「新築すれば、カビやダニの心配はなくなりますか?」
「高気密・高断熱住宅なら、湿気対策は必要ありませんか?」
このようなご質問をいただくことがあります。
先に結論をお伝えすると、カビやダニを完全になくすことは難しいものの、湿気をためにくく、結露を防ぎ、掃除しやすい家にすることで、増殖しにくい環境はつくれます。
そのためには、単に高性能な断熱材や換気設備を採用するだけでは十分ではありません。
- 断熱
- 気密
- 計画換気
- 冷暖房
- 除湿
- 結露対策
- 間取り
- 収納計画
- 日常の清掃
これらを一体として考えることが大切です。
カビとダニが増えやすい条件
カビやダニが増える条件には、共通点があります。
カビが増えやすい条件
カビは、主に次の条件が重なる場所で発生しやすくなります。
- 湿度が高い
- 温度が適している
- ホコリや汚れなどの栄養がある
- 空気が動かない
- 結露や水漏れがある
特に、窓まわり、家具の裏側、押入れ、クローゼット、洗面脱衣室、浴室、北側、、エアコン内部などは注意が必要です。
ダニが増えやすい条件
室内に生息するダニは、
- 高い温度と湿度
- 人のフケやあか、食べこぼし、カビなどの餌
- 布団、カーペット、ソファなどの潜り込める場所
がそろうと増えやすくなります。
千葉市は、室内の相対湿度は50~60%が理想で、70%以上になるとダニが繁殖しやすくなると説明しています。千葉市「身近にいるダニ」
カビやダニは健康に影響する?
カビやダニがあるからといって、すべての人に症状が現れるわけではありません。
しかし、ダニの死骸やふん、カビの胞子などは、体質によってアレルギー性鼻炎、ぜん息、皮膚炎などに関係する可能性があります。
特に、
- 小さな子ども
- 高齢者
- アレルギー体質の方
- ぜん息のある方
- 室内で過ごす時間が長い方
がいる家庭では、室内の湿気やホコリをためない工夫が重要です。
厚生労働省の資料でも、結露や雨漏りによる湿った住環境と、カビなどによる健康への影響が取り上げられています。厚生労働省「居住環境とアレルギー」
住宅によって病気を完全に防げるわけではありませんが、カビやダニが増えにくい環境を整えることは、家族の健康を守るための大切な要素です。
宮崎では、特に湿気対策が重要
宮崎は温暖で、湿度の高い期間が長い地域です。
梅雨だけでなく、夏から秋にかけても高温多湿の状態が続きます。また、台風や強い雨が多いため、外部から雨水を侵入させない防水施工も欠かせません。
宮崎の住宅では、次のような場所に湿気がたまりやすくなります。
- 北側の部屋や収納
- 家具を密着させた壁
- 洗面脱衣室
- 部屋干しをする場所
- 布団を収納する押入れ
- 冷房が届きにくい部屋
- 床下や小屋裏
- 空気が動かないクローゼット
- エアコン内部
「暖かい地域だから断熱や結露対策は簡単でよい」とは限りません。
宮崎では、冬の結露だけでなく、湿った外気と冷房によって起こる夏型結露も考えて設計する必要があります。
カビやダニを抑える家づくりのポイント
1.断熱性能を高める
断熱性能が低い家では、冬に窓や壁の表面温度が下がり、結露が起きやすくなります。
断熱性能を高めると、窓、壁、天井などの室内側表面温度を保ちやすくなり、結露の発生を抑える効果が期待できます。
ただし、断熱等級やUA値だけでは判断できません。
- 断熱材に隙間がないか
- 柱や梁などの熱橋対策ができているか
- 窓の性能が適切か
- 断熱材が正しく施工されているか
まで確認することが重要です。
デザインハウス宮崎では、宮崎で長く快適に暮らすために、断熱等級6を基本的な推奨水準として考えています。
2.気密性能を確保する
建物に多くの隙間があると、冷暖房効率が低下するだけでなく、湿った空気が壁や天井の内部へ入り込む可能性があります。
壁の内部へ入った水蒸気が冷たい場所で結露すると、断熱材や木材が湿り、目に見えない場所でカビや腐朽が進むことがあります。
適切な気密施工は、壁の内部へ湿気が無計画に入るのを抑え、換気経路を安定させるために必要です。
大切なのは、設計上の目標だけでなく、完成した建物で気密性能を測定することです。
デザインハウス宮崎では、全棟で気密測定を行い、施工結果を数値で確認することを大切にしています。
3.24時間換気を正しく計画する
高気密住宅では、計画換気が特に重要です。
給気口から新鮮な空気を入れ、トイレ、洗面脱衣室などから汚れた空気や湿気を排出する流れを計画します。
ただ換気設備を付ければよいのではありません。
- 給気口と排気口の位置
- 部屋ごとの空気の流れ
- 必要な換気量
- ドア下の通気経路
- フィルターの清掃方法
- 実際の換気風量
まで考える必要があります。
電気代がもったいないという理由で24時間換気を止めると、湿気やにおい、室内の汚染物質を排出しにくくなります。原則として、24時間換気は常時運転することが基本です。
4.換気と除湿を使い分ける
換気をすれば、いつでも湿度が下がるわけではありません。
梅雨や夏の宮崎では、外の空気自体が大量の水分を含んでいます。その状態で窓を開け続けると、室内の湿度が上がることがあります。
湿度の高い日は、
- エアコンの冷房運転
- 除湿運転
- 除湿機
- 浴室換気扇
- 衣類乾燥機
などを状況に応じて使います。
換気は空気を入れ替えるもの、冷房や除湿機は湿度を下げるものです。それぞれの役割を分けて考えましょう。
室内湿度は何%が目安?
カビやダニを抑えるためには、湿度計を設置し、感覚ではなく数値で確認することをおすすめします。
一般的には、室内の相対湿度を40~60%程度に保つことが一つの目安です。
東京都保健医療局も、湿度管理の目安を40~60%とし、ダニやカビ対策では湿度が60%を超えないよう換気や除湿を行うことを案内しています。東京都保健医療局「健康・快適居住環境の指針」
ただし、同じ湿度でも、室温や窓・壁の表面温度によって結露のしやすさは異なります。
また、冬に湿度を下げすぎると、喉や肌の乾燥が気になる場合があります。一年中同じ数字に固定するのではなく、結露の有無や家族の体調を確認しながら調整することが大切です。
収納内部にも空気を流す
カビが発生しやすいのは、部屋の中央よりも空気が動かない場所です。
特に注意したいのが、
- 押入れの奥
- クローゼットの隅
- 布団の下
- 収納家具の裏
- ベッドの下
- 北側外壁に面した収納
- 靴が多いシューズクローク
です。
新築時には、収納量だけでなく、湿気がたまりにくいかを確認します。
例えば、
- 外壁側に収納を集中させすぎない
- 収納内部にも換気や空気の流れをつくる
- 可動棚にして掃除しやすくする
- 床まで物を詰め込まない
- 濡れた靴や衣類を乾かしてから収納する
- 布団を詰め込みすぎない
といった工夫が有効です。
収納は大きければよいのではなく、湿気をためず、管理しやすいことが重要です。
部屋干しスペースは換気・除湿とセットで考える
宮崎では、梅雨や台風、降灰などの影響で、室内干しを希望される方が多くいらっしゃいます。
ランドリールームをつくっても、洗濯物から出た水分を排出できなければ、室内湿度が上がってしまいます。
部屋干しスペースには、
- エアコン
- 除湿機
- 換気扇
- サーキュレーター
- 物干しの間隔
- 排水設備
- 乾いた衣類の収納動線
をまとめて計画しましょう。
窓を付けるだけでは、雨の日や高湿度の日に十分な乾燥効果を得られないことがあります。
掃除しやすい間取りと素材を選ぶ
湿度を管理しても、ダニの餌になるホコリ、フケ、食べこぼしが多ければ、ダニ対策としては十分ではありません。
そこで重要になるのが、掃除を続けやすい家にすることです。
- 段差を減らす
- 床に物を置かなくて済む収納を設ける
- 家具と壁の間を掃除できるようにする
- 凹凸の少ない内装にする
- 洗濯できるカーテンを選ぶ
- 掃除しにくいカーペットを増やしすぎない
- ロボット掃除機が通れる家具配置にする
- エアコンや換気フィルターを手入れしやすい位置に設ける
ことが効果的です。
自然素材や調湿建材を使う方法もありますが、それだけで室内全体の湿気を処理できるわけではありません。調湿建材は補助的なものと考え、換気や除湿を基本にしましょう。
寝室と寝具の対策
ダニ対策では、住宅そのものだけでなく、寝具の管理も重要です。
布団やマットレスには、人の汗、皮脂、フケなどがたまりやすくなります。
- 寝室の湿度を確認する
- 起床後すぐに布団を収納しない
- マットレスの下にも空気を通す
- シーツやカバーを定期的に洗う
- 寝具を十分に乾燥させる
- ベッドの下にホコリをためない
- 布団やカーペットに掃除機をかける
といった対策を組み合わせます。
ダニは、生きているものだけが問題になるとは限りません。死骸やふんもアレルゲンになる可能性があるため、乾燥させるだけでなく、洗濯や掃除によって取り除くことが大切です。
エアコンと換気設備の清掃も必要
高性能な家でも、設備の手入れをしなければ室内環境は悪化します。
エアコン内部や換気設備のフィルターにホコリがたまると、性能低下やカビの原因になる可能性があります。
- エアコンフィルターを定期的に清掃する
- ドレン排水の詰まりを確認する
- 換気設備のフィルターを交換・清掃する
- 給気口を家具やカーテンで塞がない
- 浴室換気扇の汚れを確認する
など、取扱説明書に従って維持管理しましょう。
換気設備は、性能だけでなく、住む人が無理なく手入れできることも大切です。
カビを見つけたときの注意点
小さな範囲のカビであれば、換気を行い、材質に適した方法で清掃します。
ただし、次のような場合は専門家への相談をおすすめします。
- 壁紙の裏までカビが広がっている
- カビ臭が取れない
- 天井や壁が繰り返し濡れる
- 押入れの木材が変色している
- 床下や小屋裏にカビがある
- 台風や雨の後に症状が悪化する
- 配管周辺が濡れている
- 家族に強いアレルギー症状がある
表面だけを清掃しても、雨漏り、漏水、内部結露などの原因が残っていれば再発します。
広範囲のカビを無理にこすると、胞子を室内に飛散させる可能性もあるため注意が必要です。
高気密・高断熱ならカビは発生しない?
高気密・高断熱住宅は、結露を抑え、計画的に換気しやすい家をつくるうえで有効です。
しかし、絶対にカビが発生しないわけではありません。
- 換気設備を停止する
- フィルターを清掃しない
- 夏に冷房をほとんど使わない
- 加湿器を使いすぎる
- 洗濯物を大量に室内干しする
- 家具を壁に密着させる
- 雨漏りや配管漏水がある
といった状態では、高性能住宅でもカビが発生する可能性があります。
住宅性能と住み方の両方が整って、初めて効果を発揮します。
建築会社に確認したいこと
カビやダニを抑えやすい家を建てるために、契約前に次の内容を確認しましょう。
- 断熱等級とUA値はいくつか
- 全棟で気密測定を行うか
- C値の目標を定めているか
- 断熱・気密施工の検査を行うか
- 宮崎の夏型結露を検討しているか
- 防湿層と通気層をどのように設けるか
- 換気方式と空気の流れはどうなるか
- 完成後に換気風量を確認するか
- ランドリールームの除湿計画があるか
- 収納内の湿気対策を考えているか
- 台風や雨に対する防水検査を行うか
- エアコンと除湿機の配置を提案してくれるか
- 設備の清掃方法を引き渡し時に説明してくれるか
「高気密・高断熱だから大丈夫」という説明だけでなく、湿気をどこから入れ、どこから排出するのかまで確認することが重要です。
私たちが考える、カビやダニを抑える家
カビやダニ対策は、防カビ剤や空気清浄機だけで解決するものではありません。
まず大切なのは、
家の中に湿気をためず、結露を防ぎ、ホコリを取り除きやすい環境をつくることです。
株式会社ツチモチとデザインハウス宮崎では、
- 断熱等級6を基本とした断熱計画
- 丁寧な気密施工
- 全棟での気密測定
- 第一種換気による計画換気
- 宮崎の高温多湿を考えた除湿計画
- 冬と夏の結露対策
- 掃除と維持管理がしやすい間取り
- 台風や強い雨に備える防水施工
を一体で考えます。
北海道で学んだ冬の断熱・結露対策に、宮崎の梅雨、夏の高湿度、冷房、台風への対策を加える。
それが、私たちの考える「宮崎型高性能住宅」です。
見た目がきれいなだけではなく、カビやダニが増えにくく、家族が長く安心して暮らせる住環境をつくることが大切です。








