A.自治体が「建替え」または「除却」を補助対象にしている場合は利用できます。ただし、「耐震改修」だけを対象とする制度では、原則として建替えには使えません。
自治体の耐震支援は、一般に次の3つに分かれています。
- 既存住宅を補強して残す「耐震改修」
- 耐震性のない住宅を取り壊す「除却」
- 取り壊して新しい住宅を建てる「建替え」
同じ自治体でも、補助率や上限額はそれぞれ異なります。
宮崎市では建替えも補助対象
宮崎市の「木造建築物等地震対策促進事業」には、耐震改修だけでなく、除却・建替えのメニューがあります。
2026年度の補助内容は次のとおりです。
| 工事区分 | 補助率・計算方法 | 上限額 |
|---|---|---|
| 耐震改修 | 対象工事費の80% | 115万円 |
| 除却 | 対象費用または「延床面積×3万4,100円」の低い方の23% | 34万4,000円 |
| 建替え | 対象費用または「延床面積×3万4,100円」の低い方の23% | 38万円 |
したがって、宮崎市では、古い住宅を取り壊して同じ所有者などが新しい住宅へ建て替える場合、条件を満たせば最大38万円の補助を受けられる可能性があります。
ただし、**2026年度の建替え・除却の受付は2026年6月30日で終了しています。**今後建て替える場合は、2027年度に制度が継続されるかを確認する必要があります。宮崎市「木造住宅の耐震化を支援します」
宮崎市の建替え補助を受ける主な条件
2026年度は、次の条件をすべて満たす住宅が対象でした。
住宅の条件
- 宮崎市内にある住宅
- 1981年5月31日以前に着工された木造住宅
- 一戸建て、長屋または共同住宅
- 店舗併用住宅は、店舗部分が延床面積の2分の1未満
- 地上2階以下
- 耐震診断の評点が1.0未満
- 現在、人が居住している
- 建替え後の住宅に申請者などが居住する
- 明らかな法令違反がない
申請者の条件
- 対象住宅の所有者・管理者・占有者
- 所有者以外が申請する場合は、所有者の同意がある
- 宮崎市税を滞納していない
- 暴力団員・暴力団関係者ではない
年齢制限は設けられていないため、シニアだけの制度ではありませんが、古い木造住宅に住む50代・60代・70代の建替えでは利用しやすい可能性があります。
建替え補助金の計算例
例えば、対象となる建替え費用の計算上の額が200万円だった場合です。
200万円×23%=46万円
ただし、宮崎市の建替え補助は上限38万円なので、交付額は最大38万円です。
一方、対象額が100万円の場合は、
100万円×23%=23万円
となり、補助額は23万円です。
実際には、建物本体の新築工事費全額が補助対象になるわけではありません。宮崎市が定める算定方法により、対象費用または床面積に基づく基準額の低い方から計算します。
耐震改修なら上限115万円、建替えは38万円なのはなぜ?
既存住宅を残して耐震補強する場合は、耐震補強部分の工事費に対して補助するため、宮崎市では上限115万円です。
建替えの場合、新居の建築費全体を補助する制度ではなく、耐震性のない住宅を解消するための支援として、限定的な金額が補助されます。
そのため、建替えでは総額数千万円のうち最大38万円、耐震改修では対象工事費の80%・最大115万円という違いがあります。
耐震診断を受けずに解体すると対象外になる可能性
建替え補助の重要な条件は、既存住宅について耐震診断を行い、評点1.0未満と確認することです。
次の順番を守る必要があります。
- 自治体へ事前相談する
- 対象住宅か確認する
- 耐震診断を受ける
- 評点1.0未満であることを確認する
- 建替え補助の申込みをする
- 抽選・審査・交付決定を受ける
- 交付決定後に解体・建替え工事を始める
先に解体すると、耐震性を確認できなくなり、補助対象外になる可能性があります。
解体業者や建築会社との本契約も、自治体の承認前に行うと対象外になる場合があります。
「空き家の解体補助」とは別制度
耐震建替え補助と、危険空き家の解体補助は別の制度です。
宮崎市には「危険な空き家等除却推進事業」もあり、一定の不良住宅・特定空家等について、補助対象経費の2分の1以内、上限40万円とされています。
| 制度 | 主な対象 |
|---|---|
| 耐震建替え補助 | 現在住んでいる古い木造住宅を建て替える |
| 耐震除却補助 | 耐震性のない住宅を取り壊し、耐震性のある住宅へ住み替える |
| 危険空き家解体補助 | 市が不良住宅・危険空き家等と判定した建物を解体する |
単に古い空き家というだけで上限40万円を受けられるわけではなく、自治体による判定が必要です。
宮崎県内では市町村ごとに違う
宮崎県内で統一された建替え補助額があるわけではありません。制度の有無、補助率、上限額、募集期間は市町村ごとに異なります。
宮崎県が公表した2026年度の一覧では、例えば次の制度が確認できます。
- 宮崎市:耐震改修・除却・建替え
- 都城市:耐震性のない住宅の建替え・除却を支援
- 日南市:耐震改修は工事費の80%、上限115万円
- 小林市:古い木造住宅の耐震診断・耐震改修を支援
- 延岡市:耐震診断・耐震改修を支援
ただし、「耐震改修制度がある=建替えにも使える」ではありません。建替えや除却が対象かどうかは、各市町村の制度名と交付要綱を確認する必要があります。
宮崎県は、2026年度の県内市町村の制度をまとめた一覧を公開しています。宮崎県「令和8年度県内市町村の住宅関連補助制度」
建替え補助で対象外になりやすいケース
次のような場合は、利用できない可能性があります。
- 1981年6月1日以降に着工した住宅
- 木造以外の住宅
- 3階建て以上
- 耐震診断を受ける前に解体した
- 耐震診断の評点が1.0以上
- 現在居住していない住宅
- 建替え後の住宅に居住しない
- すでに工事契約・着工している
- 市税を滞納している
- 無許可増築などの法令違反がある
- 予算上限や募集件数に達している
- 抽選で対象者に選ばれなかった
増築履歴がある住宅でも直ちに対象外になるとは限りませんが、増築時期、確認申請、構造、違反の有無などを確認されます。
国の新築補助金と併用できる?
耐震建替え補助とは別に、新築住宅が一定の省エネ性能を満たす場合は、「みらいエコ住宅2026事業」などを利用できる可能性があります。
一般的なシニア世帯の場合、年齢・子どもの有無を問わないGX志向型住宅なら、宮崎県の多くの地域で110万円の補助対象になる可能性があります。
理論上は、
- 既存住宅側:自治体の耐震建替え補助
- 新築住宅側:国の省エネ住宅補助
という組み合わせが考えられます。
ただし、同じ工事費への重複補助、国費を財源とする自治体補助との併用、申請時期などに制限があります。38万円と110万円を必ず合計できるとは限らないため、双方の事務局へ確認が必要です。
シニアの建替えで確認したいポイント
耐震建替え補助を利用できても、建替え総額に対する割合は大きくありません。
建替え資金計画では、補助金だけでなく次の費用も確認します。
- 耐震診断費
- 解体・廃材処分費
- アスベスト調査・除去費
- 仮住まい費
- 2回分の引越し代
- 地盤改良費
- 浄化槽・上下水道工事
- 外構・駐車場工事
- 登記・住宅ローン諸費用
補助金は「受け取れたら余裕資金になるもの」と考え、交付されなくても建替えできる資金計画にしておく方が安全です。
結論
自治体の耐震改修補助金は、自治体が建替えを補助対象としている場合に限り、建替えにも利用できます。
宮崎市の2026年度制度では、
- 耐震改修:上限115万円
- 除却:上限34万4,000円
- 建替え:上限38万円
でした。
主な条件は、1981年5月31日以前に着工した2階以下の木造住宅で、耐震診断の評点が1.0未満であることです。
最も重要なのは、耐震診断・補助申請・交付決定より前に解体や契約をしないことです。2026年度の宮崎市受付は終了しているため、今後の建替えでは次年度制度を契約前に確認してください。
※制度内容・受付状況は2026年8月16日時点です。








