A.購入はできますが、権利関係を確認せずに購入するのは危険です。
現在水道を使えていても、隣地を通す権利や修理時の立入りについて書面がなければ、将来の建替え・漏水修理・売却でトラブルになる可能性があります。
可能であれば、購入前に前面道路の本管から自分の土地へ直接引き直す方法と費用を確認しましょう。
どのようなリスクがありますか?
| 想定される問題 | 具体的な影響 |
|---|---|
| 配管の権利が不明 | 隣地所有者から撤去・移設を求められる |
| 修理の承諾がない | 漏水しても隣地を掘削できない |
| 隣地所有者が変わる | 以前の口約束を認めてもらえない |
| 共有管になっている | 水圧低下や修理費負担で揉める |
| 配管位置が不明 | 新築の基礎・外構工事と干渉する |
| 老朽管である | 漏水・破損・引替え費用が発生する |
| 住宅ローン審査 | 安定して給水できない土地と判断される場合がある |
| 将来の売却 | 買主や金融機関から権利資料を求められる |
通水していれば問題ありませんか?
現在水が出ていることと、将来も配管を利用できる権利があることは別です。
長年使っている場合でも、次のような状態があります。
- 隣人の好意による口約束
- 前所有者だけに認めた承諾
- 使用期限のある契約
- 無償と思っていたが使用料が設定されている
- 配管修理や交換までは認められていない
- 相続で隣地の共有者が増えている
- 実際の配管位置と図面が違う
「昔から使っているから大丈夫」と判断せず、法的根拠と配管の現況を確認する必要があります。
購入前に確認する書類
- 隣地の登記事項証明書
- 対象地と隣地の公図・測量図
- 給水管の配管図・竣工図
- 宮崎市上下水道局の給水台帳
- 水道メーターの位置
- 給水管の所有者
- 通過・使用・掘削に関する承諾書
- 通行地役権・地上権などの登記
- 過去の工事記録・修理履歴
- 共有管の場合は管理・費用負担の契約
図面だけで配管位置を確定できない場合は、現地調査や試掘が必要になることがあります。
承諾書には何を書けばよいですか?
隣地を通る配管を継続使用する場合は、少なくとも次の内容を明確にします。
- 通過する土地と配管位置
- 給水管の口径・所有者
- 無償か有償か
- 使用できる期間
- 点検・修理・交換のための立入り
- 掘削工事を行う権利
- 緊急漏水時の対応
- 工事後の原状回復
- 損害が出た場合の負担
- 維持管理・修理費の負担者
- 建替えや増改築時の取扱い
- 双方の土地所有者が変わっても内容を承継すること
承諾書だけでなく、将来の所有者にも権利を主張しやすくするため、通行地役権や配管のための地役権を登記できないか司法書士・弁護士へ相談すると安心です。
地役権とは?
地役権は、自分の土地を利用するために、一定の目的で他人の土地を利用する権利です。
水道管について設定する場合は、例えば次の内容を登記します。
- 地下に給水管を設置・維持する
- 点検や修理の際に土地へ立ち入る
- 配管を損傷する建築物を設置しない
承諾書は契約当事者間の効力が中心ですが、登記された地役権は、隣地が売却・相続された場合にも権利関係を説明しやすくなります。
民法改正後は承諾がなくても使えますか?
2023年4月施行の改正民法では、他の土地へ設備を設置しなければ水道などの継続的な供給を受けられない場合、必要な範囲で設備を設置・使用できる規定が設けられました。
ただし、無条件ではありません。
- 他人の土地への損害が最も少ない方法を選ぶ
- 目的・場所・方法を事前に通知する
- 土地所有者に損害が生じれば償金を支払う
- 本当に必要な範囲に限定する
- 個別事情によって権利の有無が判断される
この制度があるから承諾書は不要、と簡単に判断することはできません。裁判や近隣紛争を避け、融資や売却を円滑にするには、書面による合意または登記を整えるのが現実的です。民法第213条の2(e-Gov法令検索)
最も安心なのは直接引込みです
前面道路に公営水道の本管がある場合は、隣地を通る既存管を廃止し、対象地へ直接引き込む方法を検討します。
主な費用は次のとおりです。
- 新しい給水管の引込工事
- 道路掘削・舗装復旧
- 既存管の切離し・閉栓
- メーターの移設・新設
- 給水負担金
- 道路使用・占用関係
- 交通誘導員
宮崎市では、一般住宅で使用されることが多い口径20mmの新設給水負担金は16万5,000円です。工事費は別途必要です。宮崎市「水道の工事費用は?」
道路横断や本管延長がなければ数十万円で対応できる場合がありますが、距離や道路条件によっては100万円を超えることもあります。
共有管の場合は特に注意
隣地の給水管から分岐している「連合管・共有管」の場合は、次の問題が起こりやすくなります。
- 同時使用時に水圧が低下する
- どこまでが誰の所有管か分からない
- 漏水箇所の特定が難しい
- 修理費を誰が負担するか揉める
- 建替えで使用水量が増える
- 隣地の工事で給水が止まる
- 引込口径を変更できない
新築時には、独立した給水管へ変更するよう上下水道局や指定工事店から求められる場合もあります。
売買契約に入れたい条件
土地を購入する場合は、次の内容を契約条件にすることを検討します。
- 隣地通過管を適法に利用できること
- 隣地所有者から書面承諾を取得できること
- 承諾が将来の所有者へ承継されること
- 修理・交換・掘削が認められること
- 直接引込み工事が可能であること
- 引替え費用を誰が負担するか
- 住宅ローンが承認されること
- 条件を満たさない場合は白紙解除できること
最も安全なのは、売主負担で直接引込みを完了してから引き渡す条件です。それが難しい場合は、工事見積りを土地価格と資金計画へ反映させましょう。
まとめ
水道引込管が隣地を通る土地でも購入はできます。しかし、口約束のままでは、漏水修理、建替え、相続、売却時に問題が生じる可能性があります。
購入前に、配管位置・所有者・使用権・掘削権・修理費負担を確認し、できれば前面道路の公営水道本管から独立して引き直すことをおすすめします。








