はい、設計段階で考えておくことをおすすめします。ただし、最初から「ヘルパー専用玄関」を設ける必要は通常ありません。
基本は、玄関から寝室・トイレ・洗面脱衣室・浴室まで、家族の生活空間を必要以上に通らず、短く安全に移動できる動線をつくることです。
国土交通省の高齢者住宅向け設計指針でも、介助に必要な空間、介護サービス事業者が利用する部屋までの経路、福祉用具の使用場所などを設計時に検討することが望ましいとされています。国土交通省「高齢者が居住する住宅の設計に係る指針」
おすすめの基本動線
ルパーさんがリビングやキッチンを横切らなくても、介助が必要な場所へ移動できる配置が理想です。
設計段階で準備したいポイント
1.玄関から寝室まで段差をなくす
訪問介護だけでなく、将来の車いす、歩行器、訪問看護、介護ベッドの搬入も想定します。
- 道路や駐車場から玄関まで段差をなくす
- 玄関扉は引き戸を検討する
- 出入口の有効幅は800mm以上を目安にする
- 廊下は有効幅850~900mm以上を目安にする
- 介助者が横につく場所は1,000~1,200mm程度を検討する
- 床の見切り材や敷居を突出させない
- 滑りにくい床材を使用する
- 夜間でも明るい足元灯を設ける
これらはすべての一般住宅に義務付けられる一律の法定寸法ではなく、将来の介助を考えた設計目安です。
2.寝室を玄関・トイレ・浴室の近くに置く
寝室を住宅の奥に配置すると、ヘルパーさんがLDKを横切ることになり、家族のプライバシーを守りにくくなります。
おすすめは、1階に次の部屋をまとめる配置です。
- 主寝室
- 車いす対応トイレ
- 洗面脱衣室
- 浴室
- 玄関または勝手口
- 介護用品収納
国の設計指針でも、高齢者の寝室とトイレを近接させ、玄関・浴室・洗面脱衣室などを同じ階に配置する考え方が示されています。国土交通省「高齢者住宅設計指針」
3.寝室に屋外から直接入れる扉を設ける方法もある
家族と同居する場合は、寝室の近くに外部出入口を
将来のヘルパー動線は設計段階で確保すべきですか?
はい、設計段階から確保しておくことをおすすめします。ただし、ヘルパー専用玄関を必ず設ける必要はありません。
基本は、玄関から寝室・トイレ・洗面脱衣室・浴室まで、家族の生活空間を必要以上に通らず、短く安全に移動できる動線です。
国土交通省の高齢者住宅向け設計指針でも、介護サービス事業者が介助する部屋までの経路や、介助動作・福祉用具に必要な空間を設計段階から検討することが望ましいとされています。国土交通省「高齢者が居住する住宅の設計に係る指針」
専用玄関は必要ですか?
通常の訪問介護であれば、家族と同じ玄関で問題ありません。次のような場合は、寝室に近い勝手口や外部出入口を検討する価値があります。
- 家族と同居する予定がある
- 毎日複数回の訪問介護を利用する可能性がある
- 訪問看護・訪問入浴を利用する可能性がある
- 家族の不在中にヘルパーが出入りする
- リビングを通らず寝室へ案内したい
- 車いすやストレッチャーでの搬送を想定する
- 医療・介護用品の搬入が多くなる可能性がある
国土交通省のガイドラインでも、寝室から屋外へ直接出入りできるようにしておくと、家族のプライバシーを確保しながら外部の介護サービスを利用しやすいとされています。国土交通省「高齢期の住まいの改修ガイドライン」
ただし、外部出入口を増やすと、防犯・断熱・台風時の雨仕舞に影響します。専用玄関を設けるより、玄関近くに介護用寝室を配置する方が合理的な場合もあります。
おすすめの間取り
理想的なのは、次のような関係です。
駐車場所 → 屋根付き玄関 → 短い廊下 → 寝室 → トイレ・洗面脱衣室・浴室
寝室、トイレ、洗面脱衣室、浴室を近くにまとめると、本人の移動と介助者の負担を減らせます。
特におすすめしたい配置は次のとおりです。
- 介護用寝室を1階に置く
- 寝室を玄関の近くに置く
- 寝室からトイレまで数歩で行けるようにする
- トイレと洗面脱衣室を隣接させる
- 寝室から直接洗面脱衣室へ入れるようにする
- 廊下を短く、曲がり角を少なくする
- リビングを通らず寝室へ行ける経路をつくる
- 必要に応じて寝室から屋外へ出られる掃き出し窓を設ける
通路・出入口の広さ
将来の車いすや介助を考える場合の設計目安です。
| 場所 | 推奨する目安 |
|---|---|
| 玄関ドアの有効開口 | 800~900mm程度 |
| 室内ドアの有効開口 | 800mm以上 |
| 介助を想定する廊下 | 900mm以上 |
| 介助者とのすれ違い | 1,200mm程度あると安心 |
| 車いすの方向転換 | 直径1,500mm程度 |
| 寝室のベッド横 | 介助側に800~1,000mm程度 |
| ベッド足元 | 900mm以上を目安 |
これらはすべての戸建住宅に義務付けられる寸法ではなく、介護を想定した設計目安です。身体状態や車いす、介護ベッド、移乗用リフトによって必要寸法は変わります。
国の指針では、玄関・トイレ・浴室・食事室・洗面脱衣室を、高齢者の寝室と同じ階に配置する考え方が示されています。国土交通省「高齢者住宅の設計指針」
ヘルパーが使う設備も準備する
手洗い場所
玄関から寝室へ向かう途中に洗面台があると便利です。
- 帰宅後・訪問時にすぐ手洗いできる
- 介護用品を洗える
- タッチレス水栓にすると操作しやすい
- ペーパータオルや消毒用品を置ける
家族の洗面台とは別に、玄関近くへ小型手洗い器を設ける方法もあります。
介護用品の収納
紙おむつ、手袋、清拭用品、着替え、シーツなどを寝室付近に収納します。
- ヘルパーがすぐ取り出せる
- 家族の私物と分けられる
- 扉に内容を表示できる
- 使用済み用品の一時保管場所も決める
- 廊下に段ボールや用品を置かずに済む
玄関から収納までの動線も短くすると、定期的な物品搬入が楽になります。
電源・通信環境
将来の介護ベッドや医療機器に備え、寝室にはコンセントを多めに設けます。
- 介護ベッド用専用コンセント
- 電動リフト用電源
- 酸素濃縮器などの医療機器用電源
- 見守りカメラや緊急通報機器用電源
- Wi-Fiが確実に届く環境
- 停電時の非常電源を接続できる場所
延長コードはつまずきの原因になるため、ベッドの左右と足元に分散して設けます。
家族のプライバシーを守る工夫
ヘルパーが出入りする場合、動線だけでなく視線も大切です。
- 玄関からリビングやキッチンが丸見えにならない
- 寝室まで家族の個室前を通らない
- 引き戸や間仕切りで生活空間を分けられる
- 家族用収納と介護用品収納を分ける
- 必要なトイレ・洗面だけ利用できる
- ペットが飛び出さないよう建具を設ける
完全に分離すると本人が家族から孤立する可能性もあるため、普段はリビングとつながり、介護時だけ引き戸で仕切れる間取りが使いやすいでしょう。
家族不在時の鍵はどうする?
暗証番号式のスマートロックや、訪問者ごとに一時的な暗証番号を発行できる機器が便利です。
確認したい機能は次のとおりです。
- ヘルパーごとに暗証番号を設定できる
- 有効な曜日・時間を制限できる
- 入退室履歴を家族が確認できる
- 遠隔で解錠できる
- 電池切れ前に通知される
- 停電・通信障害時にも物理鍵で開けられる
- サムターン回しなどの防犯対策がある
鍵を植木鉢や郵便受けに隠す方法は、防犯上おすすめできません。スマートロックを採用する場合も、本人が自分で開けられる通常の操作方法を残します。
訪問入浴を想定する場合
訪問入浴では、分割された浴槽や給湯設備、ホースなどを室内へ搬入します。一般的な訪問介護より広い動線が必要です。
- 玄関から寝室まで段差をなくす
- 急な曲がり角を避ける
- 玄関前にサービス車両を一時駐車できるようにする
- 搬入経路の有効幅を確認する
- 給水・排水できる場所を近くに設ける
- 床を耐水性・耐久性のある仕上げにする
- 換気しやすくする
将来、訪問入浴を利用する可能性が高ければ、設計時に事業者やケアマネジャーへ搬入条件を確認すると安心です。
宮崎県で注意したい屋外動線
宮崎では台風や強い雨、夏の暑さを考慮します。
- 駐車場所から玄関まで屋根を設ける
- 介護車両が玄関近くに停められるようにする
- 雨に濡れても滑りにくい床材を選ぶ
- スロープに横から雨が吹き込みにくくする
- 夜間訪問に備えて足元照明を設ける
- 玄関に分かりやすい住居表示を設置する
- 屋外コンセントや電気設備に防水・浸水対策を行う
- 台風時に物が飛ばないようスロープ周辺を整理する
敷地に余裕があれば、福祉車両の乗降場所に幅と屋根を確保しておくと、車いすでの通院や送迎にも利用できます。
建替え時に準備しておきたい項目
- 1階に将来の介護用寝室を設ける
- 寝室・トイレ・浴室を近接させる
- 玄関から寝室まで段差をなくす
- 引き戸と十分な有効開口を確保する
- 廊下の曲がり角を少なくする
- ベッド周囲に介助スペースを確保する
- 介護用品収納と手洗いを近くに設ける
- コンセント・通信設備を多めに設ける
- 外部から寝室へ直接入れる将来案も検討する
- 家族の生活空間を守れる間仕切りを設ける
専用玄関を設けることより、「玄関から介護する場所までの短く、広く、段差のない動線」を確保することが重要です。 設計が進んだ段階で、ケアマネジャー、理学療法士、作業療法士などに図面を確認してもらうと、将来の改修を減らせます。








