結論からいうと、シニア住宅の主要な生活動線には、光沢が少なく、適度に滑りにくいフローリング系床材が使いやすいでしょう。畳は転倒時の衝撃を和らげやすい一方、段差や縁、すり足の引っ掛かりに注意が必要です。
畳とフローリングの比較
| 比較項目 | フローリング | 畳 |
|---|---|---|
| 滑りやすさ | 表面仕上げによる。光沢・ワックス床は注意 | 一般に滑りにくいが、縁に足が掛かることがある |
| 車いす・歩行器 | 硬く平らなら移動しやすい | 車輪が沈み、方向転換しにくい場合がある |
| すり足 | 継ぎ目や段差が少なければ使いやすい | 畳縁や傷んだ表面に引っ掛かることがある |
| 転倒時の衝撃 | 硬いため衝撃が大きい | 比較的衝撃を和らげやすい |
| 立ち座り | ベッド・椅子生活と相性がよい | 床からの立ち上がりが負担になりやすい |
| 手入れ | 水拭きしやすい製品が多い | 湿気、カビ、ダニ対策が必要 |
| シニア住宅への適性 | 主要動線に向く | 寝転ぶ場所など部分採用に向く |
おすすめの使い分け
玄関からLDK、寝室、トイレ、洗面所までの動線は、段差のないフローリングまたは弾力性のあるシート床を基本にします。
畳を採用する場合は、次の仕様が安全です。
- 小上がりにせず、隣の床と同じ高さにする
- 厚みを調整できる薄畳を使用する
- 畳縁の盛り上がりを小さくする
- 布団よりベッドを使用する
- 車いすを想定する場合は、耐久性のある樹脂畳なども検討する
特にシニア住宅では、人気のある「小上がり畳」は段差が転倒原因になりやすいため、慎重に判断しましょう。
「滑りにくいほど安全」とは限りません
摩擦が強すぎる床は、すり足や歩行器の先が引っ掛かり、かえって転倒につながる場合があります。国土交通省の資料でも、高齢者については、床を滑りにくくしすぎることで「つまずき」が生じる可能性に注意するよう示されています。また、靴下、裸足、室内履き、濡れた状態など、実際の使用状況で確認することが重要です。国土交通省「バリアフリー・ユニバーサルデザイン化」
床材は「防滑」という表示だけでなく、サンプルを取り寄せて、普段使っている靴下や室内履きで確かめるのがおすすめです。
場所別に適した床材
- リビング・寝室・廊下
低光沢でワックス不要、適度な防滑性のあるフローリング - トイレ・洗面脱衣室
水に強く、濡れても滑りにくいクッションフロアやシート床 - 浴室
濡れた状態での防滑性と排水性が確認された浴室専用床 - 玄関
雨の日でも滑りにくい凹凸のあるタイル。光沢タイルは避ける - 畳スペース
床と同じ高さの薄畳。湿気に強い和紙畳や樹脂畳も候補
置くだけのマットやカーペットは、端がめくれたり、ずれたりすると危険です。使用する場合は床にしっかり固定してください。
宮崎県の住宅で気をつけたいこと
宮崎県では梅雨や台風時期の湿気に加え、玄関への雨水の持ち込みにも注意が必要です。玄関・洗面所・脱衣室は、乾燥時だけでなく濡れた状態での滑りにくさを重視しましょう。
畳を設ける場合は、床下や室内の通風・換気・除湿計画も重要です。日常管理を軽くしたい場合は、天然イ草だけでなく和紙畳や樹脂畳も比較するとよいでしょう。
床材選びのチェックポイント
- 靴下・裸足・室内履きで滑らないか
- 濡れた場合の防滑性能が示されているか
- 車いすや歩行器に対応しているか
- 部屋の境目に段差や見切り材の盛り上がりがないか
- ワックスを使わずに防滑性能を維持できるか
- 汚れや水分を簡単に清掃できるか
国の高齢者住宅向け設計指針でも、床は滑りや転倒に対する安全性に配慮し、日常生活上の主要動線は原則として段差のない構造とする考え方が示されています。国土交通省「高齢者が居住する住宅の設計に係る指針」
おすすめの基本構成は「主要動線は低光沢のフローリング、畳は段差のない部分採用」です。 杖、歩行器、車いすの使用予定がある場合は、理学療法士や作業療法士にも床材サンプルを見てもらうと、より本人に合った選択ができます。








