出に対応できるか
生活費や教育費を別の借入で補いながら、住宅ローンを繰上返済する計画はおすすめしません。
建築後の現金700万円で足りる?
現在の預金1,000万円と親族援助200万円から頭金500万円を支払うと、建築直後の現金は700万円です。
投資・有価証券100万円を建築費へ使用しない場合、建築直後の金融資産は合計800万円となります。
最低限残したい現金600万円は確保できますが、余裕は100万円です。
一方、将来の大きな支出には次のものがあります。
| 夫の年齢 | 支出 | 金額 |
|---|---|---|
| 40歳 | 車の買い替え | 250万円 |
| 48歳 | 車の買い替え | 250万円 |
| 55歳 | 建物修繕 | 150万円 |
| 56歳 | 車の買い替え | 250万円 |
| 65歳 | 建物修繕 | 150万円 |
| 時期未確認 | 医療費予備費 | 300万円 |
特に、建築から約6年後に予定されている最初の車の買い替えは、建築直後の余裕資金100万円だけでは対応できません。
3つの資金計画案
1.希望優先案
- 新築総額:3,300万円
- 頭金:500万円
- 住宅ローン:2,800万円
- 建築後現金:700万円
- 省エネ繰上返済後の完済:夫67歳5か月頃
現在の土地・建物・設備・外構の希望を維持する案です。
70歳完済は見込めますが、建築後現金は最低目標を100万円上回るだけです。車の買い替え資金を別に積み立てられるかを確認してから進めます。
2.おすすめ標準案
- 新築総額:3,300万円
- 頭金:400万円
- 住宅ローン:2,900万円
- 建築後現金:800万円
- 省エネ繰上返済後の完済:夫67歳8か月頃
頭金を100万円減らし、建築後の現金を800万円残す案です。
借入額は100万円増えますが、6年後の車の買い替えに備えられる現金を厚くできます。今回のおすすめ案です。
3.安全重視案
- 新築総額:3,100万円
- 頭金:400万円
- 住宅ローン:2,700万円
- 建築後現金:800万円
- 省エネ繰上返済後の完済:夫67歳2か月頃
正式見積もりの中で、土地、外構、設備、家具・家電など調整できる項目を200万円程度見直す案です。
耐震、断熱、気密、換気、防水など、完成後に変更しにくい住宅性能は削減対象にしません。
教育費終了後の家計の組み替え方
第二子の高校卒業は2042年3月頃の想定です。
今回の試算では、省エネ削減分だけで70歳完済が見込まれるため、教育費終了後に住宅ローン完済のための追加積立は必要ありません。
その代わり、2042年4月以降は次の順序で家計を組み替えます。
- 大学等へ進学する場合は、進学費用を最優先する
- 修繕・車・医療費の積立不足を補う
- 老後資金として月1万円以上の積立を開始する
- 十分な現金が確保できた場合のみ、追加の繰上返済を検討する
退職金は住宅ローンの返済へ自動的に使用しません。
夫の退職金1,000万円、妻の退職金200万円は、老後生活費、医療・介護、修繕費などの資金として残すことを基本とします。
新築を実現するための5つのステップ
STEP1 土地・建物・諸費用3,300万円の内訳を確定する
土地代だけでなく、造成、地盤改良、上下水道、外構、登記、ローン費用、火災・地震保険、引越し、家具・家電まで確認します。
STEP2 手取り収入と教育費ピーク時の家計を確認する
源泉徴収票と給与明細を確認し、税込年収ではなく実際の手取り収入で年間収支を再計算します。
STEP3 建築後の現金と車資金を先に確保する
最低現金600万円に加え、6年後の車買い替え資金をどのように準備するかを決めます。
STEP4 実際の光熱費削減分を専用口座へ積み立てる
想定額ではなく、建築後の電気代と現在の光熱費を比較し、実際に減った金額を積み立てます。
STEP5 50万円到達時に家計を再確認して繰上返済する
教育費、生活費、生活防衛資金、数年以内の特別支出を確認し、余裕がある場合に期間短縮型で繰上返済します。
よくあるご質問
Q1.年間20万円の光熱費削減は必ず実現できますか?
いいえ。保証値ではありません。住宅性能、太陽光発電の自家消費、家族の在宅時間、電気料金、冷暖房設定などによって変動します。実際に削減できた金額だけを積み立てることが重要です。
Q2.70歳完済のために、教育費終了後の追加積立は必要ですか?
今回の条件では、省エネ削減分だけで夫67歳5か月頃の完済が見込まれるため、追加積立は0円です。ただし、繰上返済を長期間停止した場合は再計算が必要です。
Q3.頭金500万円を入れない方がよいのでしょうか?
頭金を減らすと借入額と利息は増えますが、建築直後の現金を守れます。今回は6年後に250万円の車買い替えがあるため、頭金を400万円にして現金を800万円残す案も比較する価値があります。
Q4.大学進学費用は含まれていますか?
含まれていません。大学・短期大学・専門学校への進学を予定する場合は、進学先と自宅通学・県外進学の希望を確認して再計算します。
Q5.新築総額を下げるなら、断熱性能を落とすべきですか?
最初に断熱性能を下げる提案は行いません。耐震、断熱、気密、換気、防水など将来変更しにくい性能を守り、土地、外構、設備、家具・家電など調整できる項目から検討します。
まとめ|借りられる金額ではなく、教育費を守って返せる金額を確認する
今回の診断は、新築を諦めるためのものではありません。
住宅ローンが通るかどうかだけで判断せず、教育費を確保しながら、無理なく完済できる方法を探すための計画です。
年間20万円の光熱費削減分を毎月使ってしまわず、繰上返済専用口座へ積み立てます。50万円に達するたびに期間短縮型の繰上返済を行うことで、40年ローンを約33年5か月まで短縮できる試算となりました。
一方、建築後に残る現金は700万円です。最低目標600万円を確保できるものの、車、修繕、医療費を考えると余裕は大きくありません。
そこで、頭金を100万円減らして現金を800万円残す案や、新築総額を200万円程度調整する案も比較します。
価格だけを優先して住宅性能を下げるのではなく、耐震、断熱、気密、換気など将来変更しにくい性能を守りながら、教育費と建築後の生活を守れる着地点を探しましょう。
教育費を守りながら、70歳完済を目指せる新築計画を確認しましょう。
デザインハウス宮崎
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- 電話:0985-78-2807
- 住所:〒880-0036 宮崎県宮崎市花ヶ島町柳之丸501-1 オフィスタウン花ヶ島3号
※本記事は入力条件を基にした暫定計算です。金融機関の融資承認、将来金利、光熱費削減効果を保証するものではありません。
教育費データの出典
文部科学省「令和5年度 子供の学習費調査」調査結果の概要(令和8年1月16日差替)
https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa03/gakushuuhi/kekka/k_detail/mext_00002.html





















