住宅ローンの返済期間を35年にすると、42歳からの借入では完済年齢が77歳になります。
「毎月の返済額が払えるから大丈夫」と考える前に、次の3点を確認しなければなりません。
- 子ども2人の教育費を払いながら返済を続けられるか
- 建築後に必要な現金を残せるか
- 希望する70歳までに住宅ローンを完済できるか
今回ご紹介するのは、宮崎で土地を購入し、土地・建物・諸費用を含む総額3,800万円の新築を検討しているご家族です。
- 夫42歳
- 妻39歳
- 第一子13歳
- 第二子10歳
- 預金600万円
- 頭金300万円
- 住宅ローン3,500万円
- 返済期間35年
- 希望完済年齢70歳
教育費のピークが建築直後に到来するうえ、建築後に残る現金は希望額を下回ります。
そこで、現在の希望を生かしながら、新築総額3,300万円へ再設計する方法を比較しました。
診断結果は「要再設計型」です
現在の希望を生かしながら、新築総額を再設計します
今回の住宅ローン3,500万円は、繰上返済をしなければ夫77歳で完済します。
現在と新築後の光熱費差額である年間10万円を、50万円単位で繰上返済しても、完済は夫75歳2か月頃です。
夫70歳時点には、約718万8,000円の住宅ローンが残ります。
さらに、預金600万円から頭金300万円を支払うと、建築後に残る現金は300万円です。
ご家族が最低限残したい現金は400万円のため、100万円不足します。
住宅ローンを返せるかだけでなく、教育費と建築後の生活を守るため、契約前に資金配分を整える必要があります。
今回の家族構成と収入
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 夫 | 42歳・税込年収620万円 |
| 妻 | 39歳・税込年収120万円 |
| 妻の働き方 | パート・フルタイム移行予定なし |
| 第一子 | 13歳 |
| 第二子 | 10歳 |
| 夫の定年 | 65歳 |
| 夫の再雇用 | 70歳まで・税込年収300万円 |
| 預金 | 600万円 |
| 投資資産 | 100万円 |
| 現在の借入 | なし |
| 建築後に残したい現金 | 400万円 |
新築総額の内訳は次のとおりです。
| 新築費用 | 金額 |
|---|---|
| 土地代 | 1,200万円 |
| 土地・造成・地盤関係 | 200万円 |
| 建物本体 | 2,050万円 |
| 付帯工事・外構・諸費用 | 350万円 |
| 合計 | 3,800万円 |
頭金300万円と住宅ローン3,500万円の合計は、新築総額3,800万円と一致しています。
金融機関から借りられる金額と、安心して返せる金額
今回の診断は、金融機関が3,500万円を融資するかどうかを判断するものではありません。
金融機関から借りられる金額は、事前審査、返済負担率、勤務状況、既存借入、団体信用生命保険などによって決まります。今回は審査結果が未確認のため、「借りられる金額」は未確認です。
一方、安心して返せる金額は、教育費、生活費、車、税金、保険、修繕、医療費、老後資金を含めて考えます。
今回の暫定的な着地点は、総額3,300万円、頭金200万円、住宅ローン3,100万円です。
この配分なら、建築後現金400万円を確保できます。
夫婦の税込収入の推移
夫は65歳まで税込年収620万円、65歳から69歳までは再雇用で税込年収300万円としました。
妻はパート勤務で税込年収120万円です。妻の65歳以降の働き方と収入は未確認です。
どちらも手取り収入ではありません。
実際の年間家計収支を判断するには、源泉徴収票、給与明細、社会保険料、税金を確認する必要があります。
特に、夫65歳以降は年収が620万円から300万円へ下がるため、住宅ローンを70歳までに終えることが重要です。
公立高校卒業までの教育費は約1,221万円
教育費は、文部科学省「令和5年度 子供の学習費調査」の訂正後数値を基準としました。
| 学校 | 年間学習費総額 |
|---|---|
| 公立小学校 | 36万6,599円 |
| 公立中学校 | 54万2,450円 |
| 公立高等学校 | 59万6,954円 |
誕生月が未入力のため、第一子は中学校2年生、第二子は小学校5年生として暫定計算しています。
教育費には年0.8%の物価上昇を反映し、塾・受験費用は世帯で年間60万円を別途加算しました。
| 教育費 | 金額 |
|---|---|
| 第一子・中学2年から公立高校卒業まで | 約291.2万円 |
| 第二子・小学校5年から公立高校卒業まで | 約436.6万円 |
| 塾・受験費用 | 約493.7万円 |
| 合計 | 約1,221.4万円 |
大学・短期大学・専門学校費用は含まれていません
約1,221万円には、大学、短期大学、専門学校への進学費用や、県外進学時の仕送りは含まれていません。
また、文部科学省の学習費総額には学校外活動費が含まれています。入力された塾・受験費年間60万円と重複している可能性があるため、今回は保守的に別途加算しました。
正式診断では、現在の塾代と今後の受験費用を確認します。
教育費ピークは建築直後に到来
教育費が最も高くなるのは2028年度です。
第一子が高校1年生、第二子が中学校1年生となる暫定計算で、年間教育費は約187万5,000円です。
このとき、夫44歳、妻41歳頃です。
住宅を建ててから約2年後に教育費ピークが来るため、建築時に現金を使い切る計画は避けなければなりません。
金利上昇後の毎月返済額
住宅ローンは、借入3,500万円、返済期間35年、元利均等返済、ボーナス返済なしで計算しました。
| 期間 | 金利 | 繰上返済なしの月額 |
|---|---|---|
| 1~5年目 | 1.5% | 約10万7,165円 |
| 6~10年目 | 2.0% | 約11万4,772円 |
| 11年目以降 | 2.5% | 約12万1,477円 |
11年目以降は、当初より月約1万4,300円、年間約17万2,000円の負担増です。
年間10万円の省エネ繰上返済を行った場合、6年目は約11万2,924円、11年目は約11万7,278円となります。
将来金利を保証するものではありません。実際の住宅ローン商品に5年ルール・125%ルールがあるかも確認が必要です。
省エネ削減分だけでは70歳完済に届かない
現在の光熱費は年間30万円、新築後は年間20万円の予測です。
年間削減見込額は10万円、月平均では約8,333円です。
この削減分を毎月専用口座へ積み立て、50万円に達するたびに期間短縮型の繰上返済を行います。
しかし、年間10万円の省エネ積立だけでは、完済は夫75歳2か月頃です。
夫70歳時点で約718万8,000円が残ります。
70歳時に一括完済する場合は、約718万8,000円の資金が必要です。
光熱費削減額は保証値ではありません。住宅性能、家族の在宅時間、設定温度、電気料金、設備効率などによって変動します。
現条件で70歳完済するには月2万6,000円が必要
第二子の高校卒業は2034年3月頃と仮定しています。
総額3,800万円、住宅ローン3,500万円のまま70歳完済を目指す場合、光熱費削減分に加えて、教育終了後から月2万6,000円の追加積立が必要です。
- 毎月追加:2万6,000円
- 年間追加:31万2,000円
- 完済見込み:夫69歳11か月頃
月2万円の追加では、完済は夫70歳7か月頃です。70歳から1年以内のため「ほぼ達成」ですが、70歳時点で約79万円が残ります。
住宅ローン残高の違い
繰上返済なし、省エネ削減分のみ、教育終了後の追加積立、総額3,300万円案を比較しました。
省エネ削減分だけで70歳完済できるように見せるため、過大な光熱費削減を設定することはできません。
現在の年間光熱費が30万円で、新築後予測が20万円であれば、削減見込額は年間10万円です。
この現実的な金額を基準に、不足分を追加積立または新築総額の調整で補います。
教育費と住宅費の合計負担が最大となる年
教育費だけのピークは2028年度ですが、教育費・通常返済・50万円の繰上返済を合計した負担が最大になるのは2030年度です。
| 負担項目 | 金額 |
|---|---|
| 教育費 | 約176.6万円 |
| 住宅ローン通常返済 | 約128.6万円 |
| 繰上返済 | 50万円 |
| 合計 | 約355.2万円 |
夫46歳、妻43歳頃です。
家計収支が赤字になる場合は、教育費と生活防衛資金を優先し、繰上返済を一時停止します。
総額3,800万円案と3,300万円案を比較
現在検討している調整内容は次のとおりです。
- 土地価格を300万円下げる
- 外構100万円分を後施工にする
- 建物面積を2坪調整する
- 新築総額3,300万円を目標にする
比較結果は次のとおりです。
| 比較項目 | 現条件案 | 総額3,300万円案 |
|---|---|---|
| 新築総額 | 3,800万円 | 3,300万円 |
| 頭金 | 300万円 | 200万円 |
| 住宅ローン | 3,500万円 | 3,100万円 |
| 建築後現金 | 300万円 | 400万円 |
| 教育終了後の追加積立 | 月2万6,000円 | 月2万円 |
| 完済見込み | 夫69歳11か月頃 | 夫69歳10か月頃 |
総額3,300万円案では、建築後に残したい現金400万円を確保できます。
さらに、教育終了後の追加積立を月2万6,000円から月2万円へ抑えられます。
建物面積2坪の減額は正式見積もりで確認します
「2坪減らせばいくら安くなる」と、坪単価だけで機械的に計算することはできません。
面積を減らしても、キッチン、浴室、トイレ、給湯器など住宅設備の価格は変わらない場合があります。
建物面積の調整効果は、正式な設計と見積もりで確認します。
耐震、断熱、気密、換気、防水など、完成後に変更しにくい住宅性能は守ります。
3つの最終提案
1.希望優先案
- 新築総額:3,800万円
- 頭金:300万円
- 住宅ローン:3,500万円
- 建築後現金:300万円
- 教育終了後の追加積立:月2万6,000円
- 完済見込み:夫69歳11か月頃
現在の土地、建物、設備、外構をできるだけ維持する案です。
70歳完済は目指せますが、建築後現金が希望額より100万円不足し、教育終了後の追加積立も大きくなります。
2.おすすめ標準案
- 新築総額:3,300万円
- 頭金:200万円
- 住宅ローン:3,100万円
- 建築後現金:400万円
- 教育終了後の追加積立:月2万円
- 完済見込み:夫69歳10か月頃
土地価格、外構、建物面積を調整し、手元現金と70歳完済を両立する案です。
今回のおすすめ案です。
3.安全重視案
- 新築総額:3,200万円
- 頭金:200万円
- 住宅ローン:3,000万円
- 建築後現金:400万円
- 教育終了後の追加積立:月2万円
- 完済見込み:夫69歳9か月頃
固定資産税、保険、修繕、車、医療費に備える余裕を重視する案です。
教育費終了後の家計の組み替え方
第二子が高校を卒業する2034年4月頃から、家計を次の順序で組み替えます。
- 大学等へ進学する場合は、進学費用を最優先する
- 車、修繕、医療費の積立不足を確認する
- 省エネ削減分に加えて月2万円を専用口座へ積み立てる
- 50万円に達した時点で家計を確認し、期間短縮型繰上返済を行う
- 住宅ローン完済後は、積立額を老後資金へ振り替える
大学進学費用を計上する場合は、繰上返済より教育費を優先します。
新築を実現する5つのステップ
STEP1 土地・建物・諸費用の正式見積もりを確認する
土地、造成、地盤改良、上下水道、付帯工事、外構、登記、ローン費用、保険、家具・家電まで確認します。
STEP2 3,300万円案の実現性を確認する
土地価格300万円の調整、外構100万円分の後施工、建物面積2坪の調整について正式見積もりを取ります。
STEP3 頭金を200万円にして現金400万円を残す
投資資産100万円は、建築費へ自動的に使用せず別管理とします。
STEP4 実際の光熱費削減分を積み立てる
想定額ではなく、建築後の請求額を確認し、実際に減った金額を専用口座へ移します。
STEP5 教育終了後に月2万円を追加する
教育費、大学費用、生活防衛資金を確認しながら、70歳完済を目指します。
よくあるご質問
Q1.住宅ローン3,500万円は借りられますか?
今回の診断では判断していません。金融機関の事前審査、返済負担率、団体信用生命保険などの確認が必要です。借りられる金額と安心して返せる金額は分けて考えます。
Q2.年間10万円の省エネ削減分だけで70歳完済できますか?
できません。省エネ削減分だけでは夫75歳2か月頃の完済となり、70歳時点で約718万8,000円が残ります。
Q3.現条件のまま70歳完済するには、いくら追加すればよいですか?
第二子高校卒業後から月2万6,000円、年間31万2,000円の追加積立が必要です。
Q4.総額3,300万円案では、追加積立はいくらですか?
年間10万円の省エネ削減分に加え、教育終了後から月2万円を積み立てることで、夫69歳10か月頃の完済が見込まれます。
Q5.大学進学費用は含まれていますか?
含まれていません。大学、短期大学、専門学校、県外進学時の仕送りを予定する場合は、進学希望を確認して再計算します。
Q6.価格を下げるため、断熱性能を落とすべきですか?
最初に断熱性能を下げる提案は行いません。耐震、断熱、気密、換気、防水など将来変更しにくい性能を守り、土地、外構、設備、面積など調整できる項目から検討します。
まとめ|総額を見直すことは、新築を諦めることではありません
今回の総額3,800万円案では、建築後現金が希望額より100万円不足し、省エネ削減分だけでは70歳時に約718万8,000円が残ります。
現条件のまま70歳完済を目指すには、教育終了後から月2万6,000円の追加積立が必要です。
一方、土地価格、外構、建物面積を調整した総額3,300万円案では、建築後現金400万円を確保できます。
住宅ローンを3,100万円に抑え、教育終了後から月2万円を追加すれば、夫69歳10か月頃の完済が見込まれます。
新築総額を見直すことは、家づくりを諦めることではありません。
耐震、断熱、気密、換気など大切な住宅性能を守りながら、土地、外構、面積など調整できる部分を整理することです。
教育費を守りながら、70歳完済を目指せる新築計画を確認しましょう。
デザインハウス宮崎
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- 電話:0985-78-2807
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※本記事は入力条件を基にした暫定計算です。金融機関の融資承認、将来金利、光熱費削減効果を保証するものではありません。
教育費データの出典
文部科学省「令和5年度 子供の学習費調査」調査結果の概要(令和8年1月16日差替)
https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa03/gakushuuhi/kekka/k_detail/mext_00002.html




















