A.子どもが住宅ローンを借りて返済する場合は、完成後の建物も子ども名義にするのが基本です。
土地は親名義のままでも、親が無償で土地を貸し、金融機関の抵当権設定に同意すれば、子どもが住宅ローンを組める可能性があります。
ただし、親が建築費を出すのに建物を子ども名義にするなど、実際の資金負担と登記持分が一致しない場合、贈与税が発生する可能性があります。
最初に整理する3つの名義
親子の建て替えでは、次の名義を分けて考えます。
- 土地の所有者
- 完成後の建物の所有者
- 住宅ローンの借入人・返済者
基本的には、建築費を負担する人と建物の所有者を一致させます。
| 建築費の負担者 | ローン借入人 | 建物名義の基本 |
|---|---|---|
| 子ども | 子ども | 子ども |
| 親 | 親 | 親 |
| 親子双方 | 親子 | 負担割合に応じた共有 |
| 子どもが全額負担 | 親 | 原則として不整合 |
| 親が全額負担 | 子ども | 贈与の可能性 |
子どもがローンを組む場合の一般的な形
親名義の土地に子どもが建て替える場合は、次の形が比較的分かりやすいでしょう。
- 土地:親名義のまま
- 建物:子ども名義
- 住宅ローン:子どもが借りる
- ローン返済:子どもが負担する
- 土地使用:親から子への使用貸借
- 担保:親名義の土地と子ども名義の建物
- 親の立場:担保提供者になる可能性
「使用貸借」とは、親が地代や権利金を受け取らず、子どもへ土地を無償で使わせることです。
国税庁によると、親の土地を使用貸借して子どもが家を建てた場合、土地を使う権利の価額はゼロとして扱われ、原則として借地権相当額の贈与税は課税されません。ただし、土地は将来、親の相続財産になります。国税庁「親の土地に子供が家を建てたとき」
子どもの住宅ローン審査では何を確認される?
1.子どもの収入・信用情報
住宅ローンの主な審査対象は子どもです。
- 年齢
- 年収
- 勤務先・勤続年数
- 自動車ローンやカードローン
- クレジットカードの返済履歴
- 完済時年齢
- 団体信用生命保険への加入可否
- 建て替え後の返済負担率
親の土地に建てるからといって、子どもの返済能力が低くても借りられるわけではありません。
2.子どもがその家に住むか
一般的な住宅ローンは、原則として借入人本人が居住する住宅を対象とします。
子どもが親と同居する場合は比較的分かりやすいですが、親だけが住み、子どもは別の住宅に住み続ける場合、一般住宅ローンを利用できない可能性があります。
親族居住用住宅に対応した商品もあるため、金融機関に次のように伝えます。
親名義の土地に子ども名義の住宅を建築します。居住者は親のみ、または親子同居です。この条件で利用できる住宅ローンはありますか。
居住実態を事実と異なる内容で申し込んではいけません。
3.親名義の土地を担保にできるか
住宅ローンでは、通常、融資対象となる土地と建物に第一順位の抵当権を設定します。
宮崎銀行の住宅ローンも、原則として融資対象の土地・建物に第一順位の抵当権を設定する条件です。宮崎銀行「みやぎん住宅ローン」
土地が親名義の場合は、親の同意と署名が必要となり、親は「担保提供者」や「物上保証人」となる可能性があります。
子どもが返済できなくなった場合、親名義の土地も売却対象になる可能性があります。
4.親の年齢・意思能力
親が土地を担保提供する場合、金融機関や司法書士は、親本人の意思を確認します。
親に認知症などがあり、契約内容を理解して同意することが難しい場合、抵当権を設定できず、融資が進まない可能性があります。
成年後見制度を利用しても、本人の財産を子どもの住宅ローン担保に入れることが認められるとは限りません。親の判断能力が十分なうちに計画することが重要です。
5.土地の権利と建築条件
宮崎県の親子建て替えでは、次の点も審査に影響します。
- 相続登記が終わっているか
- 親以外の共有者がいないか
- 接道義務を満たしているか
- 市街化調整区域ではないか
- 農地転用が必要ではないか
- 境界が確定しているか
- 未登記建物が残っていないか
- 私道持分や通行承諾があるか
- 土砂災害・浸水などの区域指定
宮崎市郊外や県内の旧宅地では、土地が祖父母名義のまま、複数人の共有、農地を含むといったケースがあります。住宅ローン審査前に登記簿と公図を確認しましょう。
親名義と子ども名義、どちらがよい?
子ども名義が向いているケース
- 子どもが建築費を負担する
- 子どもが住宅ローンを返済する
- 子どもがその家に居住する
- 将来、子どもが家を引き継ぐ予定
- 親の年齢では長期ローンが難しい
- 親の団信加入が難しい
この場合は、土地を親名義のままにし、建物を子ども名義にする方法が候補になります。
ただし、将来、土地を相続する子どもと建物所有者が一致するように、遺言や遺産分割方針も検討します。
親名義が向いているケース
- 親が建築費を負担する
- 親が住宅ローンを返済する
- 親だけが住む
- 土地・建物を親が管理したい
- 将来の相続先がまだ決まっていない
- 親の収入・年齢・健康状態で融資を受けられる
ただし、親が高齢の場合は借入期間が短くなり、毎月返済額が高くなる可能性があります。
親子共有名義が向いているケース
- 親子がそれぞれ自己資金を出す
- 親子がそれぞれローンを負担する
- 二世帯住宅として同居する
- 負担割合を明確にできる
共有持分は、実際に負担した金額の割合に合わせるのが基本です。
例えば建築総額3,000万円のうち、
- 親が1,000万円
- 子が2,000万円
を負担するなら、建物持分を親3分の1、子3分の2とする考え方です。
諸費用やローン利息をどこまで取得費に含めるかなど、個別判断が必要なため、登記前に税理士と司法書士へ確認します。
名義を間違えると贈与税がかかる?
親が費用を出し、子ども名義にする場合
親が建築費を負担し、建物を無償で子ども名義にすると、原則として子どもが建築資金の贈与を受けたと判断される可能性があります。
国税庁も、親が購入した土地や建物を子ども名義で登記した場合、原則として取得資金の贈与として扱うとしています。国税庁「贈与税がかかる財産」
子どもが親名義の建物に費用を出す場合
親名義の住宅を子どもの資金で増築すると、増築部分も原則として建物所有者である親の所有になります。
親が子どもへ対価を払わなければ、親が子どもから増築費相当額の贈与を受けたと判断される可能性があります。国税庁「親名義の建物に子供が増築したとき」
建て替えでは古い家を完全に解体し、子どもが新築建物を所有する形のほうが、権利関係を整理しやすい場合があります。
親から建築資金の援助を受ける方法
2026年12月31日までに、父母・祖父母などの直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受け、一定の要件を満たす場合は、贈与税の非課税特例を利用できる可能性があります。
2026年時点の非課税限度額は、
- 省エネ等住宅:最大1,000万円
- それ以外の住宅:最大500万円
ただし、年齢、所得、床面積、居住開始時期、住宅性能、申告などの条件があります。贈与を受けた子ども自身が居住することも重要な条件です。
非課税額以内でも、原則として贈与税の申告が必要です。資金を動かす前に税理士へ確認しましょう。
親名義の土地を先に子どもへ贈与すべき?
必ずしも先に贈与する必要はありません。
土地を子ども名義にすれば土地・建物の名義をそろえられますが、次の費用が発生する可能性があります。
- 贈与税
- 不動産取得税
- 登録免許税
- 司法書士費用
- 将来の相続税への影響
親名義の土地を使用貸借し、建物のみ子ども名義にしたほうが、当初の税負担を抑えられる場合があります。
一方、土地は将来親の相続財産になるため、他の相続人がいる場合は、土地を誰が相続するか決めておく必要があります。
宮崎県の親子建て替えでおすすめする基本形
子どもが実際にローンを返済し、親子が同居または子どもがその家に居住するなら、次の形が比較的整理しやすいでしょう。
- 土地:親名義
- 土地使用:親子間の使用貸借契約書を作成
- 建物:子ども名義
- 住宅ローン:子ども単独
- 親:土地の担保提供者
- 建築資金:原則として子どもが負担
- 親の援助:贈与特例を確認して正式に実行
- 将来の相続:遺言などで土地の承継先を整理
ただし、子どもが居住せず親だけが住む場合や、親が建築費の大部分を負担する場合は、この形が最適とは限りません。
契約前に確認すること
- 土地・既存建物の登記名義
- 建物解体後の滅失登記
- 新築建物の資金負担割合
- 新築建物の登記持分
- 誰が住宅ローンを返済するか
- 誰が新居に居住するか
- 親は土地への抵当権設定に同意できるか
- 親から子への資金援助額
- 贈与税の特例を利用できるか
- 将来、土地を誰が相続するか
結論
親名義の土地に子どもが住宅ローンで家を建てることは可能です。
基本的な判断は次のとおりです。
- 子どもが借りて返すなら、建物は子ども名義
- 親が資金を出すなら、建物は親名義または負担割合に応じた共有
- 土地は親名義のまま使用貸借でも建築可能
- 親名義の土地には住宅ローンの抵当権が設定される可能性がある
- 建築費の負担割合と登記持分を一致させる
- 親からの資金援助は贈与税の特例を事前確認する
- 将来の土地相続まで同時に決める
「ローンが通りやすい名義」だけで決めるのではなく、実際に誰がお金を出すか、誰が住むか、誰が将来相続するかを一致させることが大切です。
※税務・登記・融資条件は個別事情によって異なります。工事請負契約や資金移動の前に、金融機関、税理士、司法書士へ確認してください。








