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将来の介護に備えて、洗面台や浴室は広めにすべきですか?

はい、将来の介助や車いす利用を考えるなら、洗面脱衣室と浴室は設計段階で少し広めに確保することをおすすめします。

ただし、単純に広くするだけでは安全になりません。車いすの接近、介助者の立ち位置、出入口の幅、手すり、暖房、収納まで一体で計画することが重要です。

広すぎると手すりに届きにくくなり、冬場は暖まりにくく、掃除の負担も増えます。「必要な動作ができる広さ」を基準に考えましょう。

広さの目安

場所 一般的な住宅 将来の介助を考えた目安
洗面脱衣室 約2畳 約2.5~3畳
浴室 1616・約1坪タイプ 1620・約1.25坪タイプを検討
洗面台前 700~800mm程度 900~1,200mm程度
出入口 有効幅700mm前後 有効幅800mm程度を目標
車いす回転部分 ― 直径1,500mm程度が理想

ユニットバスの「1616」「1620」という名称は、必ずしも完成後の内法寸法と一致しません。カタログ上の浴室内寸法、浴槽寸法、ドアの引き残しを含めた有効開口を確認してください。

国土交通省の高齢者住宅向け設計指針では、一戸建て住宅の浴室について、基本レベルとして短辺1,300mm以上・内法面積2.0㎡以上、推奨レベルとして短辺1,400mm以上・内法面積2.5㎡以上という考え方が示されています。国土交通省「高齢者が居住する住宅の設計に係る指針」

洗面脱衣室は「介助者の立つ場所」を確保する

介護では、本人の横や後ろに介助者が立ち、着替え、整容、車いすからの移乗を手伝います。

必要なスペースは次のとおりです。

  • 車いすで洗面台へ正面または横から接近できる
  • 介助者が本人の横に立てる
  • 車いすを方向転換または切り返しできる
  • 脱衣用ベンチを置ける
  • タオルや着替えを座ったまま取れる
  • 歩行器や車いすを置いても出入口をふさがない
  • 洗濯物や収納ケースが介助スペースに出ない

2畳の洗面脱衣室でも使用できますが、洗面台、洗濯機、収納を置くと、実際に使える床面積は小さくなります。介助を想定するなら、約2.5~3畳を目安にするか、洗濯機を別のランドリールームへ移す方法があります。

車いす対応の洗面台

車いすで使う可能性がある場合は、洗面台の下へ膝が入る形にします。

  • 洗面台下をオープンにする
  • 排水管を奥へ寄せる
  • 給湯管に断熱カバーを付ける
  • 鏡を低い位置まで設ける、または角度を付ける
  • 水栓を手前に配置する
  • レバー式またはタッチレス水栓にする
  • コンセントを座ったまま届く位置に設ける
  • 洗面ボウルを深くしすぎない
  • 車いすのフットサポートが当たらないようにする

現時点では車いすを使用しない場合でも、洗面台下の収納を取り外せば膝入れ空間に変更できる製品があります。

浴室は1坪と1.25坪、どちらがよい?

1坪タイプが向く場合

  • 基本的に自立して入浴する
  • 手すりで動作を補助できる
  • 介助者が浴室内へ入る可能性が低い
  • 住宅全体をコンパクトにしたい
  • 暖まりやすさや掃除のしやすさを優先する

浴室が狭いと壁や手すりに手が届きやすいという利点もあります。

1.25坪タイプが向く場合

  • 介助者と一緒に浴室へ入る可能性がある
  • 車いすからシャワーチェアへ移乗する
  • 入浴用車いすを使用する可能性がある
  • 浴槽横に介助者が立つ必要がある
  • 訪問介護による入浴介助を想定する
  • シャワーベンチを常設したい

ただし、大きな浴槽にする必要はありません。浴室を広くしても浴槽まで大きくすると、またぎ込みや身体の保持が難しくなり、使用水量も増えます。

洗い場は広め、浴槽は身体が安定する大きさという組み合わせがシニアには適しています。

浴室の出入口が重要です

浴室を広くしても、入口が狭ければ車いすや介助者が入りにくくなります。

おすすめは次の仕様です。

  • 有効開口800mm程度を目標にする
  • 開き戸より引き戸を優先する
  • 3枚引き戸など広く開く扉を検討する
  • 出入口の段差をなくす
  • 脱衣室側へ水が流れない排水計画にする
  • 緊急時に外側から開けられる
  • 浴室内で倒れても扉が開けられる構造にする
  • 取っ手を握りやすい大型形状にする

国土交通省の車いす対応住宅の設計資料では、浴室の出入口について有効幅700mm以上という基本水準が示されています。介助を考える場合は、これを最低目標にせず、可能であれば800mm程度を確保した方が使いやすいでしょう。国土交通省「障害者の居住にも対応した住宅設計ハンドブック概要」

手すりは広さとセットで計画する

浴室を広くすると、壁や手すりが遠くなる場合があります。

設置を検討したい場所は次のとおりです。

  • 浴室出入口
  • 洗い場での立ち座り
  • 浴槽をまたぐ位置
  • 浴槽内で姿勢を保つ位置
  • 浴槽から立ち上がる位置
  • 脱衣室のベンチ周辺
  • 洗面台前

将来取り付ける場合でも、壁内部へ広い範囲に下地を入れておきます。手すり位置は右半身・左半身のどちらに麻痺が出るか分からないため、浴室の複数面に下地を準備すると安心です。

浴槽の形状にも注意する

シニア向け浴槽では、次の点を確認します。

  • またぎ高さが高すぎない
  • 浴槽縁に一度腰掛けられる
  • 浴槽内に滑り止めがある
  • 浴槽内で身体が前後に滑りにくい
  • 入浴用ボードを取り付けられる
  • 浴槽横に介助者が立てる
  • 排水栓を無理な姿勢で操作しなくてよい
  • 浴槽内の手すりに手が届く

宮崎県の住宅統計では、高齢者がまたぎやすい浴槽の高さとして、洗い場から浴槽縁まで約30~50cmが一つの考え方として示されています。宮崎県「住宅・土地統計調査・用語解説」

ただし、適切な高さは脚力、身長、関節の可動域によって異なります。低ければ必ず安全というわけでもありません。

洗面脱衣室とトイレを隣接させる方法

将来の介護では、洗面脱衣室、浴室、トイレを近くにまとめると便利です。

  • 入浴前後にトイレへ行きやすい
  • おむつ交換後に手洗いしやすい
  • 車いすの移動距離を短くできる
  • 介助用品をまとめて収納できる
  • 将来、間仕切りを外して一体利用できる

国土交通省も、トイレ・浴室・洗面脱衣室が隣接している場合、将来、間仕切りを撤去して広く使えるようにする方法を示しています。国土交通省「高齢期の住まいの改修ガイドライン」

新築時には、撤去予定の壁へ構造上重要な柱や筋交い、給排水管、分電盤を設けないようにしておくと、将来の改修がしやすくなります。

広くできない場合の備え

面積や予算に余裕がない場合は、最初から大きくしなくても、次の準備ができます。

  • 洗面台と収納を将来移動できるようにする
  • 洗濯機を別室へ移せる配管を準備する
  • 隣接する収納を撤去して拡張できるようにする
  • 間仕切りを非耐力壁にする
  • 引き戸の有効幅を確保する
  • 手すり下地を広い範囲に入れる
  • コンセント・給排水の増設余地を残す
  • 浴室を交換しやすい位置に配置する

固定収納を減らし、可動式収納を使うだけでも、将来の介助スペースを確保しやすくなります。

宮崎では暖房・湿気対策も重要

浴室や洗面脱衣室を広くすると、冬は暖まるまで時間がかかります。宮崎でも冬の脱衣室は冷えやすいため、次の対策を組み合わせます。

  • 洗面脱衣室に壁付け暖房または小型エアコン
  • 浴室に浴室暖房乾燥機
  • 浴室・洗面脱衣室の窓を小さくする
  • 高断熱窓を採用する
  • 外壁・床・基礎の断熱を連続させる
  • 梅雨時期に除湿できる設備を設ける
  • 滑りにくく乾きやすい床を選ぶ
  • 台風時にも換気設備から雨が入りにくい施工にする

広さだけでなく、温度差を小さくすることがヒートショック対策につながります。

おすすめする現実的な計画

シニアの建替えでは、次の仕様がバランスを取りやすいでしょう。

  • 洗面脱衣室は約2.5~3畳
  • 洗濯機を別室に置けるなら脱衣室を介助優先にする
  • 浴室は介助可能性に応じて1坪または1.25坪
  • 浴室出入口は800mm程度の引き戸
  • 洗面台下は将来オープンに変更可能
  • 脱衣用ベンチと車いすの置場を確保
  • 浴室・脱衣室に手すり下地を入れる
  • トイレ・寝室と近接させる
  • 暖房・換気・除湿設備を準備する

面積に余裕があれば広めに取る価値はありますが、広さより「介助者がどこに立ち、本人がどの方向へ移乗するか」を図面上で確認することが重要です。

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