結論
仮住まいでも、訪問介護・訪問看護・デイサービス・福祉用具などを組み合わせれば、自宅介護を続けられる可能性があります。
ただし、次のいずれかに当てはまる場合は、無理に在宅介護を続けず、ショートステイや施設入居も並行して検討しましょう。
- 夜間の排泄・移乗介助が増えた
- 転倒や徘徊の危険がある
- 医療的な処置が必要になった
- 介護する配偶者も高齢・持病がある
- 仮住まいに段差や階段が多い
- 介護者が眠れない、仕事を続けられない
- 新居完成まで数か月以上ある
「在宅か施設か」を最初から二者択一にせず、まずサービスを増やし、必要に応じて短期入所を利用する段階的な判断が現実的です。
仮住まいでも介護保険サービスは利用できますか?
原則として利用できます。ただし、仮住まい先の住所やサービス提供区域によって、現在の事業所をそのまま利用できないことがあります。
仮住まいが決まった段階で、ケアマネジャーへ次の情報を伝えましょう。
- 仮住まい先の住所
- 入居日と退去予定日
- 住民票を移すか
- 建物の間取り・階段・段差
- 浴室とトイレの状況
- 同居する介護者
- 新居完成後の住所
- 現在利用しているサービス
仮住まいが別の市町村になる場合は、介護保険の手続きやサービス事業所の変更が必要になる可能性があります。自己判断でサービスを中断せず、ケアマネジャーと市町村の介護保険窓口へ事前に確認してください。
状態が悪化したら「区分変更申請」を検討する
現在の要介護度ではサービスが不足する場合、認定の有効期間中でも区分変更申請ができます。
宮崎市では、心身の状態が認定時と異なった場合、悪化・改善のどちらでも区分変更申請ができると案内しています。宮崎市「要介護・要支援認定」
ただし、病名や症状が重くなっただけで、必ず要介護度が上がるわけではありません。要介護認定は、実際にどの程度の「介護の手間」が必要になったかをもとに判断されます。厚生労働省「要介護認定はどのように行われるか」
悪化した状況について、次の内容を記録しておくとケアマネジャーや認定調査員に伝えやすくなります。
- 転倒した回数
- 排泄介助の回数
- 夜間に起きる回数
- 食事や服薬の介助状況
- 徘徊や物忘れの状況
- 入浴できない日数
- 介護にかかる時間
- 医療処置の内容
在宅介護を続けるための選択肢
| サービス | 主な役割 |
|---|---|
| 訪問介護 | 食事、排泄、入浴、掃除などの支援 |
| 訪問看護 | 健康管理、医療処置、主治医との連携 |
| 訪問入浴 | 仮住まいの浴室が使いにくい場合の入浴支援 |
| デイサービス | 日中の介護、入浴、機能訓練 |
| 福祉用具貸与 | 介護ベッド、手すり、歩行器、車いすなど |
| ショートステイ | 数日から一定期間の宿泊・介護 |
| 小規模多機能型居宅介護 | 通い・訪問・泊まりを組み合わせる |
| 看護小規模多機能型居宅介護 | 介護に加えて訪問看護を組み合わせる |
新居完成までの一時的な悪化であれば、ショートステイや「通い・訪問・泊まり」を組み合わせることで、すぐに長期入所を選ばずに済む場合があります。
宮崎県も、看護小規模多機能型居宅介護など、在宅生活を支えるサービスを案内しています。宮崎県「介護保険サービスの利用について」
仮住まいの住宅環境を確認する
次の項目に問題が多い場合は、サービスを増やしても在宅介護が難しくなることがあります。
出入口・移動
- 玄関に大きな段差がないか
- 車いすや歩行器が通れるか
- エレベーターがあるか
- 寝室とトイレが同じ階にあるか
- 救急搬送用のストレッチャーが通れるか
トイレ・浴室
- トイレまでの距離が長くないか
- 手すりを設置できるか
- 浴室のまたぎが高くないか
- 脱衣所で介助するスペースがあるか
- 夜間の照明が十分か
温熱・災害対策
- 寝室にエアコンがあるか
- 停電時の対応を決めているか
- 台風や大雨の際に避難できるか
- 浸水・土砂災害の危険性がないか
宮崎県では夏の熱中症と台風時の停電にも注意が必要です。電動ベッドや在宅医療機器を使用する場合は、停電時の対応をケアマネジャー、訪問看護、医療機器業者と確認しましょう。
賃貸住宅には勝手に手すりを付けない
仮住まいが賃貸住宅の場合、手すりやスロープの設置、建具の変更などには大家・管理会社の承諾が必要です。
工事をする前に、次の点を確認してください。
- 工事を書面で承諾してもらえるか
- 退去時に撤去する必要があるか
- 壁や床の復旧費を誰が負担するか
- 介護保険の住宅改修費を利用できるか
- 工事せず置くだけの手すりで対応できるか
短期間の仮住まいでは、住宅改修よりもレンタルできる介護ベッド、歩行器、据え置き型手すりなどの方が現実的な場合があります。
施設入居を検討した方がよい目安
次の状態が続く場合は、長期入所または一時入所を具体的に検討します。
| 状況 | 検討したい対応 |
|---|---|
| 日中だけ介護が不足 | デイサービス、訪問介護 |
| 介護者が一時的に休みたい | ショートステイ |
| 夜間介護が増えた | 定期巡回、泊まりサービス |
| 医療処置が増えた | 訪問看護、看護小規模多機能 |
| 認知症による徘徊がある | 認知症グループホームなど |
| 常時介護が必要 | 特別養護老人ホームなど |
| 退院直後で在宅復帰に不安 | 老人保健施設など |
| 新居完成までの短期利用 | ショートステイ、有料老人ホーム等の短期利用 |
施設には入居条件、待機期間、費用、医療対応の範囲があります。状態が悪化してから慌てて探すのではなく、在宅介護を続けながら候補施設を見学しておくと安心です。
なお、施設に一時入居したからといって、必ずそのまま長期入居しなければならないわけではありません。新居完成後に在宅復帰する計画も、施設・ケアマネジャーと相談できます。
建替え中なら新居の設計も見直す
仮住まい中に介護状態が変わった場合は、工事の進捗によっては新居の仕様を見直せる可能性があります。
- 寝室を1階に配置する
- 寝室の近くにトイレを設ける
- 廊下・出入口を広くする
- 引き戸を採用する
- 玄関にスロープ用スペースを確保する
- 浴室の介助スペースを広げる
- 手すり用の下地を追加する
- 車いすで使える洗面台にする
- 将来の介護ベッド設置場所を確保する
変更には追加費用や工期への影響があるため、状態が変わった時点ですぐ住宅会社へ連絡してください。
最初に相談する順番
- 症状の急変なら、まず主治医または医療機関
- 担当ケアマネジャー
- 地域包括支援センター
- 市町村の介護保険窓口
- 訪問看護・介護事業所
- 住宅会社と仮住まいの管理会社
宮崎県内の地域包括支援センターは、高齢者や家族の介護・福祉に関する総合相談窓口です。宮崎県「地域包括支援センターについて」
呼吸困難、意識障害、突然のまひ、転倒による強い痛みなど、緊急性がある場合は介護サービスの調整を待たず、119番へ連絡してください。
まとめ
仮住まい中でも在宅介護は続けられますが、介護度が上がった場合は、ケアプランの変更や区分変更申請を早めに検討しましょう。
判断の中心は「本人が在宅を希望しているか」だけでなく、「安全に生活できるか」「介護する家族が持ちこたえられるか」です。ショートステイなどを利用して介護者の負担を減らしながら、施設入居と新居への在宅復帰を並行して検討する方法もあります。








