株式会社ツチモチが運営する「デザインハウス宮崎」の町田です。
高性能住宅について調べていると、「UA値」や「C値」という言葉をよく目にします。
UA値は設計段階で計算できますが、C値は計算だけでは分かりません。実際に完成した住宅で気密測定を行い、初めて確認できる数値です。
では、気密測定は本当に必要なのでしょうか。
先に結論をお伝えすると、法律上すべての住宅に義務付けられているわけではありません。しかし、私たちは、断熱等級6・7のような高性能住宅を建てるのであれば、気密測定は行った方がよいと考えています。
なぜなら、気密測定は単なる検査ではなく、丁寧に施工された家であることを確認する大切な工程だからです。
気密性能を示す「C値」とは?
C値とは、住宅全体にどれくらいの隙間があるかを示す数値です。
単位は「㎠/㎡」で、床面積1㎡当たりに何㎠の隙間があるかを表します。
例えば、床面積100㎡の住宅でC値が1.0の場合、建物全体の隙間を集めると約100㎠になります。およそ10cm四方の穴が開いているのと同じ面積です。
同じ住宅でC値が0.5なら、隙間の合計は約50㎠です。
C値は小さいほど隙間が少なく、気密性能の高い家になります。
ただし、「隙間が少なければ少ないほど、無条件によい」ということではありません。気密性を高めたうえで、計画された換気によって空気を入れ替えることが重要です。
UA値がよければ、気密測定は不要?
これは、よくある誤解です。
UA値は、壁・床・天井・窓などから、どのくらい熱が逃げるかを設計図と使用材料から計算した数値です。
一方、C値は施工後の住宅に実際に風を送り、建物にどれくらいの隙間があるかを測定した結果です。
| 比較項目 | UA値 | C値 |
|---|---|---|
| 表すもの | 熱の逃げにくさ | 建物の隙間の少なさ |
| 確認方法 | 設計・計算 | 現場で実測 |
| 主に影響するもの | 断熱材・窓・建物形状 | 施工の丁寧さ・納まり |
| 数値 | 小さいほど高性能 | 小さいほど隙間が少ない |
高性能な断熱材を使い、計算上のUA値をよくしても、施工部分に隙間が多ければ、そこから暖かい空気や冷たい空気が出入りしてしまいます。
つまり、UA値だけでは、実際に建てられた住宅の隙間までは確認できないのです。
気密測定はどのように行うの?
気密測定では、窓や玄関ドアを閉め、専用の測定器と大きなファンを設置します。
ファンを使って室内の空気を外へ出し、建物の内外に圧力差をつくります。そのときに、どれくらい空気が隙間から入ってくるかを測定し、住宅全体の隙間面積を算出します。
目で見ただけでは分からない小さな隙間も、数値として確認できます。
国土交通省の資料でも、気密化の主な目的として次の3点が示されています。
- 隙間からの空気の出入りによる熱損失を抑える
- 換気経路を明確にして計画的に換気する
- 壁の内部への湿気の流入を抑える
同資料では、国の気密性能基準は定められていないものの、HEAT20が目指すべき目安としてC値「0.7±0.2㎠/㎡」を示していることも紹介されています。国土交通省「省エネ性能に優れた断熱性の高い住宅の設計ガイド」
気密測定が必要だと考える5つの理由
1.実際の施工品質を数値で確認できる
気密性能は、断熱材や気密シートの種類だけでは決まりません。
壁と床の取り合い、窓まわり、配管や配線の貫通部分、コンセント、換気ダクトなど、一つひとつの施工が影響します。
「高気密仕様です」という説明だけでは、本当に隙間が少ない家になっているかは分かりません。
実測することで、初めて施工結果を確認できます。
2.断熱材の性能を生かせる
断熱材は、いわば冬のセーターです。
どれほど厚いセーターを着ても、冷たい風が中へ入れば寒く感じます。住宅の気密性は、その上に着る風を通しにくい上着のような役割を果たします。
断熱等級6や7を実現しても、隙間が多ければ本来の性能を十分に生かせません。
そのため、断熱と気密はセットで考える必要があります。
3.計画換気が働きやすくなる
「高気密にすると息苦しくなるのでは?」と心配される方もいらっしゃいます。
しかし、高気密住宅では空気を入れ替えないのではありません。24時間換気によって、必要な場所から空気を取り入れ、計画した経路を通して排出します。
隙間が多い住宅では、換気扇に近い隙間から空気を吸い込み、遠い部屋の空気が十分に入れ替わらないことがあります。
気密性を確保することは、換気を止めるためではなく、換気を計画どおりに働かせるために必要なのです。
4.壁の中への湿気の流入を抑えられる
宮崎は、夏の湿度が高い地域です。
住宅に隙間が多いと、湿気を含んだ空気が壁や天井の内部へ入り込むことがあります。壁の中で空気が冷やされると、見えない場所に結露が発生する可能性があります。
気密施工は、冷暖房効率だけでなく、壁の内部へ湿気が流れ込むのを抑えるうえでも重要です。
ただし、気密性だけで結露を防げるわけではありません。防湿層、通気層、断熱材、換気、冷房・除湿を宮崎の気候に合わせて設計する必要があります。
5.隙間を修正できる
気密測定の大きな目的は、よい数値を発表することだけではありません。
建築途中で測定すれば、数値が目標に届かなかった場合に、空気が漏れている場所を探して修正できます。
配管まわりや窓まわりなど、仕上げ工事の前であれば手直ししやすい部分があります。
測定は、施工を責めるためのものではなく、よりよい住宅に仕上げるための確認作業なのです。
測定するなら、いつがよい?
理想的なのは、建築途中と完成時の2回です。
1回目:建築途中
気密層が完成し、内壁や仕上げ材で隠れる前に測定します。
この段階なら、隙間が見つかった場合に原因を探し、修正しやすいという利点があります。
2回目:完成時
仕上げ工事や設備工事まで終わった状態で、最終的な気密性能を確認します。
完成後の測定結果が、実際にお客様へお引き渡しする住宅のC値です。
費用や工程の都合で1回だけ測定する場合は、測定時期と目的を住宅会社に確認しておくことが大切です。
C値はいくつならよいの?
国の省エネ基準や断熱等性能等級には、現在、全国一律のC値基準は定められていません。
そのため、住宅会社によって目標値が異なります。
一つの目安としては、まずC値1.0㎠/㎡以下を確実に実現できる施工体制があるかを確認するとよいでしょう。さらに高い性能を目指す場合は、C値0.5前後を目標とする考え方もあります。
ただし、小数点以下のわずかな差だけで住宅の良し悪しを決める必要はありません。
C値0.4と0.5の競争をするよりも、
- 全棟で測定しているか
- 測定条件が統一されているか
- 目標値を事前に示しているか
- 目標に届かなかった場合に修正するか
- お客様へ測定結果を渡しているか
- 換気計画まで確認しているか
を見る方が大切です。
「気密測定をしていない高気密住宅」には注意
住宅会社から「当社は高気密住宅です」と説明されたら、次のことを確認してみてください。
気密測定は、全棟で実施していますか?
モデルハウスや特定の住宅だけでよい数値が出ていても、これから建てるご自宅が同じ数値になるとは限りません。
気密性能には、設計だけでなく、現場で施工する職人さんの技術と丁寧さが大きく影響します。
そのため、平均値や過去の最高値だけでなく、「自分の家を測定してもらえるか」が重要です。
宮崎でも気密測定は必要です
気密測定は、北海道のような寒冷地だけに必要なものではありません。
宮崎でも、
- 冬の暖房した空気を逃がしにくくする
- 夏の高温多湿な外気の侵入を抑える
- エアコンを効率よく働かせる
- 計画換気を正常に機能させる
- 壁の内部への湿気の流入を抑える
ために、気密性は大切です。
特に断熱等級6や7を目指す住宅では、高い断熱性能を生かすためにも気密測定をおすすめします。
私たちが考える宮崎型高性能住宅
高性能住宅は、カタログに掲載された断熱材や窓を組み合わせるだけでは完成しません。
設計図に書かれた性能を、現場で丁寧に形にし、その結果を測定して確認するところまでが家づくりです。
株式会社ツチモチとデザインハウス宮崎が目指しているのは、性能の数字を競う家ではありません。
北海道で学んだ断熱・気密の考え方を、宮崎の冬の寒さと夏の高温多湿に合わせ、実際の暮らしの快適さにつなげることです。
気密測定は、家を高性能に見せるための検査ではなく、お客様との約束を数字で確認するための検査。
それが、私たちの考える「宮崎型高性能住宅」の大切な考え方です。








