A.年金収入だけでも、住宅ローン審査に通る可能性はあります。離婚歴や一人暮らしであることだけを理由に、住宅ローンが組めなくなるわけではありません。
審査では主に、次の条件が確認されます。
- 年金の年間受給額
- 申込時年齢と完済時年齢
- 希望借入額と毎月の返済額
- 預貯金・退職金などの金融資産
- 自動車ローンやカードローンなどの借入れ
- 土地・建物の担保評価
- 団体信用生命保険への加入可否
- 建替え後も生活費や予備資金を残せるか
ただし、一人暮らしの場合は配偶者の収入を合算できないため、年金額に合わせて借入額を小さくすることが重要です。
離婚歴は住宅ローン審査に影響しますか?
原則として、離婚したこと自体は大きな審査項目ではありません。
ただし、離婚に関連して次の支払いが残っている場合は確認されます。
- 元配偶者との住宅ローンが残っている
- 元配偶者のローンの連帯保証人になっている
- 共有名義の土地・建物が残っている
- 財産分与による支払いが残っている
- 養育費などの定期的な支出がある
- 元配偶者との共有不動産に抵当権が設定されている
特に注意したいのが、以前の住宅ローンです。離婚時に家を出ていても、金融機関との契約上、債務者や連帯保証人から外れていなければ、既存借入れとして扱われる可能性があります。
年金は住宅ローン審査上の収入になりますか?
老齢基礎年金や老齢厚生年金など、継続して受け取れる公的年金は、住宅ローン審査で収入として認められる場合があります。
審査では、一般に次のような書類を求められます。
- 公的年金等の源泉徴収票
- 年金振込通知書
- 年金額改定通知書
- 住民税課税証明書
- 預金通帳の入金履歴
- 確定申告書の控え
一方、遺族年金や障害年金などの非課税年金を収入として扱うかは、金融機関によって異なります。
審査に通るかを左右する「返済負担率」
返済負担率とは、年収に占める年間返済額の割合です。
返済負担率=年間のローン返済額÷年金収入×100
【フラット35】では、住宅ローン以外の借入れも含めた総返済負担率について、次の基準を設けています。
| 年収 | 総返済負担率の基準 |
|---|---|
| 400万円未満 | 30%以下 |
| 400万円以上 | 35%以下 |
自動車ローン、カードローン、リボ払いなども返済額に含まれます。【フラット35】ご利用条件
ただし、これはあくまで申込要件です。一人暮らしの年金生活者が、年金の30%を住宅ローン返済に回してよいという意味ではありません。
年金月額別の返済額の目安
次の金額は、審査の上限ではなく、生活を守るための暫定的な目安です。
| 年金月額 | 年金の20% | 年金の25% |
|---|---|---|
| 10万円 | 2万円 | 2万5,000円 |
| 12万円 | 2万4,000円 | 3万円 |
| 15万円 | 3万円 | 3万7,500円 |
| 18万円 | 3万6,000円 | 4万5,000円 |
| 20万円 | 4万円 | 5万円 |
一人暮らしの場合、電気・水道・通信・自動車・固定資産税などを一人分にできても、基本料金や住宅修繕費まで半分になるわけではありません。
そのため、建替え後の安全性を考えると、毎月の返済額は手取り年金の20%程度、できれば25%以内から検討するのが一つの目安です。
年金月15万円の場合の簡易例
例えば、手取り年金が月15万円の場合です。
- 生活費:月9万円
- 自動車関係費:月2万円
- 固定資産税・保険・修繕積立:月1万円
- 医療・予備費:月1万円
- 住宅ローン返済:月2万円
この場合、月2万円程度なら収支上は収まりそうですが、借入可能額は金利・返済期間・年齢によって決まります。
審査基準上はもう少し返済できる場合でも、毎月の余裕がなくなる借入れはおすすめできません。
一般的な住宅ローンが向いている人
次の条件に近い場合は、個人向け住宅ローンや【フラット35】を検討できます。
- 申込時年齢が比較的若い
- 完済まで一定の返済期間を確保できる
- 公的年金を安定して受給している
- 借入希望額が少ない
- 自動車ローンやカードローンがない
- 土地を所有している
- 建替え後も預貯金を残せる
- 団信に加入できる、または団信が任意の商品を選べる
【フラット35】は、原則として申込時年齢が満70歳未満です。全期間固定金利のため、借入時に返済終了までの金利と返済額が決まり、年金生活の資金計画を立てやすい特徴があります。【フラット35】公式サイト
ただし、完済時年齢によって借入期間が短くなると、毎月の返済額が高くなる点に注意が必要です。
60歳以上なら「リ・バース60」も選択肢
一般的な住宅ローンの毎月返済が難しい場合は、住宅金融支援機構と民間金融機関が提携する【リ・バース60】を検討できます。
主な仕組みは次のとおりです。
- 原則として毎月支払うのは利息のみ
- 元金は死亡時に一括返済する
- 相続人が一括返済するか、担保物件を売却して返済する
- 年金収入だけの人にも利用例がある
- 新築・建替え資金にも利用できる
- 取扱条件や金利は金融機関によって異なる
住宅金融支援機構の2026年4月版資料では、原則60歳以上が対象で、50歳以上60歳未満でも融資限度額を抑えて利用できる場合があります。住宅金融支援機構「リ・バース60」
リ・バース60の注意点
- 一般の住宅ローンより融資額が少なくなることがある
- 融資限度額は土地・建物の担保評価に左右される
- 変動金利の場合、金利上昇で毎月の利息が増える
- 元金がほとんど減らない
- 死亡後に家を売却する可能性がある
- ノンリコース型かリコース型かを確認する必要がある
- 子どもなど推定相続人への説明を求められることがある
一人暮らしで「家を必ず相続人に残す必要がない」という場合には相性がよいことがありますが、担保評価が低い地域では希望額まで借りられない可能性があります。
一人暮らしだからこそ残しておきたい現金
単身者の建替えでは、頭金を増やしてローンを小さくすることは有効です。しかし、預貯金をすべて建築費に使うのは危険です。
最低限、次の資金を別枠で考えます。
- 1~2年分程度の生活予備費
- 入院・通院・介護の予備費
- 家電の買替え費用
- 自動車の買替え・修理費
- 建物の修繕費
- 固定資産税・火災保険料
- 葬儀・死後事務などの費用
金額を一律に決めるのではなく、年金で毎月いくら不足するかを計算し、その不足額を補える現金を残します。
宮崎県で審査を受ける際の注意点
宮崎県では、車が生活に欠かせない地域も多いため、自動車費用を除外して返済計画を立てると、実際の生活が苦しくなる可能性があります。
また、建替えでは次の費用も見落とせません。
- 古家の解体費
- 仮住まいと2回分の引越し代
- 地盤改良費
- 浄化槽や給排水工事
- 台風対策・火災保険
- 外構や駐車場工事
- 建築中の追加工事
土地を所有していても、接道、市街化調整区域、私道、既存不適格、担保評価などによって審査結果が変わります。
審査前に確認する7項目
金融機関へ相談する前に、次の数字を整理すると、現実的な借入額を判断しやすくなります。
- 現在の年齢
- 額面と手取りの年金月額
- 預貯金・退職金などの金融資産
- 毎月の生活費と自動車費
- 現在残っているローンや保証債務
- 土地の所在地・面積・名義
- 建替え総額と希望借入額
結論
離婚後の一人暮らしで、収入が年金だけでも住宅ローン審査に通る可能性はあります。
ただし、重要なのは「審査に通る上限」ではなく、一人の年金で最後まで返しながら、医療・介護・修繕用の現金を残せる金額です。
現実的には、次の順番で比較します。
- 借入額を抑えた一般住宅ローン
- 全期間固定金利の【フラット35】
- 毎月の支払いを抑える【リ・バース60】
- 建物を小さくして総予算を下げる案
年齢、年金月額、預貯金、建替え予算が分かれば、審査の可否を断定するものではありませんが、無理のない借入額と毎月返済額の目安を具体的に計算できます。








