1980年以前に建てられた木造住宅は、原則として1981年6月に導入された「新耐震基準」より前の旧耐震住宅です。
建て替える場合、新居は単に1981年の新耐震基準ではなく、現在の建築基準法、2000年以降に強化された木造住宅の構造基準、2025年4月から見直された壁量・構造審査の基準に適合させます。
耐震基準の変遷
| 時期 | 呼び方 | 主な考え方 |
|---|---|---|
| 1981年5月以前 | 旧耐震基準 | 震度5程度の地震を主に想定 |
| 1981年6月以降 | 新耐震基準 | 震度6強~7程度でも倒壊・崩壊しないことを目標 |
| 2000年6月以降 | 2000年基準 | 地盤・基礎、壁配置、柱・筋かいの接合部を強化 |
| 2025年4月以降 | 現行の見直し基準 | 建物の実際の重量に応じた壁量計算、構造審査の対象拡大 |
国土交通省は、1981年以前の建物について、耐震性が不十分なものが多いとして、耐震診断・耐震改修または建て替えを推奨しています。国土交通省「住宅・建築物の耐震化について」
新耐震基準は「絶対に壊れない基準」ではありません
現在の建築基準法が目標としているのは、概ね次の水準です。
- 震度5強程度:ほとんど損傷しない
- 震度6強~7程度:人命に関わる倒壊・崩壊を防ぐ
つまり、大地震後も無傷で住み続けられることを保証する基準ではありません。国土交通省も、新耐震基準は大規模地震で人命に危害を及ぼすような倒壊を生じさせないことを目標と説明しています。国土交通省「耐震性に関するQ&A」
建築基準法は最低限守るべき水準です。より高い安全性を希望する場合は、耐震等級を指定します。
耐震等級1・2・3の違い
| 耐震等級 | 耐震性能 |
|---|---|
| 等級1 | 建築基準法と同程度 |
| 等級2 | 等級1の1.25倍の地震力に対応 |
| 等級3 | 等級1の1.5倍の地震力に対応 |
耐震等級3は、住宅性能表示制度で最も高い等級です。国土交通省「住宅性能表示制度・耐震等級」
宮崎では南海トラフ地震などへの備えを考え、建て替えるなら耐震等級3を基本に検討することをおすすめします。
ただし、「耐震等級3相当」という表現には注意が必要です。第三者機関の評価書がない場合や、計算範囲が異なる場合があります。
確認したいのは次の点です。
- 耐震等級3の設計住宅性能評価を取得するか
- 建設住宅性能評価まで取得するか
- どの構造計算方法で確認するか
- 倒壊等防止と損傷防止の両方を確認するか
- 基礎・地盤を含めて評価されているか
2000年基準で強化された内容
木造住宅では、1995年の阪神・淡路大震災などの被害を踏まえ、2000年に主に次の内容が明確化・強化されました。
1.地盤に応じた基礎
地盤の強さに合わせて基礎の仕様を決めます。新築時には地盤調査を行い、必要に応じて地盤改良や杭工事を行います。
旧住宅を解体すると、古い基礎や井戸、浄化槽、埋設物が見つかることがあります。既存住宅の資料だけで判断せず、解体後の状況を確認して最終的な地盤・基礎計画を決めることが重要です。
2.耐力壁の配置バランス
必要な壁の量だけでなく、建物の四隅や各方向にバランスよく配置します。
南側に大きな窓を集中させ、北側だけに壁が多い間取りは、地震時にねじれやすくなる可能性があります。窓の大きさと耐震性を同時に検討します。
3.柱・梁・筋かいの接合部
柱が基礎や土台から抜けないよう、地震時に生じる力に応じた金物を使用します。
- ホールダウン金物
- アンカーボルト
- 筋かい金物
- 柱頭・柱脚金物
- 構造用面材の釘と間隔
金物の種類だけでなく、施工位置やビス・釘の本数が正しいことが重要です。
2025年4月から何が変わった?
2025年4月から、木造住宅の建築確認手続きと構造基準が見直されました。
主な変更点は次のとおりです。
- 木造2階建て住宅などで構造関係図書の提出・審査が必要
- いわゆる「4号特例」の対象範囲を縮小
- 太陽光パネルや高断熱仕様など、実際の建物重量を考慮して必要壁量を算定
- 柱の必要寸法を建物重量に応じて検討
- 構造・省エネ関係の図書提出を強化
ただし、一般的な木造2階建て住宅すべてに高度な構造計算が一律義務付けられた、という意味ではありません。規模・構法に応じた壁量計算または構造計算で安全性を確認します。
国土交通省は、2025年4月以降の木造住宅について、建築確認・検査と審査省略制度の対象範囲を見直しています。国土交通省「建築確認・検査の対象となる建築物の見直し」
太陽光発電を載せる場合の注意
高性能住宅では、次の設備によって建物が重くなることがあります。
- 太陽光パネル
- 瓦屋根
- 蓄電池
- 厚い断熱材・下地材
- 大型設備
- 2階の浴室
- 重量のある外壁材
建物が重くなるほど、地震時に大きな力が加わります。太陽光パネルを「将来載せる予定」の場合も、最初からその重量を含めて構造計画を行うのが安心です。
国土交通省も、住宅の省エネ化による重量増加に対応した壁量基準を整備しています。国土交通省「木造建築物の重量化に対応する壁量基準」
平屋なら地震に強い?
一般に、平屋は2階建てより重心が低く、構造計画をまとめやすい傾向があります。しかし、平屋なら自動的に耐震等級3になるわけではありません。
次のような平屋は注意が必要です。
- 大きな窓が一方向に集中している
- L字・コの字など凹凸が多い
- 20帖以上の大空間がある
- 柱のない大きな開口がある
- ビルトインガレージがある
- 勾配天井や大きな吹き抜けがある
- 重い屋根や太陽光パネルを載せる
- 耐力壁の直下に基礎がない
コンパクトな長方形に近い平面は、壁をバランスよく配置しやすく、耐震性とコストの両面で有利です。
ツーバイフォー工法なら安心?
ツーバイフォー工法は、床・壁・屋根の面で力を受ける構造で、地震や風の力を建物全体へ分散しやすい特徴があります。
ただし、工法名だけでは耐震性は決まりません。
- 耐力壁の配置
- 釘の種類・間隔
- 開口部の位置
- 床・屋根との接合
- 基礎とアンカーボルト
- 雨に濡らさない施工管理
- 構造計算・性能評価
これらが適切に設計・施工されて初めて性能を発揮します。在来軸組工法でもツーバイフォー工法でも、耐震等級3は取得できます。
宮崎では耐風性能も確認する
宮崎の住宅では、地震だけでなく台風への備えも重要です。耐震等級3だけでなく、耐風等級も確認しましょう。
住宅性能表示制度では、耐風等級2は建築基準法レベルの1.2倍の風圧力に対して所定の性能を持つ水準です。
設計時には次の項目を確認します。
- 耐震等級3
- 耐風等級2
- 屋根材の固定方法
- 軒や屋根の吹き上げ対策
- シャッター・窓の耐風圧性能
- 太陽光パネルの固定方法
- 軒裏・外壁の強風対策
- 沿岸地域では塩害対策
耐震性を高めても、台風で屋根や開口部が被害を受ければ住み続けられません。宮崎では耐震と耐風をセットで考えます。
契約前に確認したい項目
建築会社には、次の内容を書面で確認しましょう。
- 耐震等級は1・2・3のどれか
- 「等級3」か「等級3相当」か
- 構造計算・確認方法は何か
- 地盤調査をいつ行うか
- 太陽光パネルの重量を含めるか
- 基礎・アンカーボルトまで計算対象か
- 耐風等級はいくつか
- 第三者による設計・施工検査を受けるか
- 構造図・計算書・施工写真を引き渡してもらえるか
- 将来の間取り変更で耐力壁を撤去しないよう表示されるか
まとめ
1980年以前の家を建て替える場合、新居は現在の基準に適合させるため、旧耐震住宅の基準がそのまま引き継がれることはありません。
ただし、建築基準法を満たすだけでは、原則として耐震等級1です。宮崎で長く安心して暮らすなら、
- 耐震等級3
- 耐風等級2
- 地盤調査に基づく基礎設計
- 建物重量を反映した構造確認
- 第三者による住宅性能評価
- 施工中の金物・耐力壁検査
まで確認するのがおすすめです。
「新耐震基準だから安心」ではなく、現在の設計・施工で耐震等級3が客観的に確認できるかが重要です。








