株式会社ツチモチが運営する「デザインハウス宮崎」の町田です。
前回は、私たちが宮崎で断熱等級6をおすすめする理由についてお話ししました。
では、現在の最高等級である「断熱等級7」は、宮崎でも必要なのでしょうか。
先に結論をお伝えすると、
宮崎のすべての住宅に、必ず断熱等級7が必要だとは考えていません。
ただし、少ない冷暖房エネルギーで、より安定した室温を保ちたい方にとっては、宮崎でも十分に検討する価値があります。
大切なのは、等級の数字だけを追いかけるのではなく、建築地や間取り、暮らし方、予算とのバランスを考えることです。
断熱等級7とは?
断熱等級7は、住宅性能表示制度における断熱性能の最高等級です。
宮崎市や延岡市などが該当する7地域では、主なUA値の基準は次のようになります。
| 断熱等級 | UA値の基準 | 性能の位置づけ |
|---|---|---|
| 等級4 | 0.87以下 | 現行の省エネ基準 |
| 等級5 | 0.60以下 | ZEH水準 |
| 等級6 | 0.46以下 | ZEH水準を上回る |
| 等級7 | 0.26以下 | 現在の最高等級 |
UA値は、住宅の内部から外へどれくらい熱が逃げやすいかを示す数字です。数値が小さいほど、熱が逃げにくい住宅になります。
7地域の等級7はUA値0.26以下ですから、等級6の0.46以下と比べても、さらに高い断熱性能が求められます。国土交通省「住宅性能表示制度における上位等級の創設」
ただし、宮崎県内でも建築地によって5・6・7地域に分かれるため、実際の地域区分を確認して設計する必要があります。国土交通省「地域区分新旧表」
暖かい宮崎に最高等級は必要なの?
「北海道なら分かるけれど、宮崎で等級7はやり過ぎでは?」
そのように感じる方も多いと思います。
私も北海道で20年間住宅を販売し、宮崎へ移住するまでは、宮崎の冬をそれほど寒いとは考えていませんでした。
ところが実際に暮らしてみると、外の気温以上に家の中が寒く、朝起きたときや、お風呂に入るときの温度差に驚きました。
宮崎は北海道ほど外気温が低くありません。その一方で、従来は住宅の断熱や気密をあまり重視しなくてもよいと考えられてきたため、家の中の寒さが残りやすいのです。
断熱等級7は、単に北海道のような寒い地域のための性能ではありません。
外気温の影響を受けにくくし、室温をできるだけ安定させるための性能です。そのため、宮崎でも一定の効果があります。
宮崎で断熱等級7にするメリット
1.朝まで室温が下がりにくい
断熱性能が高くなるほど、暖房を止めた後も室内の熱が逃げにくくなります。
冬の朝にリビングや寝室が冷え切りにくくなり、布団から出るときのつらさを軽減できます。
住宅全体の温度が安定しやすくなるため、廊下やトイレ、脱衣室との温度差も小さくできます。
2.窓や壁の近くでも寒さを感じにくい
室温が同じでも、窓や壁の表面温度が低いと、私たちの体から熱が奪われ、寒く感じます。
断熱等級7では、壁や天井、床、窓などの性能を高めるため、室内側の表面温度が下がりにくくなります。
「エアコンの設定温度は高いのに、なぜか寒い」という不快感を減らしやすくなります。
3.少ない冷暖房で室温を保ちやすい
一度暖めたり冷やしたりした空気を外へ逃がしにくいため、冷暖房の負担を抑えられます。
国土交通省は、等級6・7の住宅について、暖冷房エネルギーの削減や室温低下の抑制などが期待できると示しています。国土交通省「省エネ性能に優れた断熱性の高い住宅の設計ガイド」
ただし、実際の電気代は、建物の大きさ、間取り、設定温度、家族の人数、設備の使い方などによって変わります。
「等級7なら必ず電気代がいくら安くなる」とは一概に言えません。
4.将来のエネルギー価格上昇に備えられる
住宅は、完成してから何十年も使い続けるものです。
設備は後から交換できますが、壁や屋根の中に入っている断熱材を、完成後に大きく増やすことは簡単ではありません。
建築時に高い断熱性能を確保しておくことは、将来の冷暖房費やエネルギー価格の変化に備えることにもつながります。
5.災害時にも室温が変化しにくい
台風などで停電し、エアコンが使えなくなった場合でも、断熱性能が高い家は外気温の影響を受けにくくなります。
もちろん、断熱性能だけで安全が保証されるわけではありません。しかし、冷暖房が停止したときに室温が急激に変化しにくいことは、暮らしの安心につながります。
宮崎では夏の日射対策が特に重要です
断熱等級7を目指すときに、宮崎で特に注意したいのが夏の日差しです。
断熱性能の高い家は、外からの熱を伝えにくい一方で、一度室内に入った熱も逃げにくくなります。
そのため、大きな窓から強い日差しが入る設計では、室内に熱がこもる可能性があります。
宮崎の等級7住宅では、断熱材を厚くするだけでなく、
- 窓の大きさと配置
- ガラスとサッシの性能
- 軒や庇の長さ
- 西日への対策
- 外付けブラインドやシェード
- 屋根や天井の断熱
- 適切な冷房・除湿計画
まで一緒に考える必要があります。
宮崎の高性能住宅は、冬の暖かさと夏の涼しさを同時に設計することが大切です。
等級7でも、隙間が多ければ性能を生かせません
断熱等級は、主に断熱性能を評価するものです。
家の隙間の少なさを示すC値は、断熱等級には直接含まれていません。
どれほど高性能な断熱材や窓を採用しても、建物に多くの隙間があれば、暖めたり冷やしたりした空気が逃げてしまいます。
等級7の性能を生かすためには、
- 適切な気密施工
- 気密測定
- 高性能な窓
- 熱橋対策
- 計画換気
- 冷暖房計画
- 丁寧な現場施工
が欠かせません。
断熱等級は、設計図上の数字だけで判断するものではありません。実際の施工品質まで含めて考える必要があります。
等級6と等級7、どちらを選べばよい?
私たちは、宮崎の家づくりでは、まず断熱等級6を一つのおすすめ基準として考えています。
等級6でも、気密・窓・日射遮蔽・換気・冷暖房を適切に設計すれば、宮崎の一般的な住宅として高い快適性を目指せます。
一方、次のような方には等級7を検討する価値があります。
- 寒さや暑さをできるだけ感じにくい家にしたい
- 家全体の温度差をより小さくしたい
- 小さな冷暖房エネルギーで暮らしたい
- 長く住む家だから、建築時に性能を高めておきたい
- 平屋やコンパクトな住宅を計画している
- 性能向上に必要な初期費用を確保できる
- 数字だけでなく、施工品質まで確認できる会社に依頼したい
反対に、等級7にするために予算を使い過ぎて、耐震性や防水性、メンテナンス性、生活に必要な間取りを犠牲にするのであれば、全体のバランスを考え直した方がよい場合もあります。
等級7にすれば、必ず快適になるわけではありません
家の快適性は、UA値だけでは決まりません。
同じ断熱等級7でも、窓の位置や大きさ、日当たり、気密性能、換気方式、エアコンの配置によって、実際の住み心地は変わります。
大切なのは、
「等級7の家を建てること」ではなく、「ご家族が快適に暮らせる家をつくること」
です。
等級7という数字は、その目的を実現するための一つの手段です。
私たちが考える宮崎型高性能住宅
断熱等級7は、宮崎には不要な性能ではありません。
より安定した室温と省エネルギーな暮らしを求める方にとっては、魅力的な選択肢です。
しかし、すべての方に必須とは限りません。
建築する地域、ご家族の暮らし方、住宅の大きさ、窓の計画、将来設計、建築費とのバランスを考え、等級6と等級7を選び分けることが大切です。
株式会社ツチモチとデザインハウス宮崎が目指しているのは、北海道の住宅仕様をそのまま宮崎へ持ってくることではありません。
北海道で学んだ断熱・気密の知恵を、宮崎の強い日差し、高温多湿な夏、そして意外に寒い冬に合わせて生かすことです。
最高等級という数字だけを目的にせず、一棟一棟に必要な性能を丁寧に考える。
それが、私たちの目指す「宮崎型高性能住宅」です。








