「住宅性能を高めると、子どもが健康に育つのでしょうか?」
「断熱や換気は、子どもの健康にも関係しますか?」
家づくりを検討しているご家族から、このようなご質問をいただくことがあります。
先に結論をお伝えすると、住宅性能を高めれば病気を完全に防げるわけではありません。しかし、暑さや寒さ、結露、カビ、ダニ、室内の空気環境を改善しやすくなるため、子どもが健やかに暮らせる住環境づくりにつながります。
子どもの健康には、体質、食事、睡眠、運動、感染症、生活習慣など、さまざまな要因が関係します。
そのため、「高性能住宅なら病気にならない」と断定することはできません。
一方で、子どもが長い時間を過ごす住宅の温度や湿度、空気の状態を整えることは、家づくりでできる大切な健康対策の一つです。
子どもは室内環境の影響を受けやすい
小さな子どもは、自分で暑さや寒さを正確に伝えたり、衣服やエアコンを調整したりすることが十分にできません。
また、大人よりも床に近い場所で過ごす時間が長くなります。
- 床で遊ぶ
- ハイハイをする
- 昼寝をする
- 床に落ちた物に触れる
- 手やおもちゃを口に入れる
そのため、床付近の冷えやホコリ、ダニの死骸やふんなどの影響にも配慮する必要があります。
大人が立った状態で感じる室温だけでなく、子どもが過ごす床付近の温度と空気環境まで考えることが大切です。
住宅性能と子どもの健康を考える5つのポイント
子どもの健康と関係する住宅環境は、主に次の5つです。
- 冬の寒さ
- 夏の暑さ
- 部屋ごとの温度差
- 結露・カビ・ダニ
- 換気と室内空気
どれか一つだけを改善するのではなく、住宅全体でバランスを取る必要があります。
1.冬の寒さと子どもの健康
宮崎は温暖な地域という印象がありますが、冬の朝晩は室温が大きく下がる住宅もあります。
特に断熱性能が低い家では、
- 暖房しているリビングだけが暖かい
- 廊下やトイレが寒い
- 子ども部屋が冷える
- 窓際や床付近が寒い
- 暖房を止めると急激に室温が下がる
という状態が起こります。
国土交通省が紹介する調査では、床付近の室温が16.1℃未満の住宅では、16.1℃以上の住宅と比較して、喘息の子どもが約2倍だったという関連が報告されています。国土交通省「健康&快適生活|家選びの基準変わります」
これは、室温だけが喘息の原因だと証明するものではありません。しかし、子どもが過ごす床付近の寒さを軽視できないことを示す資料の一つです。
断熱性能を高めると、暖房した熱が逃げにくくなり、床付近や窓際の温度も保ちやすくなります。
2.夏の暑さと熱中症
宮崎の家づくりでは、冬の寒さだけでなく、夏の暑さへの対策が欠かせません。
子どもは遊びや睡眠に夢中になり、自分の体調変化に気付きにくいことがあります。特に乳幼児は体温調節機能が十分に発達していないため、室内でも暑さへの注意が必要です。
高断熱住宅は、外の熱を室内へ伝えにくくし、冷房した室温を保ちやすくします。
ただし、高断熱にするだけで夏も自動的に涼しくなるわけではありません。
窓から強い日差しが入ると、その熱が室内にこもる場合があります。
宮崎では、
- 深い軒や庇
- 外付けシェード
- 西側の窓を大きくしすぎない設計
- 方角に合ったLow-Eガラス
- 適切なエアコン配置
- 除湿計画
を断熱性能とセットで考える必要があります。
3.部屋ごとの温度差
断熱性能が低い住宅では、リビングと廊下、子ども部屋、洗面脱衣室などに大きな温度差が生まれます。
子どもは、家の中のさまざまな場所を移動します。
暖かいリビングだけでなく、
- 朝起きる寝室
- 着替える場所
- 洗面脱衣室
- トイレ
- 廊下
- 子ども部屋
まで温度差を小さくすることが重要です。
環境省の住宅情報でも、高断熱住宅は室内の温度変化や部屋ごとの温度差を抑えやすく、子どもが暮らす住宅では、より暖かい室内環境が求められると説明されています。環境省「住宅脱炭素NAVI」
家族が集まるリビングだけを強く暖房するのではなく、家全体を少ないエネルギーで穏やかな温度に保てることが、高性能住宅のメリットです。
4.結露・カビ・ダニとアレルギー
断熱性能が低い窓や壁は、冬に表面温度が下がりやすく、結露が発生することがあります。
結露を放置して湿った状態が続くと、窓枠、カーテン、壁紙、家具の裏、押入れなどにカビが発生しやすくなります。
また、高温多湿な環境やホコリ、食べこぼし、カビなどは、ダニが増えやすい条件になります。
カビの胞子やダニの死骸・ふんなどは、体質によってアレルギー症状に関係する可能性があります。
厚生労働省の検討会でも、カビ、ダニ、ペットなどは居住環境におけるアレルギーに関係する要素として挙げられています。同時に、住宅の仕様だけでなく、換気や暖房方法などの生活習慣も大きく影響すると説明されています。厚生労働省「アレルギー疾患対策推進協議会議事録」
つまり、住宅性能を高めるだけでなく、
- 結露を防ぐ
- 湿度を管理する
- ホコリをためない
- 寝具を洗濯・乾燥する
- 換気設備を正しく使う
ことも必要です。
5.換気と室内の空気
近年の住宅では、24時間換気設備が設置されています。
換気には、
- 人が吐き出した二酸化炭素
- におい
- 調理や入浴で発生した湿気
- 建材や家具などから発生する化学物質
- 室内に持ち込まれた汚染物質
を排出し、新鮮な外気を取り入れる役割があります。
「窓を開ければ十分」と思われるかもしれませんが、雨、強風、防犯、騒音、花粉などによって、いつでも窓を開けられるとは限りません。
特に宮崎では、梅雨や夏に窓を開けると、高温多湿な外気を大量に取り込むことがあります。
そのため、窓開けだけに頼らず、機械換気を基本とした安定した空気の流れをつくることが大切です。
高気密住宅は空気が悪くなる?
高気密住宅だから空気が悪くなる、というわけではありません。
建物の隙間が多い住宅では、どこから空気が入り、どこから出るのかを管理できません。給気口から計画どおりに空気を取り入れるためにも、気密性能が必要です。
ただし、高気密住宅では換気設備を正しく運転することが前提になります。
- 24時間換気を停止しない
- 給気口を家具やカーテンで塞がない
- フィルターを定期的に清掃する
- 必要な換気風量を確認する
- キッチンや浴室の局所換気を使う
ことが重要です。
高断熱・高気密・計画換気は、別々の商品ではなく、一つの仕組みとして考えなければなりません。
室内湿度はどのくらいがよい?
室内湿度は、一般的に40~60%程度を一つの目安として管理します。
ただし、適切な湿度は室温、季節、家族の体調、建物の表面温度などによって変わります。
冬に加湿しすぎると、窓や壁で結露が発生し、カビやダニを増やす原因になることがあります。
反対に、湿度を下げすぎると、喉や肌の乾燥が気になる場合があります。
温湿度計を、
- リビング
- 寝室
- 子ども部屋
- 洗面脱衣室
などに設置し、感覚だけでなく数値で確認することをおすすめします。
子どもの睡眠と寝室環境
子どもの健やかな成長には、睡眠環境も大切です。
寝室が暑すぎたり寒すぎたりすると、寝つきにくくなったり、途中で目が覚めたりすることがあります。
また、寝具は汗や湿気を含みやすく、ダニが増えやすい場所でもあります。
寝室では、
- 夜間の室温を安定させる
- 湿度を確認する
- エアコンの風を直接当てない
- 寝具を定期的に洗濯・乾燥する
- ベッドや布団の下に湿気をためない
- ホコリを掃除しやすくする
- 朝起きたら寝具を乾かす
といった対策が必要です。
高断熱住宅は、暖房や冷房を止めた後も室温が変化しにくいため、睡眠中の急激な温度変化を抑えやすくなります。
子ども部屋だけを考えればよいわけではない
子どもの健康を考えるとき、子ども部屋の内装や設備に目が向きがちです。
しかし、乳幼児期はリビングで過ごす時間が長く、成長すると洗面、トイレ、寝室、廊下など、家全体を使うようになります。
そのため、
- 家全体の断熱性能
- 床付近の温度
- 部屋ごとの温度差
- 空気の流れ
- 日射の入り方
- 掃除のしやすさ
を考える必要があります。
一つの部屋に高性能なエアコンを付けるだけでは、住宅全体の環境は整いません。
掃除しやすい間取りも住宅性能の一部
ダニやハウスダストを減らすためには、日常的な掃除が欠かせません。
家づくりの段階で、次のような工夫を取り入れると、清潔な状態を保ちやすくなります。
- 床の段差を減らす
- 床に物を置かずに済む収納を設ける
- 家具の下を掃除できる寸法にする
- ホコリがたまりやすい凹凸を減らす
- カーペットを増やしすぎない
- 洗濯できるカーテンやカバーを選ぶ
- ロボット掃除機が通れる家具配置にする
- 換気フィルターを手入れしやすい位置に設置する
健康を考えた家とは、特別な設備をたくさん付けた家ではなく、毎日の手入れを続けやすい家でもあります。
自然素材を使えば健康住宅になる?
無垢材や漆喰などの自然素材には、それぞれ魅力があります。
しかし、自然素材を使用しただけで「健康住宅」になるとは限りません。
自然素材でも、製品によって接着剤や表面処理剤などの成分は異なります。また、調湿性のある内装材を使っても、住宅全体で発生する湿気をすべて処理できるわけではありません。
材料のイメージだけで判断せず、
- 製品の成分
- ホルムアルデヒド発散等級
- 清掃性
- 耐水性
- メンテナンス方法
- 家族のアレルギー歴
まで確認することが大切です。
強いにおいや化学物質に敏感なご家族がいる場合は、契約前に建築会社と医療機関へ相談しましょう。
子どもの健康を考えた設備計画
住宅設備を選ぶときは、機能やデザインだけでなく、健康と安全の視点も必要です。
暖房設備
室内で燃焼する開放型ストーブは、水蒸気や燃焼ガスを室内へ放出します。
結露や空気環境を考えると、高性能住宅ではエアコンなど、室内で燃焼しない暖房方式を基本に検討します。
冷房・除湿設備
宮崎では、各部屋へ冷気が届くか、湿度を下げられるかを確認します。
エアコンを設置しても、間取りや扉の開閉によっては、寝室や子ども部屋まで十分に冷えない場合があります。
換気設備
換気方式の名称だけでなく、給排気口の位置、換気量、フィルターの清掃方法まで確認します。
温湿度計
高価な設備ではありませんが、室内環境を数値で把握するために役立ちます。エアコンから離れた、子どもが実際に過ごす高さに設置しましょう。
家づくりで優先したい性能
子育て世帯の家づくりでは、キッチン、収納、内装などに目が向きやすくなります。
もちろん、家事のしやすさやデザインも大切です。
しかし、完成後に改善しにくいものから優先することをおすすめします。
- 耐震性と構造の安全性
- 防水・防湿・耐久性
- 断熱・気密・窓の性能
- 換気・冷暖房・日射計画
- 安全で掃除しやすい間取り
- 住宅設備・内装・デザイン
キッチンやトイレは将来交換できますが、壁の中の断熱・気密・防湿施工を直すには、大規模な工事が必要になります。
子どもが長い時間を過ごす家だからこそ、見えなくなる部分の性能を大切にしたいと考えています。
建築会社へ確認してほしいこと
子どもの健康を考えて家を建てる場合は、次の内容を確認しましょう。
- 断熱等級とUA値はいくつか
- 建築地の地域区分を確認しているか
- 窓全体のU値はいくつか
- 気密測定を全棟で行うか
- C値の目標を定めているか
- 断熱・気密施工を検査するか
- 換気方式と空気の流れはどうなるか
- 完成後に換気風量を確認するか
- エアコンの位置と能力を計算しているか
- 結露や夏型結露への対策があるか
- 室内干しの除湿計画があるか
- 使用する建材の発散等級を確認しているか
- 引き渡し後のフィルター清掃方法を説明するか
「健康住宅です」という言葉だけではなく、数値、施工方法、検査方法、維持管理まで確認することが重要です。
よくある質問
高性能住宅なら子どもは風邪をひきませんか?
住宅性能を高めても、感染症を完全に防ぐことはできません。
ただし、極端な寒さや暑さを抑え、適切に換気できる環境は、子どもが快適に休み、生活するための助けになります。
空気清浄機があれば換気は不要ですか?
空気清浄機と換気設備の役割は異なります。
空気清浄機は製品に応じて空気中の粒子などを減らしますが、二酸化炭素や湿気を屋外へ排出する換気の代わりにはなりません。
断熱等級が高ければ安心ですか?
断熱等級は重要ですが、それだけでは十分ではありません。
施工品質、気密性能、窓、換気、日射対策、冷暖房計画まで含めて確認する必要があります。
子どもにアレルギー症状がある場合はどうすればよいですか?
住宅環境の改善だけで自己判断せず、医療機関へ相談してください。
原因となる物質や症状は一人ひとり異なるため、診断や治療と並行して、湿度管理、換気、清掃、寝具の手入れなどを行うことが大切です。
私たちが考える、子どもの健康を守る家づくり
子どもの健康は、住宅性能だけで決まるものではありません。
しかし、家の寒さ、暑さ、結露、カビ、ダニ、空気環境は、家づくりによって改善できる部分です。
株式会社ツチモチとデザインハウス宮崎では、
- 断熱等級6を基本とした断熱計画
- 丁寧な気密施工
- 全棟での気密測定
- 第一種換気による計画的な空気の入れ替え
- 宮崎の強い日差しを防ぐ窓・軒の計画
- 高温多湿な夏を考えた冷房・除湿
- 結露を防ぐ防湿・通気設計
- 掃除と維持管理がしやすい間取り
- 耐震等級3と2×4面構造による安全性
を総合的に考えます。
北海道で学んだ冬の断熱・気密の考え方に、宮崎の強い日差し、高温多湿、台風への備えを組み合わせる。
それが、私たちの考える「宮崎型高性能住宅」です。
子どもが毎日触れる空気、床、壁、温度は、目には見えにくくても、家づくりで大切にしたい性能です。
設備やデザインだけでなく、子どもが一年を通して安心して過ごせる住環境を、新築時から考えておきましょう。








