A.廊下を減らすと建物をコンパクトにでき、居室や収納へ面積を回せます。ただし、なくしすぎると、音・におい・視線・冷暖房・来客時のプライバシーなどで暮らしにくくなる可能性があります。
「廊下は無駄な面積」と考えるのではなく、家族の生活を緩やかに分ける調整スペースとして、必要な場所には残すことが大切です。
廊下を減らすメリット
廊下を減らした間取りには、次のメリットがあります。
- 同じ延床面積でも居室を広くできる
- 収納スペースを確保しやすい
- 建物をコンパクトにできる
- 建築費を抑えられる可能性がある
- 移動距離が短くなる
- 冷暖房する面積をまとめやすい
- 家族が自然に顔を合わせやすい
- 将来の移動負担を減らせる
30坪前後の住宅やコンパクトな平屋では、廊下を少なくすることが面積を有効に使う方法の一つです。
廊下をなくしすぎて起こる問題
1.リビングからトイレが直接見える
廊下をなくすため、LDKにトイレのドアが直接面する間取りがあります。
この場合、次の問題が起こりやすくなります。
- 食事中にトイレの出入りが見える
- 水を流す音が聞こえる
- においが気になる
- 来客がトイレを使いにくい
- トイレから出たときに視線が合う
トイレ前には、短い廊下、壁、洗面スペースなどを設け、LDKから直接見えないようにすると安心です。
2.玄関を開けると室内が丸見えになる
玄関とLDKを直接つなぐと、開放感が出る一方、玄関ドアを開けたときにリビングやキッチンが見える場合があります。
- 宅配業者から室内が見える
- 来客時に家族が落ち着かない
- 散らかったキッチンが見える
- 冬に外の冷気が入りやすい
- 夏に熱気や湿気が入る
玄関ホールを広く取らなくても、袖壁や収納、建具によって視線と外気を緩やかに遮れます。
3.寝室や子ども部屋の音がLDKへ伝わる
各個室が直接LDKにつながる間取りでは、テレビ・会話・調理音が寝室へ届きやすくなります。
反対に、個室内の音がLDKへ聞こえやすくなることもあります。
- 子どもが早く寝られない
- 在宅勤務に集中しにくい
- 家族の生活時間が違うと気を使う
- 夜勤の家族が日中眠れない
- オンライン会議や通話が聞こえる
短い廊下、収納、クローゼットなどを部屋の間に挟むと、音の緩衝帯になります。
4.キッチンのにおいが家全体へ広がりやすい
廊下がなく、LDKから各部屋へ直接つながる間取りでは、調理のにおいが個室へ入りやすくなります。
特に宮崎では、窓を開けにくい高温多湿の時期や台風時期もあります。
対策としては、次の方法があります。
- キッチンと個室の間に建具を設ける
- レンジフードの給排気を適切に計画する
- 個室の給気・排気経路を整える
- パントリーや収納を緩衝帯にする
- 24時間換気を止めずに運転する
換気設備があっても、間取りと給排気口の位置が悪ければ、においが広がることがあります。
5.来客時にプライベート空間を通られる
廊下が少ないと、来客が洗面所やトイレへ行く際に、キッチン・洗濯物・家族のくつろぐ場所を通る場合があります。
- キッチンの中が見える
- 洗濯物の前を通る
- 寝室の出入りが見える
- 子ども部屋の前を通る
- 家族がテレビを見ている横を通る
来客が多い家庭では、玄関からトイレ・洗面・客間までの動線を分けると使いやすくなります。
6.家族の生活時間が違うと気を使う
小さい子どもがいる時期は、家族がLDKを通る間取りが便利に感じられます。
しかし、子どもが成長すると生活時間が変わります。
- 夜遅く帰宅する
- 早朝に出勤する
- 受験勉強をする
- オンライン授業や仕事をする
- 夜勤の家族がいる
個室からトイレ・洗面・玄関へ移動するたびにLDKを通ると、お互いに気を使う可能性があります。
7.家具を置ける壁が少なくなる
廊下をなくして多くの部屋をLDKへ直接つなぐと、LDKの壁面にドアが増えます。
その結果、次の家具を置きにくくなることがあります。
- テレビ
- ソファ
- ダイニング収納
- 本棚
- ピアノ
- ワークデスク
- 飾り棚
間取り図では広く見えても、建具を開閉する範囲や人の通り道を除くと、家具の配置場所が少ないケースがあります。
8.通り道がLDKを横切る
廊下をなくした結果、LDKの中央が通路になることがあります。
- テレビの前を家族が通る
- ソファとテレビの間が通路になる
- ダイニングチェアの後ろを通りにくい
- キッチン作業中に家族とぶつかる
- 落ち着いてくつろげない
廊下の面積を削れても、LDK内に通路面積が発生すれば、必ずしも面積を有効活用できたとはいえません。
9.冷暖房効率が悪くなる場合がある
廊下をなくして空間をつなげると、冷暖房をまとめやすくなるメリットがあります。
一方で、玄関・階段・吹抜け・洗面室まで仕切りなくつなぐと、冷暖房する空間が大きくなります。
| 間取り | 冷暖房への影響 |
|---|---|
| LDKと廊下を一体化 | 空調をまとめやすい |
| 玄関まで完全に一体化 | 外気の影響を受けやすい |
| リビング階段 | 上下階へ空気が移動しやすい |
| 個室のドアを常時開放 | 家全体を空調する能力が必要 |
| 建具で区切れる | 必要に応じて空調範囲を調整できる |
高断熱住宅でも、空間のつながり方とエアコンの能力・配置を一緒に検討する必要があります。
10.リビング階段から音や空気が広がる
廊下を減らすためにリビング階段を採用すると、家族が顔を合わせやすくなります。
ただし、次の点に注意します。
- テレビの音が2階へ響く
- 2階の音がリビングへ伝わる
- 調理臭が2階へ上がる
- 冷暖房した空気が上下階へ移動する
- 来客中に家族が必ずリビングを通る
必要に応じて階段前に建具を設けられるよう、下地やスペースを準備しておく方法もあります。
廊下はどこに残すとよいですか?
すべての場所に廊下が必要なわけではありません。次の場所は、短い廊下や緩衝スペースを設けるメリットがあります。
トイレの前
音・におい・視線を抑えます。LDKや玄関から便器が直接見えない配置にします。
寝室とLDKの間
生活音を和らげ、家族の生活時間が違っても眠りやすくします。収納を間に置く方法も有効です。
玄関とLDKの間
外からの視線や冷気・熱気を遮ります。短いホールや引き戸でも効果があります。
洗面・脱衣室の前
入浴中や着替え中のプライバシーを確保します。玄関・LDKから直接見えないようにします。
子ども部屋の前
子どもの成長後を考え、音や視線を調整します。ただし、長く暗い廊下にする必要はありません。
廊下の代わりに収納を使う方法
単なる通路をつくるのではなく、収納と組み合わせると面積を有効に使えます。
- 廊下収納
- 本棚
- ファミリークローゼット
- パントリー
- 掃除用品収納
- 家族の掲示板
- 小さなワークスペース
- 室内物干しの補助空間
ただし、収納を設けると有効な通路幅が狭くならないように注意します。
回遊動線なら廊下は不要ですか?
回遊動線は移動経路を複数つくれるため、家事や朝の混雑を減らせる場合があります。
しかし、通路が増えるため、実際には廊下と同じ面積を使っていることもあります。
- キッチンの両側が通路になる
- 収納量が減る
- 家具を置ける壁が少なくなる
- 建具や照明が増える
- 通り抜けるだけの場所ができる
「回れること」ではなく、家族が同時に動く時間帯や家事の順番に合っているかで判断しましょう。
平屋では廊下をなくした方がよいですか?
平屋は階段がない分、横方向の移動が長くなりやすいため、廊下の取り方が建物面積へ影響します。
コンパクトな平屋では、LDKを中心に個室を配置すると廊下を減らせます。しかし、すべての個室をLDKへ直接つなぐと、音やプライバシーの問題が出やすくなります。
おすすめは、次のような考え方です。
- 昼の空間と夜の空間を短い廊下で分ける
- トイレ・洗面を短いホールへまとめる
- 寝室とLDKの間に収納を挟む
- 廊下を短くし、幅と明るさを確保する
- 将来の手すり設置を考えて下地を入れる
廊下の幅はどのくらい必要ですか?
一般的な住宅では、壁の仕上がり間でおおむね78~85cm程度になる設計が見られます。
ただし、将来の暮らしや荷物の搬入を考える場合は、より広い幅を検討します。
| 使い方 | 有効幅の考え方 |
|---|---|
| 日常の一人歩行 | 約78~85cm程度から検討 |
| 荷物を持って通る | 約85~90cm程度あると使いやすい |
| 手すりを設置する | 手すりを含む有効幅を確認 |
| 車いすで直進する | 約90cm以上を目安に個別検討 |
| 車いすで方向転換する | 廊下幅だけでなく広い転回空間が必要 |
寸法は壁芯ではなく、壁・手すり・建具を施工した後の「実際に通れる幅」で確認しましょう。
宮崎の気候と廊下の関係
古い宮崎の住宅では、廊下や洗面室が冷暖房されず、冬の朝晩に寒くなることがあります。
しかし、これは「廊下があること」だけが原因ではありません。
- 断熱性能が低い
- 隙間が多い
- 窓の断熱性が低い
- 空調が届かない
- 建具で細かく分断されている
断熱等級や気密・換気・空調計画を整えれば、短い廊下を設けても大きな温度差を抑えやすくなります。
デザインハウス宮崎では、ZEH水準を標準とし、さらに断熱等級6もおすすめしています。廊下をなくすだけで温熱性能を補うのではなく、住宅性能と間取りを一緒に考えます。
廊下を減らしてよいケース
- 延床面積をコンパクトにしたい
- 家族の生活時間が近い
- 来客が比較的少ない
- トイレや洗面の視線を別の方法で遮れる
- 各個室の防音・換気を確保できる
- LDK内の通路を整理できる
- 将来の移動経路が短くなる
- 建具で空間を区切れる
短い廊下を残した方がよいケース
- 夜勤など家族の生活時間が異なる
- 在宅勤務や受験勉強をする
- 来客が多い
- 音やにおいに敏感
- LDKの近くにトイレがある
- 寝室で静かに過ごしたい
- 洗面・脱衣室のプライバシーを守りたい
- 将来ヘルパーや訪問看護の利用を考えている
契約前のチェックポイント
- 玄関を開けたときLDKが見えないか
- トイレの出入りが食卓から見えないか
- トイレの音がLDKや寝室へ響かないか
- 個室からトイレへ行く際にLDKを横切らないか
- 夜間の帰宅で家族を起こさないか
- キッチンのにおいが寝室へ届かないか
- 来客が洗濯物やキッチンの前を通らないか
- LDKの中央が通り道になっていないか
- 家具を置ける壁が残っているか
- 玄関や階段から外気が入りすぎないか
- 将来手すりを付けても十分な幅があるか
- 引っ越しや家具搬入に必要な幅があるか
デザインハウス宮崎の考え方
デザインハウス宮崎では、廊下を単純に「無駄な面積」とは考えません。
女性スタッフの生活目線から、次のバランスを確認します。
- 建物をコンパクトにする
- 家事の移動距離を短くする
- トイレや脱衣室の視線を遮る
- 家族の睡眠や在宅勤務を守る
- 来客と家族の動線を整理する
- 家具を置ける壁を確保する
- 将来も安全に移動できる幅を取る
- 冷暖房と換気を家全体で計画する
廊下をゼロにすることを目的にせず、短い廊下や収納を緩衝帯として利用し、面積を抑えながら落ち着いて暮らせる間取りをおすすめします。
まとめ
- 廊下を減らすと建物をコンパクトにできる
- なくしすぎると音・におい・視線の問題が出やすい
- トイレをLDKへ直接向けない
- 寝室とLDKの間には緩衝スペースがあると安心
- 玄関から室内が丸見えにならないようにする
- LDKの中央を通路にしない
- 家具を置ける壁を確保する
- 回遊動線も通路面積として確認する
- 廊下幅は仕上がり後の有効寸法で確認する
- 廊下の削減と住宅性能を混同しない
結論として、廊下は多すぎると面積を使いますが、なくしすぎても暮らしにくくなります。宮崎で後悔しない間取りにするには、移動だけの長い廊下は減らしながら、玄関・トイレ・寝室・洗面脱衣室の前には、音や視線を和らげる必要最小限の空間を残すことがポイントです。








