こんにちは。
株式会社ツチモチが運営する「デザインハウス宮崎」の町田です。
私は東京で生まれ、転勤をきっかけに札幌へ移り、約20年間、北海道で住宅販売の仕事に携わりました。
その後、父の故郷である宮崎へ移住し、最初の冬に驚いたことがあります。
外は北海道よりはるかに暖かいのに、家の中では宮崎の方が寒く感じることがあったのです。
なぜ、このような違いが生まれるのでしょうか。
もちろん、北海道の家がすべて高性能で、宮崎の家がすべて寒いということではありません。
しかし、二つの地域では気候が大きく異なるため、家づくりで重視されてきたことにも違いがあります。
大きな違いは「気候への備え方」
北海道と宮崎の住宅は、同じ日本の木造住宅でも、備えなければならない気候が違います。
| 比較する項目 | 北海道 | 宮崎 |
|---|---|---|
| 冬 | 厳しい寒さ・積雪 | 朝晩の冷え込み |
| 夏 | 比較的短い | 長く、暑さと湿気が厳しい |
| 日差し | 冬の暖かさを生かしたい | 夏の強い日射を防ぎたい |
| 住宅性能 | 断熱・気密を特に重視 | 暑さ・湿気・台風対策も重要 |
| 冷暖房 | 暖房が中心 | 冷房と暖房の両方が必要 |
| 防災 | 雪や凍結への備え | 台風・強風・大雨への備え |
北海道では、厳しい冬を安全に暮らすため、断熱・気密・窓・暖房を重視します。
宮崎では、冬の寒さだけでなく、夏の暑さ、強い日差し、高い湿度、台風への対策が欠かせません。
違い1 断熱に対する考え方
北海道では、断熱性能が低い家を建てると、暖房しても室内が暖まりにくくなります。
そのため、
- 天井や屋根
- 外壁
- 床や基礎
- 窓
- 玄関ドア
を含め、家全体を断熱するという考え方が浸透しています。
一方、宮崎では長い間、
「温暖な地域だから、北海道ほど断熱は必要ない」
「寒い期間は短いから、暖房で対応できる」
と考えられることもありました。
しかし、断熱は冬だけのものではありません。
夏は外の暑さを室内へ伝えにくくし、冷房で整えた空気を保つためにも役立ちます。
宮崎でも、一年を通して快適に暮らすために断熱性能が必要です。
違い2 気密に対する意識
気密とは、家の隙間を減らすことです。
北海道では、どれほど断熱材を厚くしても、家に隙間が多ければ暖かさが逃げるため、断熱と気密をセットで考えます。
一方、温暖な地域では「家は風通しが良い方がよい」という考え方があり、気密があまり重視されなかった住宅もあります。
しかし、自然の風通しと、意図しない隙間風は別です。
夏に窓を開けて風を通すことと、冬に壁や床の隙間から冷気が入り続けることは違います。
気密性能を整えたうえで、窓や換気設備を使って計画的に空気を入れ替えることが大切です。
違い3 窓の性能
北海道では、窓から逃げる熱を抑えることが、冬の快適性に直結します。
そのため、サッシやガラスの性能を重視し、窓の大きさや配置にも注意します。
宮崎では、明るさや風通しを求めて、大きな窓を多く設けることがあります。
大きな窓には開放感がありますが、性能や方角を考えなければ、
- 冬に暖かさが逃げる
- 窓際から冷気を感じる
- 夏に強い日差しが入る
- 冷房の効きが悪くなる
- 結露が発生する
といった原因になります。
宮崎でも、窓は単なる開口部ではなく、家の暑さ・寒さを左右する重要な部材として考える必要があります。
違い4 暖房の方法
宮崎では、家族が過ごすリビングだけをエアコンなどで暖める「部分暖房」が多く見られます。
そのため、リビングは暖かくても、廊下、トイレ、脱衣室、寝室は寒いままです。
北海道では、厳しい寒さから生活を守るため、家全体の温度差を小さくする暖房計画を考えます。
本当に暖かい家とは、暖房器具の前だけが暖かい家ではありません。
家のどこにいても、極端な寒さを感じにくい家です。
宮崎でも、断熱・気密性能を整え、家全体を効率よく暖めるという考え方を取り入れる必要があります。
違い5 玄関のつくり方
北海道の玄関は、外の冷気が室内へ直接入らないようにする工夫が見られます。
玄関ドアの性能を高めたり、風除室を設けたり、玄関と居住空間の間に温度の境目をつくったりします。
一方、宮崎では外と室内をつなぐ開放的な玄関もあります。
しかし、玄関ドアや土間部分の断熱性能が十分でなければ、冬は玄関から冷気が入り、廊下やリビングの足元を冷やします。
宮崎では台風時の強風や雨への備えも必要です。
玄関には、断熱性、気密性、防水性、防風性をバランスよく持たせることが大切です。
違い6 換気と湿気への考え方
北海道では、外と室内の温度差が大きいため、結露を防ぐうえでも断熱・気密・換気を一体として考えます。
宮崎では、夏の高温多湿への対策が特に重要です。
湿気を適切に排出できなければ、
- 蒸し暑さ
- 結露
- カビ
- 洗濯物の乾きにくさ
- 収納内の湿気
などにつながります。
ただし、窓を開ければ必ず湿気が減るとは限りません。
外の湿度が高い日は、窓を開けることで湿気を室内へ取り込むこともあります。
宮崎では、計画換気とエアコンによる冷房・除湿を、暮らし方に合わせて使うことが必要です。
違い7 日差しへの対応
北海道では、冬の日差しを室内へ取り入れ、暖かさとして利用することを考えます。
宮崎でも冬の日差しは有効ですが、夏の強い日射には十分な注意が必要です。
断熱性能の高い家に夏の日差しが大量に入ると、その熱が室内にこもる可能性があります。
宮崎では、
- 軒や庇
- 外付けシェード
- 窓の大きさ
- 窓の方角
- 植栽
- 西日対策
を考え、夏の日差しをできるだけ窓の外側で遮ることが重要です。
冬の日差しは取り入れ、夏の日差しは遮る。
宮崎型高性能住宅では、この季節ごとの使い分けが欠かせません。
違い8 屋根や外壁に求められる性能
北海道では、積雪や凍結など、寒冷地特有の条件に対応する必要があります。
宮崎では、台風、強風、激しい雨、強い日差しへの備えが重要です。
そのため、
- 屋根材の固定
- 外壁の防水
- 窓まわりの雨水対策
- 軒や庇の耐風性
- 雨どいの計画
- 土地の排水
- 飛来物への備え
なども考える必要があります。
断熱性能が高いだけで、宮崎に適した住宅になるわけではありません。
地域の災害や気候に合わせた耐久性と安全性も、高性能住宅の一部です。
違い9 家の広さと形
北海道では、熱が逃げにくいよう、比較的まとまりのある建物形状が採用されることがあります。
建物の凹凸が多くなるほど外気に接する面が増え、断熱や気密の施工も複雑になります。
宮崎では、深い軒、縁側、風通しを意識した開放的な間取りなど、温暖な地域に合った住宅文化があります。
こうした良さを残しながら、現代の断熱・気密・空調を組み合わせることが大切です。
北海道の家をそのまま宮崎へ持ってくるのではなく、宮崎の暮らしに合わせて調整する必要があります。
北海道の家がすべて暖かいわけではありません
北海道に建っているからといって、すべての家が暖かいわけではありません。
築年数、断熱仕様、窓、施工状態、暖房方法によって快適性は変わります。
同じように、宮崎にも高い住宅性能を持つ快適な家があります。
重要なのは地域名ではなく、
- どのような性能で設計されているか
- どのような材料を使っているか
- 施工が適切に行われているか
- 地域の気候に合っているか
- 家全体の温度差を考えているか
という点です。
「北海道仕様だから安心」「宮崎だから断熱は不要」と単純に判断することはできません。
北海道仕様をそのまま宮崎へ持ち込まない理由
北海道の断熱・気密の考え方には、宮崎でも学ぶべき点がたくさんあります。
しかし、その仕様をそのまま宮崎へ持ち込むだけでは不十分です。
宮崎では、
- 夏の強い日差しを遮る
- 高い湿度を適切に管理する
- 長い冷房期間を考える
- 台風や激しい雨に備える
- 冬の日差しを上手に利用する
必要があります。
断熱性能を高めるだけでなく、日射遮蔽、換気、除湿、防災まで含めて設計することが大切です。
二つの地域の良さを組み合わせる
私が北海道で学んだのは、
- 断熱・気密を家づくりの基本とする
- 窓から逃げる熱を考える
- 家全体の温度差を小さくする
- 暖房設備より先に家の性能を整える
- 施工品質を大切にする
という考え方です。
宮崎で必要なのは、
- 強い日差しを上手に遮る
- 湿気を管理する
- 軒や庇を生かす
- 台風や雨に備える
- 宮崎の暮らし方に合った間取りにする
ことです。
この二つを組み合わせることで、冬は暖かく、夏は涼しい、宮崎に合った住まいをつくることができます。
宮崎の気候に合った高性能住宅へ
北海道の家と宮崎の家の違いは、単なる断熱材の厚さではありません。
それぞれの気候に対し、家全体をどのように守り、どのように快適性をつくるかという考え方の違いです。
私たちが目指しているのは、北海道の家をそのまま宮崎に建てることではありません。
北海道で培われた断熱・気密の知識を生かしながら、宮崎の暑さ、湿気、日差し、台風への対策を組み合わせる。
冬は暖かく、夏は涼しい。
家の中の温度差が少ない。
少ないエネルギーで、家族が長く安心して暮らせる。
それが、株式会社ツチモチとデザインハウス宮崎が目指す「宮崎型高性能住宅」です。








