株式会社ツチモチが運営する「デザインハウス宮崎」の町田です。
「断熱等級6だから暖かい家になる」
「高性能な断熱材を使っているから安心」
「トリプルガラスだから快適」
家づくりを検討していると、このような説明を聞くことがあります。
もちろん、断熱材や窓の性能は大切です。しかし、性能のよい材料を使えば、必ず高性能住宅になるわけではありません。
先に結論をお伝えすると、設計や材料が優れていても、施工が適切でなければ、本来の性能を十分に発揮できません。
高性能住宅は、「何を使うか」と同じくらい「どのように施工するか」が重要なのです。
カタログの性能と、完成した家の性能は違います
断熱材や窓のカタログには、それぞれ性能を示す数値が記載されています。
UA値も、設計図や使用する材料をもとに計算します。しかし、この数値は、計画どおりに正しく施工されることを前提としたものです。
例えば、断熱材の性能が高くても、
- 断熱材に隙間がある
- 必要な厚さが確保されていない
- 断熱材が押しつぶされている
- 配管まわりに断熱欠損がある
- 気密シートが破れている
- 窓まわりの処理が不十分
- 気密テープがしっかり接着していない
といった施工では、設計上の性能をそのまま発揮できません。
カタログに書かれた性能は、あくまで材料の性能です。
お客様が実際に暮らすのは、材料ではなく、現場で施工された住宅なのです。
断熱材は、入っていればよいわけではありません
断熱材は、住宅をすっぽり包むように連続して施工することが基本です。
冬に着るダウンジャケットをイメージすると分かりやすいと思います。
どれほど厚いダウンジャケットでも、一部分に穴が開いていたり、ファスナーが閉まっていなかったりすれば、そこから冷たい風が入ります。
住宅も同じです。
壁には断熱材がきれいに入っていても、柱との間、床と壁の取り合い、天井部分、窓の周囲などに隙間があれば、そこが熱の逃げ道になります。
このように断熱が途切れた部分を「断熱欠損」といいます。
断熱材は、種類や厚さだけでなく、家全体を切れ目なく包めているかが重要です。
気密施工の小さなミスが、大きな隙間になることも
気密性能は、住宅にある隙間の少なさを表します。
特に注意が必要なのは、次のような場所です。
- コンセントやスイッチの周辺
- 給排水管の貫通部分
- エアコン配管の周辺
- 換気ダクトの周辺
- 窓や玄関ドアの取り付け部分
- 壁と床、壁と天井の接合部分
- 柱や梁の入り組んだ部分
一か所ずつの隙間は小さく見えても、住宅全体に積み重なると、決して小さくありません。
隙間が多い家では、暖房した空気が逃げたり、夏の湿った外気が入り込んだりします。また、計画した換気経路が崩れ、換気扇から離れた部屋の空気が十分に入れ替わらない可能性もあります。
そのため、高気密住宅では、細部まで丁寧な施工が必要です。
防湿施工が不十分だと、壁の中で結露する可能性があります
宮崎は夏の気温が高く、湿度も高い地域です。
冷房中の室内と、湿った屋外との間には、温度差と湿度差が生まれます。
施工方法や建物の構成が適切でないと、湿気を含んだ空気が壁や天井の内部へ入り、見えない場所で結露する可能性があります。
また、冬には室内の暖かく湿った空気が、冷えた部分へ入り込むこともあります。
壁の中の結露は、室内の窓に付く結露と違い、簡単には気づけません。長期間続けば、断熱材の性能低下や木材の劣化、カビなどにつながることがあります。
ただし、単に気密性を高めれば解決するわけではありません。
断熱層、防湿層、気密層、通気層を宮崎の気候と施工方法に合わせて設計し、正しく施工することが大切です。
高性能住宅ほど、施工精度が重要です
一般的な住宅よりも、高性能住宅の方が施工精度の影響を受けやすいといえます。
高いUA値の性能を目指して断熱材を厚くしても、断熱が途切れていれば、その部分から熱が逃げます。
高性能な換気設備を採用しても、隙間が多ければ、計画した空気の流れをつくりにくくなります。
高価な窓を採用しても、窓まわりの断熱・気密・防水処理が不十分であれば、本来の性能を発揮できません。
設備や材料の性能が高くなるほど、それを生かす設計力と施工力が必要になります。
施工品質は、完成すると見えなくなります
家づくりで難しいのは、重要な部分ほど完成後に見えなくなることです。
断熱材、気密シート、防水シート、構造金物、配管まわりの処理などは、壁や天井を仕上げると確認できません。
完成した住宅を見学しても、壁紙や床、キッチンなどは確認できますが、その内側の施工品質までは分かりません。
だからこそ、工事中の確認が重要です。
- 断熱材を施工した後
- 気密層が完成した時点
- 壁や天井をふさぐ前
- 防水シートを施工した後
- 配管や配線の貫通工事後
など、適切なタイミングで確認し、写真を残しておく必要があります。
施工品質を確認する5つの方法
1.気密測定を実施しているか
C値は、完成した住宅の隙間の少なさを実測した結果です。
「高気密仕様」という説明だけではなく、一棟ごとに気密測定を実施しているかを確認しましょう。
できれば、仕上げ前と完成時の2回測定すると、隙間を見つけて修正しやすくなります。
2.断熱施工の検査をしているか
断熱材の厚さだけでなく、隙間やたるみ、欠損、押し込みがないかを確認する必要があります。
誰が検査し、どのような項目を確認しているのかを住宅会社へ聞いてみましょう。
3.工事中の写真を残しているか
完成後に見えなくなる部分を写真で記録してもらえるかも、大切な確認項目です。
写真があれば、将来のリフォームや設備交換の際にも役立ちます。
4.現場ごとの測定結果を提示しているか
モデルハウスや過去の最高記録ではなく、「自分の家」の測定結果を確認することが重要です。
平均値だけでは、一棟ごとの施工品質までは分かりません。
5.職人さんへ施工方法が共有されているか
高性能住宅は、設計担当者や現場監督だけではつくれません。
大工さん、電気工事業者、設備業者、窓の施工業者など、多くの職人さんが気密層や断熱層を理解している必要があります。
配管や配線のために気密層へ穴を開けた場合、誰が、どのように処理するのかまでルールを決めることが大切です。
第三者検査があれば、それだけで安心?
第三者検査は、施工品質を確認する有効な方法です。
ただし、一般的な検査ですべての断熱・気密施工を細部まで確認してもらえるとは限りません。
検査会社や検査の目的によって、確認する範囲が異なるからです。
「第三者検査があります」という言葉だけで判断せず、
- どの工程で検査するのか
- 断熱材や気密層も確認するのか
- 検査結果をお客様へ渡すのか
- 不具合が見つかった場合に再検査するのか
まで確認しておくと安心です。
安さだけで施工工程を減らさないことも大切です
高性能住宅の建築費には、断熱材や窓の費用だけでなく、丁寧に施工するための手間や検査費用も含まれています。
見積金額を抑えるために、
- 気密測定を省く
- 工事中の検査を減らす
- 必要な気密部材を減らす
- 工期を極端に短くする
- 現場管理の回数を減らす
といった調整をすれば、性能を確認する機会まで失う可能性があります。
もちろん、費用が高ければ必ず施工がよいわけではありません。
大切なのは、価格の内訳と、どのように施工品質を確認しているかを知ることです。
高性能住宅は「設計・材料・施工・検査」で完成します
高性能住宅に必要なのは、高価な材料だけではありません。
| 要素 | 主な役割 |
|---|---|
| 設計 | 気候や間取りに合わせて性能を計画する |
| 材料 | 必要な断熱・気密・耐久性能を確保する |
| 施工 | 設計と材料の性能を実際の建物に反映する |
| 検査・測定 | 計画どおりに施工されたか確認する |
この4つがそろって、初めて高性能住宅と呼べる家になります。
一つでも欠ければ、期待した暖かさや涼しさ、省エネルギー性を得られない可能性があります。
私たちが考える宮崎型高性能住宅
高性能住宅でも、施工が悪ければ意味がないのでしょうか。
まったく意味がなくなるとは限りませんが、本来期待していた性能を十分に発揮できなくなります。
だからこそ、性能はカタログや設計図の数字だけで判断してはいけません。
株式会社ツチモチとデザインハウス宮崎が目指すのは、断熱等級やUA値を表示するだけの住宅ではありません。
北海道で学んだ断熱・気密の考え方を宮崎の気候に合わせ、丁寧に施工し、検査や測定によって確認する。
設計上の性能を、実際の住み心地につなげること。
それが、私たちの目指す「宮崎型高性能住宅」です








