「断熱等級6なら、冬は暖かく夏は涼しい?」
「高性能な断熱材を使っていれば安心?」
「気密性能って、実際にはどんな工事で高めるの?」
家づくりを検討している方から、このようなご質問をいただくことがあります。
最近では、住宅会社のホームページや広告でも、UA値や断熱等級といった住宅性能の数値を目にする機会が増えました。
もちろん、住宅の断熱性能はとても重要です。
しかし、ここで知っていただきたいことがあります。
どれだけ高性能な断熱材を採用していても、施工が適切でなければ、その性能を十分に発揮できない場合があるということです。
窓のまわり。
壁の継ぎ目。
コンセントの裏側。
配管が通る部分。
こうした場所には、小さな隙間が生じやすくなります。
完成すると壁や天井の内側に隠れてしまう部分だからこそ、工事中の確認が大切です。
今回は、建築中の現場写真をもとに、普段はなかなか見ることのできない気密施工のポイントをご紹介します。
【結論】高性能住宅は断熱材の性能だけでなく、施工品質が重要です
高性能住宅を考えるうえで大切なのは、断熱・気密・防湿・換気をバランスよく計画することです。
断熱材の種類や厚さだけでなく、窓の取り付け部分や配線・配管の貫通部分など、細かな場所まで適切に施工する必要があります。
特に気密施工では、室内と屋外を隔てる気密層が途中で途切れないことが重要です。
小さな隙間でも、住宅全体では意図しない空気の出入りにつながる可能性があります。
完成後には見えなくなる部分の施工こそ、住み始めてからの快適性を支える大切な仕事です。
① 窓まわりの小さな隙間を丁寧に処理する
今回の写真で最初に注目していただきたいのが、窓の周囲です。
黒いサッシと木製の下地材の間に、白い発泡ウレタンが施工されている様子が確認できます。
窓は、住宅の中でも外の暑さや寒さの影響を受けやすい場所です。
そのため、窓ガラスやサッシ自体の断熱性能が重要になります。
しかし、性能の高い窓を採用するだけでは十分とはいえません。
サッシと建物の取り付け部分に隙間が残っていると、そこから空気が出入りする可能性があります。
窓の四隅や角の部分にも注意
特に確認したいのが、窓の上部や左右の側面、角の部分です。
直線部分が処理されていても、角の部分に隙間が残っている場合があります。
また、発泡ウレタンは、隙間の充填や断熱補助として利用される材料ですが、製品や施工方法によって役割が異なります。
発泡ウレタンを充填しただけで、窓まわりの気密・防水がすべて完成するわけではありません。
必要に応じて気密テープや防湿気密シート、防水部材などと組み合わせ、設計された気密層や防水層を連続させることが大切です。
窓まわりは、内装が完成すると確認しにくくなる場所です。
だからこそ、施工途中の確認が重要になります。
写真説明:サッシと木製下地材の取り合い部分。窓の上部や角まで施工状況を確認します。
写真説明:窓の側面や四隅は、隙間が生じやすい部分。直線部分だけでなく、角まで連続した処理が必要です。
② 合板の継ぎ目も気密施工の重要なポイント
次に確認したいのが、合板の継ぎ目部分です。
住宅の壁や床などには、複数の合板や構造用面材が使用されます。
これらの材料を組み合わせると、部材同士の継ぎ目が生じます。
今回の写真には、合板の継ぎ目に沿って黒いテープが施工されている様子が写っています。
小さな継ぎ目も、住宅全体では大きな違いに
住宅には、数多くの接合部分があります。
一つひとつは小さな継ぎ目でも、気密層として計画された場所に隙間が残ると、住宅全体の気密性能に影響する可能性があります。
そのため、気密テープなどを使用する場合には、
- 必要な範囲を覆っているか
- 下地に十分密着しているか
- テープの端が浮いていないか
- 途中で途切れていないか
- 使用する材料に適合しているか
といった確認が必要です。
ただし、すべての合板の継ぎ目に気密テープが必要というわけではありません。
大切なのは、建物のどの位置を気密層として設計しているかを明確にし、その層を連続させることです。
写真説明:合板の接合部分に施工された黒いテープ。気密層として計画された部分では、継ぎ目の連続性が重要です。
③ コンセントやスイッチの裏側にも気密対策が必要
住宅の壁には、コンセントや照明スイッチなどが設置されます。
完成した住宅では、きれいなプレートしか見えません。
しかし、壁の内部には電気ボックスや配線があり、木部を貫通する部分もあります。
特に外壁側など、気密層を貫通する位置にコンセントを設ける場合は注意が必要です。
電気ボックスまわりの気密施工
今回の写真には、電気ボックスの周囲に透明なカバー状の部材が設置されている様子が確認できます。
このような部分では、気密層と電気ボックスまわりの処理を適切につなげることが重要です。
また、電線が木部を通る部分にも小さな穴が生じます。
こうした貫通部分に隙間が残ると、意図しない空気の通り道になる場合があります。
ただし、電気設備まわりの気密施工では、使用する部材の適合性や配線の安全性にも配慮が必要です。
発泡ウレタンやテープを使用する場合も、電気設備や材料の施工条件に従うことが大切です。
完成後に見えなくなるコンセントの裏側にも、住宅の快適性を支える施工があります。
【写真挿入位置④】
写真説明:壁の内部に設置された電気ボックスとカバー状の部材。周囲の気密層との接続が重要です。
写真説明:電線が木部を通る部分。小さな貫通穴も気密施工の確認ポイントです。
④ 床下の配管まわりも見逃せない
住宅には、給水管や給湯管、排水管、電気配線など、さまざまな設備が通っています。
これらの配管や配線が床や壁を貫通する部分には、隙間が生じることがあります。
今回の写真では、断熱材の周囲や配管の貫通部分に、発泡ウレタンによる充填が行われている様子が確認できます。
配管の太さや形に合わせた施工が必要
配管は一本ずつ太さや位置が異なります。
また、複数の配管が集まる場所では、複雑な形の隙間が生じることもあります。
そのため、単に材料を充填するだけでなく、周囲の部材との取り合いや、気密層との連続性を確認することが重要です。
さらに、配管の種類や用途によっては、専用の気密部材や耐火処理などが必要になる場合もあります。
床下や壁の内部など、普段は見えない場所にも丁寧な施工が求められます。
写真説明:床下の断熱材や配管の周囲に施工された発泡ウレタン。配管ごとの隙間処理を確認します。
⑤ デザインハウス宮崎が採用する高性能グラスウールの特徴
デザインハウス宮崎では、基本的に高性能グラスウールを使用した断熱仕様を採用しています。
グラスウールは、細いガラス繊維の間に空気を保持することで、熱の移動を抑える断熱材です。
住宅の壁や天井など、さまざまな場所に使用されています。
高性能グラスウールのメリット
1.優れた断熱性能
適切な厚さと密度のグラスウールを施工することで、住宅の断熱性能を確保できます。
2.不燃性を備えた材料
グラスウールはガラスを主原料とした無機繊維系の断熱材であり、火に強い特徴があります。
ただし、製品全体の防火性能は表面材などの仕様によっても異なります。
3.吸音性がある
繊維状の構造によって音のエネルギーを吸収する性質があり、壁などの遮音性能を高める構成材料としても利用されます。
ただし、実際の遮音性能は壁全体の構造によって変わります。
4.施工方法や費用の選択肢が豊富
住宅用として広く使用されている断熱材であり、必要な断熱性能や予算に応じて製品を選択しやすい特徴があります。
グラスウールは施工品質が特に重要
高性能グラスウールは、適切に施工されてこそ性能を発揮します。
例えば、
- 柱や間柱の間に隙間なく納まっているか
- 断熱材が必要以上に圧縮されていないか
- 配線や電気ボックスの周囲に欠損がないか
- 壁の隅まで適切に充填されているか
- 防湿層や気密層が適切に計画されているか
といった点が重要です。
グラスウールそのものが、住宅全体の気密性能を確保するわけではありません。
そのため、断熱材の施工と気密施工は、それぞれの役割を理解して行う必要があります。
【写真挿入位置⑦】
壁全体にグラスウールが施工されている写真(IMG_4792に対応する壁全景写真・IMG_4792以外の壁全景画像)
写真説明:木製下地の間に充填された繊維系断熱材。壁の隅や配線まわりまで、隙間なく施工されているかを確認します。
※写真の断熱材については、採用製品名・厚さ・密度を現場資料で確認したうえで掲載してください。
⑥ 断熱・気密・防湿は、それぞれ役割が違います
高性能住宅では、断熱・気密・防湿という言葉がよく使われます。
しかし、それぞれ役割が異なります。
| 項目 | 主な役割 |
|---|---|
| 断熱 | 壁や窓などを通る熱の移動を抑える |
| 気密 | 隙間を通る意図しない空気の出入りを抑える |
| 防湿 | 水蒸気が壁などの内部へ入り込むことを抑える |
| 換気 | 計画的に室内の空気を入れ替える |
気密性能が高くても換気は必要
住宅の隙間を少なくすることと、換気を止めることは違います。
気密性能を高めることで、意図しない空気の出入りを抑え、計画換気を機能させやすくすることが期待できます。
ただし、換気設備の能力や給排気経路、室内の空気の流れまで考える必要があります。
宮崎では湿気対策も重要
宮崎は夏の高温多湿な気候が特徴です。
そのため、冬の寒さ対策だけでなく、夏の湿気や壁内部の結露リスクにも配慮する必要があります。
壁の内部に湿気が入り込み、温度などの条件がそろうと、内部結露が発生する可能性があります。
一方、夏場は冷房によって室内側が冷やされるため、冬とは異なる方向への水蒸気移動にも注意が必要です。
防湿層は、単に室内側へシートを張ればよいというものではありません。
断熱材や外壁下地、透湿防水シート、室内仕上げなどの組み合わせを考え、必要に応じて結露計算を行いながら計画することが大切です。
宮崎の気候に合った高性能住宅では、こうした湿気への配慮も欠かせません。
⑦ UA値が良くても気密性能が高いとは限りません
住宅の断熱性能を示すUA値と、気密性能を示すC値は異なる指標です。
UA値は、建物の外皮から逃げる熱の量を表します。
一方、C値は、建物の床面積当たりの相当隙間面積を表します。
そのため、UA値が小さい住宅であっても、気密施工が適切でなければ、隙間が多く残る可能性があります。
気密性能は実際に測定して確認する
気密性能は、専用の測定機器を使用して確認することができます。
住宅内外に圧力差をつくり、空気の流量などから相当隙間面積を求める方法です。
気密測定とは?完成後には見えない住宅の隙間を数値で確認
住宅の気密性能は、見た目だけでは判断できません。
どれだけ丁寧に断熱材を施工していても、窓まわりや配管の貫通部分、床と壁の取り合いなどに隙間があれば、そこから空気が出入りする可能性があります。
そこで重要になるのが「気密測定」です。
気密測定とは、専用の測定機器を使用して住宅内外に圧力差をつくり、建物全体にどれくらいの隙間があるのかを調べる検査です。
住宅の気密性能は、一般的に「C値」という数値で表されます。
C値とは?数値が小さいほど隙間が少ない住宅
C値は、住宅の床面積1㎡当たりに、どれくらいの隙間があるのかを表す数値です。
単位は「㎠/㎡」です。
例えば、床面積100㎡の住宅でC値が0.5㎠/㎡だった場合、建物全体の相当隙間面積は約50㎠という計算になります。
C値は数値が小さいほど、建物全体の隙間が少ないことを意味します。
ただし、C値だけで住宅の快適性や省エネルギー性能が決まるわけではありません。
断熱性能、換気計画、日射遮蔽、冷暖房設備なども含めて考える必要があります。
デザインハウス宮崎の気密測定結果|C値0.48㎠/㎡の施工実例
デザインハウス宮崎では、住宅性能を数値で確認することも大切にしています。
過去にご紹介した24坪・3LDKの高性能平屋では、気密測定を実施し、次の結果が得られました。
気密測定・住宅性能の実例
| 項目 | 実例の内容 |
|---|---|
| 建物 | 24坪・3LDK平屋 |
| 工法 | 2×6工法 |
| 断熱等級 | 等級6 |
| UA値 | 0.44 W/㎡K |
| 気密測定結果(C値) | 0.48㎠/㎡ |
| 耐震性能 | 耐震等級3 |
| 構造計算 | 許容応力度計算 |
| 換気 | 熱交換換気システム |
※この測定結果は過去の24坪平屋の実例です。今回掲載する気密施工写真の住宅の測定結果ではありません。
C値0.48はどのような数値?
C値0.48㎠/㎡は、床面積1㎡当たりの相当隙間面積が0.48㎠であることを示しています。
つまり、建物全体の隙間が比較的少ないことを確認できた測定結果です。
ただし、気密性能の数値だけで住宅の良し悪しを判断することはできません。
大切なのは、気密性能を高めるための施工を行い、適切な換気計画と組み合わせることです。
なぜ宮崎の住宅でも気密性能が重要なの?
宮崎は冬の寒さだけでなく、夏の高温多湿への対策も必要な地域です。
気密性能が不足している住宅では、建物の隙間から外気が入り込み、室内の温湿度管理が難しくなる場合があります。
特に夏場は、湿気を多く含んだ外気が隙間から入り込むことで、冷房や除湿の負担につながることがあります。
また、壁体内の温湿度条件によっては、結露のリスクにも関係します。
そのため、宮崎の家づくりでは、断熱性能だけでなく、気密施工、防湿設計、換気計画を一体で考えることが大切です。
高性能グラスウールと気密施工の関係
デザインハウス宮崎では、基本的に高性能グラスウールを断熱材として採用しています。
グラスウールは繊維の間に空気を保持することで、熱の移動を抑える断熱材です。
ただし、グラスウールそのものが住宅の気密性を確保するわけではありません。
断熱材を適切に充填するとともに、気密シートや気密テープ、専用部材などを用いて、必要な部分の気密性を確保することが重要です。
また、室内側の防湿層や壁体内の湿気の排出経路など、結露を防ぐための設計も欠かせません。
断熱材の種類だけで住宅性能を判断するのではなく、どのように設計し、どのように施工するかまで確認することが大切です。
気密測定はいつ行うの?
気密測定は、住宅の施工段階や完成時などに行われます。
施工途中に測定する場合は、内装材で隠れる前に隙間を確認し、必要に応じて補修できるというメリットがあります。
完成時に測定する場合は、完成した住宅の状態で気密性能を確認できます。
ただし、測定時期や測定条件によって結果が変わる場合があるため、数値を比較するときには測定条件も確認することが重要です。
今回掲載した写真には、窓まわりや配管貫通部分、コンセントまわりなど、完成すると見えなくなる施工箇所が写っています。
こうした部分を丁寧に施工することが、住宅全体の気密性能を確保するための重要な工程になります。
まとめ|気密性能は完成すると見えない施工品質の一つ
住宅の気密性能は、完成した家の外観や内装を見るだけでは分かりません。
窓まわり。
配管の貫通部分。
コンセントまわり。
床と壁の取り合い。
こうした一つひとつの施工が、建物全体の気密性能に関係しています。
デザインハウス宮崎の過去の施工実例では、気密測定によってC値0.48㎠/㎡という結果を確認しています。
ただし、すべての住宅で同じ数値になるわけではありません。
また、気密性能が高ければ、それだけで快適な家になるというものでもありません。
断熱・気密・防湿・換気を適切に組み合わせること。
そして、完成すると見えなくなる部分まで丁寧に施工すること。
これが、長く快適に暮らせる住宅を考えるうえで大切なポイントです。
デザインハウス宮崎では、宮崎の気候に合わせた高性能住宅をご提案しています。
住宅の断熱性能や気密性能、施工方法について詳しく知りたい方は、お気軽にご相談ください。
















