A.大規模リフォームでは、住宅ローンを利用することで、金利を抑え、返済期間を長くし、毎月の返済額を軽くできる可能性があります。
50代・60代でも、年齢・収入・完済時年齢・団体信用生命保険などの条件を満たせば利用できます。
ただし、少額のリフォームでは、登記費用や融資手数料のかからない無担保リフォームローンのほうが有利になる場合もあります。
住宅ローンとリフォームローンの違い
ここでいう住宅ローンは、増改築・大規模改修にも利用できる有担保型住宅ローンを想定しています。商品によって資金使途が異なるため、金融機関への確認が必要です。
| 比較項目 | 有担保の住宅ローン | 無担保リフォームローン |
|---|---|---|
| 金利 | 比較的低い傾向 | 高い傾向 |
| 借入可能額 | 大きく設定されやすい | 上限が低い場合がある |
| 返済期間 | 長く設定できる場合がある | 10~15年程度が中心 |
| 毎月返済額 | 抑えやすい | 高くなりやすい |
| 担保 | 土地・建物に抵当権設定 | 原則不要の商品が多い |
| 団信 | 加入が必要な商品が多い | 商品によって異なる |
| 審査期間 | 長くなりやすい | 比較的短い |
| 登記・手数料 | 高くなりやすい | 比較的少ない |
| 向いている工事 | 大規模改修・耐震・断熱改修 | 水回り交換などの小規模工事 |
住宅ローンを利用する5つのメリット
1.金利を抑えられる可能性がある
土地と建物を担保にする住宅ローンは、無担保のリフォームローンより金利が低く設定される傾向があります。
工事費が1,000万円を超えるような大規模リフォームでは、わずかな金利差でも総利息に大きな差が生じる可能性があります。
ただし、金利だけでなく、抵当権設定費用、融資手数料、保証料などを含めた総支払額で比較します。
2.返済期間を長くできる
住宅ローンは、リフォームローンより長い返済期間を設定できる場合があります。
同じ金利年3%、借入額1,000万円として単純比較すると、概算返済額は次のようになります。
| 返済期間 | 毎月返済額の概算 |
|---|---|
| 10年 | 約9万7,000円 |
| 15年 | 約6万9,000円 |
| 20年 | 約5万5,000円 |
返済期間を長くすれば毎月の負担は下がりますが、総利息は増えます。また、シニア世代では年金生活まで返済が続く可能性があります。
3.高額なリフォームに対応しやすい
次のような工事をまとめて行う場合、リフォーム費用が高額になります。
- 耐震補強
- 断熱・気密改修
- 屋根・外壁改修
- サッシ交換
- 水回り設備の全面交換
- 間取り変更
- バリアフリー改修
- 給排水管・電気配線の更新
- 太陽光発電・蓄電池
- シロアリ被害への対応
借入上限の大きい住宅ローンのほうが、一括して資金を準備しやすい場合があります。
4.団信で残債に備えられる
住宅ローンでは、契約者が死亡した場合などに、ローン残高が返済される団体信用生命保険へ加入できることがあります。
シニア世代にとって、配偶者や子どもへ残債を残さないための大きなメリットです。
ただし、持病や病歴がある場合は団信に加入できない可能性があります。その場合は、ワイド団信、団信なしで利用できる商品、既存生命保険などを比較します。
5.既存の住宅ローンとまとめられる場合がある
現在の住宅ローンが残っている場合、残債とリフォーム資金をまとめて借り換えられる商品があります。
返済口座や返済日を一本化でき、既存ローンより金利が下がれば、毎月返済額を調整できる可能性があります。
ただし、借換手数料、抵当権の抹消・再設定費用、団信の再審査が必要です。
住宅ローンのデメリット
住宅ローンが必ず有利とは限りません。
諸費用がかかる
有担保住宅ローンでは、次の費用が発生することがあります。
- 融資手数料
- 保証料
- 抵当権設定登記費用
- 司法書士報酬
- 印紙税または電子契約費用
- 担保調査費用
- 火災保険料
工事費が200万円、300万円程度の場合、金利が低くても諸費用を含めると、無担保リフォームローンのほうが安いことがあります。
審査と手続きに時間がかかる
収入審査だけでなく、土地・建物の担保評価、登記、団信審査などが必要です。
工事を急ぐ場合には、審査の早いリフォームローンのほうが使いやすい場合があります。
土地と建物に抵当権が設定される
返済できなくなった場合は、自宅を売却して返済する可能性があります。
毎月返済額を下げるためだけに返済期間を長くしすぎず、年金収入でも返済を続けられるか確認する必要があります。
シニアにも住宅ローンは適用されますか?
適用される可能性はあります。
金融機関は主に次の項目を確認します。
- 申込時年齢
- 完済時年齢
- 現在の収入
- 退職後の収入
- 年金受給額
- 他の借入れ
- 土地・建物の担保評価
- 団信への加入可否
- リフォーム後の住宅価値
例えば宮崎銀行の住宅ローンには、増改築・修繕資金を資金使途に含む商品があります。商品によって借入時年齢や完済時年齢、返済期間、団信などの条件が異なります。宮崎銀行「住宅ローン」
「50代・60代だから住宅ローンは利用できない」と決まっているわけではありません。
満60歳以上なら高齢者向け返済特例もある
住宅金融支援機構には、満60歳以上を対象とした「グリーンリフォームローン・高齢者向け返済特例」があります。
毎月の支払いを利息のみに抑え、元金は契約者全員が亡くなった後に、相続人による一括返済または担保物件の売却で返済します。
ノンリコース型では、売却しても残債が出た場合、相続人はその不足分を返済する必要がありません。住宅金融支援機構「グリーンリフォームローン・高齢者向け返済特例」
ただし、一般的な元利均等返済より総返済額が多くなる可能性があります。また、省エネ工事などの対象条件を満たす必要があります。
宮崎県ではどちらが向いている?
宮崎県の住宅では、夏の暑さ、湿気、台風、シロアリ、屋根・外壁の劣化などへ同時に対応すると、工事が大規模になりやすい傾向があります。
住宅ローンを検討しやすい工事
- 耐震補強と断熱改修を同時に行う
- 屋根・外壁・窓を全面改修する
- 給排水管まで更新する
- 間取りを大幅に変更する
- 工事費が1,000万円を超える
- 返済期間を長くして月々の負担を抑えたい
リフォームローンを検討しやすい工事
- 浴室やキッチンだけを交換する
- 工事費が比較的少額
- 10年以内に完済できる
- 自宅へ抵当権を設定したくない
- 登記費用や融資手数料を抑えたい
- 工事を急いでいる
リフォームと建て替えも比較する
築年数が古く、耐震、断熱、配管、電気、間取りをすべて直す場合は、リフォーム費用が建て替え費用に近づくことがあります。
その場合は、次の3案を同じ条件で比較します。
- 無担保リフォームローンで改修
- 有担保住宅ローンで大規模改修
- 住宅ローンを利用して建て替え
工事費だけでなく、20~30年間の修繕費、光熱費、固定資産税、ローン利息も含めて判断します。
結論
リフォームに住宅ローンを利用する主なメリットは、
- 金利を抑えやすい
- 返済期間を長くできる
- 毎月返済額を抑えやすい
- 高額工事に対応しやすい
- 団信で残債に備えられる
ことです。
50代・60代でも利用できる可能性はありますが、返済期間を長くしすぎると、年金生活中の負担が残ります。
目安としては、少額・短期の工事ならリフォームローン、大規模・長期の工事なら住宅ローンを比較します。ただし、最終的には金利だけでなく、諸費用を含む総返済額と、90歳頃までの金融資産残高で判断することが大切です。








