株式会社ツチモチが運営する「デザインハウス宮崎」の町田です。
私は夫の転勤をきっかけに札幌へ移り、約20年間、北海道で住宅販売の仕事に携わりました。
北海道の冬はとても厳しく、外気温が氷点下になることも珍しくありません。
ところが、性能の整った住宅に入ると、リビングだけでなく、廊下やトイレ、脱衣室まで暖かいことに驚かされます。
一方、温暖な宮崎では、
「リビングは暖かいけれど、廊下へ出ると寒い」
「脱衣室で服を脱ぐのがつらい」
「朝になると家全体が冷え切っている」
という家もあります。
外は北海道の方が寒いのに、なぜ家の中は北海道の方が暖かく感じるのでしょうか。
北海道の家がすべて暖かいわけではありません
最初にお伝えしたいのは、北海道に建っている家が、すべて暖かいわけではないということです。
築年数や断熱仕様、窓、暖房設備、施工状態によって、家の暖かさは変わります。
古い住宅や性能が十分でない家では、北海道でも寒さを感じます。
それでも北海道では、厳しい冬を暮らすために、住宅性能を重視する考え方が広く浸透しています。
性能の整った北海道の家が、外の厳しい寒さの中でも家全体を暖かくできる理由を見ていきましょう。
理由1 家全体を断熱材で包んでいる
断熱には、外の寒さを室内へ伝えにくくし、暖房でつくった熱を外へ逃がしにくくする役割があります。
北海道では、壁だけでなく、
- 屋根や天井
- 外壁
- 床や基礎
- 窓
- 玄関ドア
まで含め、家全体で断熱を考えます。
一部分だけを強化するのではなく、家の暖かさを守る範囲を、できるだけ切れ目なく断熱材で包むことが重要です。
リビングだけではなく、廊下、トイレ、脱衣室なども同じ断熱された範囲に入れることで、暖房していない場所も極端に冷えにくくなります。
理由2 家の隙間をできるだけ減らしている
どれほど断熱性能を高めても、家に隙間が多ければ、暖かい空気は外へ逃げてしまいます。
同時に、外の冷たい空気が室内へ入り込みます。
北海道の住宅では、断熱と気密をセットで考えます。
窓や玄関ドアの周辺、床と壁のつなぎ目、配管や配線の貫通部分などを適切に処理し、意図しない空気の出入りを減らします。
断熱材は暖かい上着、気密はその上着のファスナーのようなものです。
どれほど暖かい上着でも、前が開いたままでは寒さを防げません。
断熱と気密の両方を整えることで、家の中につくった暖かさを保ちやすくなります。
理由3 窓から逃げる熱を抑えている
窓は、家の中で熱が大きく出入りする場所の一つです。
窓の性能が十分でないと、室内の暖かさが外へ逃げ、窓の表面温度も下がります。
暖かい空気が冷たい窓に触れると、その空気が冷やされて床へ流れます。
この冷気が、窓際や足元の寒さにつながります。
北海道では、サッシやガラスの性能を重視し、窓の大きさや配置も考えます。
窓の近くでも寒さを感じにくくすることで、リビングだけでなく、家全体の体感温度を保ちやすくなります。
理由4 部屋ではなく家全体を暖める
宮崎では、家族がいるリビングだけをエアコンで暖めることが多くあります。
その場合、リビングは暖かくても、廊下、トイレ、脱衣室などは冷えたままです。
北海道では、厳しい寒さから暮らしを守るため、家全体の温度差を小さくする暖房計画を考えます。
住宅性能を整えたうえで、暖かい空気や熱が家全体へ届くようにします。
本当に暖かい家とは、暖房器具の前にいるときだけ暖かい家ではありません。
家の中を移動しても、急激な寒さを感じにくい家です。
理由5 暖房設備より先に家の性能を整える
大きな暖房設備を設置すれば、必ず暖かい家になるわけではありません。
断熱性能が低く、隙間の多い家では、暖房でつくった熱が次々と外へ逃げてしまいます。
例えるなら、穴の開いたバケツに水を入れ続けるようなものです。
北海道の家づくりでは、まず熱を逃がしにくい建物をつくり、その家の性能や広さに合った暖房設備を選びます。
暖房の力だけで寒さを解決するのではなく、家そのものに暖かさを保つ力を持たせるのです。
理由6 床・壁・窓の表面が冷えにくい
人が感じる寒さは、室温だけでは決まりません。
床、壁、天井、窓などの表面温度も、体感温度に影響します。
室温が十分に上がっていても、床や壁が冷たいと、体の熱が周囲へ奪われるように感じます。
断熱性能の高い家では、室内側の床や壁、窓の表面温度が下がりにくくなります。
そのため、同じ室温でも暖かく感じやすく、設定温度を必要以上に高くしなくても快適に過ごせます。
北海道の家が暖かく感じるのは、空気だけでなく、体を取り囲む床や壁まで冷えにくいことも理由の一つです。
理由7 上下の温度差を小さくしている
暖かい空気は上へ移動し、冷たい空気は下へたまりやすい性質があります。
住宅性能が十分でない家では、天井付近は暖かいのに、足元は寒いという状態が起こります。
北海道の高性能住宅では、断熱・気密によって冷気の侵入を抑え、暖かい空気を循環させることで、上下の温度差を小さくします。
家の性能に合わせて、
- 暖房設備の位置
- 空気の流れ
- 吹き抜けや階段の配置
- 部屋のつながり
- ファンなどによる空気循環
を考えます。
顔の周りだけが暑く、足元が寒い家ではなく、足元から快適に感じられる環境を目指します。
理由8 計画的に換気している
気密性能を高めると、
「空気がこもるのでは?」
「息苦しい家になるのでは?」
と思われるかもしれません。
しかし、気密性能の高い家こそ、計画的な換気が大切です。
隙間の多い家では、どこから空気が入り、どこへ出るのか分かりません。
一方、気密性能を整えた家では、必要な場所から新鮮な空気を取り入れ、汚れた空気や湿気を計画的に排出できます。
換気は止めるのではなく、室温への影響も考えながら適切に行う。
北海道では、断熱・気密・換気を一つの仕組みとして考えます。
理由9 玄関から入る冷気を抑えている
北海道では、玄関を開けたときに外の冷たい空気が室内へ直接入らないよう、さまざまな工夫が見られます。
例えば、
- 断熱性能の高い玄関ドア
- 玄関と居住空間を分ける間取り
- 風除室
- 玄関土間の断熱
- ドアまわりの気密処理
などです。
玄関から入る冷気を抑えることで、廊下やリビングの足元が冷えにくくなります。
宮崎でも玄関は、家の中で冷気が入りやすい場所です。
玄関ドアのデザインだけでなく、断熱・気密性能まで確認することが大切です。
理由10 施工品質を大切にしている
高性能な材料を使えば、自動的に高性能住宅になるわけではありません。
断熱材に隙間があったり、気密層が途中で切れていたりすれば、本来の性能を十分に発揮できません。
特に注意したいのは、
- 窓まわり
- 配管や配線の周辺
- 床と壁のつなぎ目
- 天井と壁の接合部分
- 浴室や玄関まわり
などです。
これらの部分は、家が完成すると見えなくなります。
北海道で住宅に携わって学んだのは、性能はカタログの数字だけで決まらないということです。
設計、材料、施工、確認のすべてがそろって、初めて暖かい家になります。
家全体が暖かいと暮らしはどう変わる?
家の中の温度差が小さくなると、暮らし方が変わります。
- 朝、布団から出るのがつらくない
- 廊下やトイレへ行くときに身構えない
- 脱衣室で安心して着替えられる
- 子どもが家の中でのびのび過ごせる
- 暖房器具の前だけに家族が集まらない
- 結露やカビを抑えやすくなる
- 冷暖房に必要なエネルギーを減らしやすい
家全体が暖かいことは、単なるぜいたくではありません。
家族の健康や安全、毎日の暮らしやすさにつながります。
宮崎でも家全体を暖かくできる?
もちろん、宮崎でも家全体が暖かい住宅を目指すことができます。
ただし、北海道の仕様をそのまま持ち込むわけではありません。
宮崎では冬の寒さだけでなく、
- 夏の強い日差し
- 高い気温と湿度
- 長い冷房期間
- 台風や激しい雨
への対策も必要です。
断熱・気密性能を高めながら、夏の日差しを窓の外側で遮り、湿気を適切に管理します。
冬だけ暖かい家ではなく、夏も涼しく快適に暮らせる家にすることが、宮崎では重要です。
宮崎の家づくりに取り入れたい考え方
北海道の家づくりから宮崎が学べるのは、断熱材の厚さだけではありません。
最も大切なのは、
部屋ごとではなく、家全体の暮らしを考えること
です。
リビングだけが暖かければよいのではありません。
廊下、トイレ、脱衣室、浴室、寝室まで、家族が使う場所すべてを一つの温度環境として考えます。
そのために、
- 断熱
- 気密
- 窓
- 換気
- 間取り
- 冷暖房
- 施工品質
を一体として計画します。
北海道で学んだ「家全体を暖める」という考え方
北海道の性能が整った住宅が家全体を暖かくできるのは、暖房を強く使っているからだけではありません。
断熱・気密・窓の性能によって熱を逃がしにくくし、家全体へ暖かさを届ける仕組みをつくっているからです。
私は北海道で約20年間住宅に携わり、外が氷点下でも、家の性能によって室内の温度差を小さくできることを学びました。
宮崎だから、リビング以外の寒さを我慢する必要はありません。
冬は家全体が暖かく、夏は涼しい。
家のどこにいても、家族が安心して過ごせる。
北海道で学んだこの考え方を宮崎の気候に合わせることが、株式会社ツチモチとデザインハウス宮崎の目指す「宮崎型高性能住宅」です。








