A.本当です。認定長期優良住宅を新築すると、住宅ローン減税、固定資産税、登録免許税、不動産取得税などの優遇を受けられる可能性があります。
ただし、シニア世帯では年金収入のみなど、所得税・住民税の納税額が少ないケースがあります。その場合、住宅ローン減税や投資型減税を十分に使い切れないことがあります。
したがって、「長期優良住宅にすれば必ず大幅に得をする」のではなく、追加建築費・認定費用・維持管理費と、実際に受けられる減税額を比較することが重要です。
長期優良住宅で受けられる主な税制優遇
| 税金・制度 | 一般住宅との主な違い | シニアの注意点 |
|---|---|---|
| 住宅ローン減税 | 借入限度額が大きい | 納めている税金以上には戻らない |
| 投資型減税 | 現金建築でも利用可能 | 所得税が少ないと効果が小さい |
| 固定資産税 | 2年間長く2分の1軽減 | 比較的利用しやすい |
| 登録免許税 | 保存登記などの税率が低い | 減税額は比較的小さい |
| 不動産取得税 | 課税標準の控除額が100万円多い | 宮崎県への申請が必要な場合がある |
国土交通省も、認定長期優良住宅について、所得税・固定資産税・登録免許税・不動産取得税の軽減制度を案内しています。国土交通省「認定長期優良住宅を取得したときに利用できる減税制度」
1.住宅ローン減税
2026年から2030年までに認定長期優良住宅へ入居する場合、一定の要件を満たすと、年末の住宅ローン残高の0.7%を所得税などから最長13年間控除できます。
2026年入居の主な内容
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 控除率 | 年末ローン残高の0.7% |
| 控除期間 | 最長13年間 |
| 借入限度額 | 原則4,500万円 |
| 子育て世帯等 | 5,000万円 |
| 所得要件 | 合計所得金額2,000万円以下 |
| 返済期間 | 10年以上 |
| 床面積 | 原則40㎡以上など |
一般的なシニア夫婦や単身シニアで、19歳未満の扶養親族がいない場合は、借入限度額は原則4,500万円です。
住宅ローン残高3,000万円の場合
年末残高が3,000万円なら、計算上の年間控除額は次のようになります。
3,000万円×0.7%=21万円
ただし、所得税と控除対象となる住民税が合計21万円未満なら、原則として21万円全額を使い切ることはできません。
シニアは「税額不足」に注意
例えば、年金収入が中心で、年間の所得税などから実際に控除できる額が8万円程度なら、計算上の住宅ローン控除が21万円あっても、全額が現金で戻るわけではありません。
住宅ローン減税は、
ローン残高×0.7%
または
実際に控除できる所得税・住民税
の範囲で効果が決まります。
「最大13年間」という数字だけで借入額を増やさないことが、シニアの資金計画では重要です。
2.現金で建てても使える「投資型減税」
退職金や預貯金を使い、住宅ローンを組まずに建てる場合は、「認定住宅等新築等特別税額控除」、いわゆる投資型減税を選択できる可能性があります。
2026年中に入居する場合、一般的には次の計算が基本です。
標準的な性能強化費用相当額×10%
2026年入居の場合、標準的な性能強化費用相当額は原則として、
4万5,300円×床面積
上限650万円
とされ、計算上の最大控除額は65万円です。
ただし、実際に長期優良住宅にするために追加した費用の10%をそのまま控除する制度ではありません。国が定めた床面積当たりの標準額で計算します。
また、これは補助金ではなく所得税の税額控除です。年金収入のみで所得税がほとんどかからない人は、現金で建てても大きな減税を受けられない可能性があります。
住宅ローン減税と投資型減税は併用できず、いずれかを選択します。国土交通省「認定住宅等新築等特別税額控除」
3.固定資産税の軽減期間が2年間長い
新築住宅では、一定の床面積要件などを満たすと、建物の固定資産税が2分の1に減額されます。
| 住宅 | 戸建住宅の軽減期間 |
|---|---|
| 一般の新築住宅 | 3年間 |
| 認定長期優良住宅 | 5年間 |
つまり、長期優良住宅は一般住宅よりも、2年間長く固定資産税の2分の1軽減を受けられます。
これは所得税額に左右されないため、年金生活のシニアにも効果が出やすい優遇です。国土交通省「新築住宅に係る税額の減額措置」
6年目に増税されるわけではない
長期優良住宅の戸建てでは、6年目から固定資産税が通常額に戻ります。税率が上がるのではなく、5年間の軽減期間が終了するものです。
老後の資金計画では、6年目以降の固定資産税を通常額で見込んでおきます。
4.登録免許税が軽減される
住宅を新築すると、建物の所有権保存登記などに登録免許税がかかります。
認定長期優良住宅の所有権保存登記では、一般住宅より低い税率が適用されます。
| 登記 | 一般住宅の軽減税率 | 長期優良住宅 |
|---|---|---|
| 所有権保存登記 | 0.15% | 0.1% |
例えば、登記上の建物価格が2,000万円なら、単純計算では次のようになります。
- 一般住宅:2,000万円×0.15%=3万円
- 長期優良住宅:2,000万円×0.1%=2万円
- 差額:1万円
実際の登録免許税は、建築工事費ではなく所定の課税価格を基に計算します。
減税効果はありますが、長期優良住宅にするための追加費用を、登録免許税の軽減だけで回収できるほど大きな金額ではないことが一般的です。
5.宮崎県の不動産取得税が軽くなる
新築住宅の不動産取得税は、建物の固定資産評価額に相当する価格から一定額を控除して計算します。
宮崎県では、2026年8月現在、次の控除額が案内されています。
| 住宅 | 課税標準からの控除額 |
|---|---|
| 一般の新築住宅 | 1,200万円 |
| 認定長期優良住宅 | 1,300万円 |
長期優良住宅は、一般住宅より控除額が100万円多くなります。
住宅の税率を3%とした場合、条件によっては、
100万円×3%=最大3万円程度
の差になる可能性があります。
ただし、もともとの建物評価額が一般住宅の控除額以内なら、長期優良住宅による追加効果が出ないこともあります。宮崎県「不動産取得税」
シニア世帯にとってのメリット
1.固定資産税の軽減は所得に左右されにくい
住宅ローン減税や投資型減税は、納めている所得税が少ないと効果も小さくなります。
一方、固定資産税の軽減は、年金額が少ない人でも一定の要件を満たせば利用できるため、シニアにも効果が分かりやすい制度です。
2.高い耐震性を確保しやすい
長期優良住宅では、耐震性について一定の基準が求められます。
宮崎県では地震への備えに加え、台風時にも建物へ大きな力がかかります。ただし、長期優良住宅の認定だけで台風対策がすべて保証されるわけではありません。屋根、窓、軒、外壁、防水などは宮崎の気候に合わせて別途検討する必要があります。
3.断熱性能により室温差を抑えやすい
断熱性能の高い住宅は、居室・廊下・洗面室・トイレなどの室温差を抑えやすくなります。
シニア世帯では、税金の軽減だけでなく、
- 冬の浴室・脱衣室の寒さ
- 夏の室内温度上昇
- 夜間のトイレ移動
- 冷暖房費
- 結露やカビ
など、健康と日常生活への効果も重要です。
4.修繕しながら長く住む前提で設計される
長期優良住宅は、単に丈夫な材料を使う住宅ではありません。
- 構造躯体の劣化対策
- 耐震性
- 省エネルギー性
- 維持管理・更新のしやすさ
- 維持保全計画
などについて認定基準を満たす必要があります。
配管や設備を交換しやすくしておけば、将来の修理時に床や壁を大きく壊すリスクを抑えられる可能性があります。
5.子どもへ残す場合の説明材料になる
長期優良住宅だから必ず高く売れる、相続税が安くなるという保証はありません。
ただし、認定通知書、設計図書、点検・修繕履歴が残っていれば、将来の売却や相続時に住宅の性能・管理状態を説明しやすくなります。
子どもが住まない場合でも、維持管理記録があることは中古住宅としての評価材料になります。
シニア世帯が注意したいデメリット
1.認定・性能向上の追加費用がかかる
長期優良住宅にするためには、一般的に次の費用が増える可能性があります。
- 構造計算・性能評価費用
- 長期優良住宅の認定申請費用
- 断熱・耐震性能向上費用
- 点検口や配管計画の追加費用
- 認定後の定期点検・修繕費
減税額だけで追加費用を回収できるとは限りません。
2.維持保全計画に沿った管理が必要
長期優良住宅は、完成後も維持保全計画に沿って点検・修繕し、記録を保管することが求められます。
認定を受けた後、何も管理しなくてよい住宅ではありません。計画に従った点検を行わない場合、行政から改善を求められたり、認定に影響したりする可能性があります。
3.小さな平屋では床面積要件を確認する
2026年入居の住宅ローン減税では、一定の条件下で床面積40㎡以上が対象ですが、所得や世帯区分によって50㎡以上が必要になる場合があります。
また、不動産取得税など、税目によって床面積要件が異なることがあります。
シニア向けのコンパクト平屋を計画する場合は、延床面積を決める前に各減税制度の要件を確認してください。
「みらいエコ住宅2026」の補助金はシニアも対象?
長期優良住宅の税制優遇と、新築補助金は別制度です。
2026年度の「みらいエコ住宅2026事業」では、長期優良住宅の新築補助は、原則として子育て世帯または若者夫婦世帯に限られます。
そのため、一般的なシニア夫婦・単身シニアは、長期優良住宅の税制優遇は受けられても、長期優良住宅の新築補助金75万円の対象外になる可能性があります。
一方、GX志向型住宅は年齢や子どもの有無を問わず対象で、宮崎県の多くの地域では110万円の補助対象になる可能性があります。
長期優良住宅の認定とGX志向型住宅の要件を両方満たせるか、設計段階で確認することがポイントです。
シニアに向いているかの判断基準
次の条件に当てはまる場合は、長期優良住宅のメリットを得やすいと考えられます。
- 住宅ローンを10年以上利用する
- 現役収入や課税される年金収入があり、所得税を納めている
- 建替え後20年以上住む予定
- 子どもへ住宅を残す予定がある
- 耐震・断熱・維持管理性能を重視する
- 点検・修繕記録を継続して管理できる
- 追加費用が減税・光熱費・修繕性に見合っている
反対に、次の場合は税制メリットが小さくなる可能性があります。
- 年金収入のみで所得税がほとんどかからない
- 住宅ローンを使わない
- 小規模な住宅で認定の追加費用割合が大きい
- 将来売却・相続する予定がなく、居住予定期間も短い
- 維持保全計画に沿った点検費用を負担したくない
結論
長期優良住宅を建てると、税負担が軽くなるのは本当です。
特に次の優遇があります。
- 住宅ローン減税:年末残高の0.7%、最長13年間
- 現金建築:投資型減税を選択できる可能性
- 固定資産税:戸建ては5年間、2分の1軽減
- 登録免許税:所有権保存登記などの税率軽減
- 宮崎県の不動産取得税:控除額が1,200万円から1,300万円へ拡大
ただし、シニア世帯では所得税額が少なく、住宅ローン減税や投資型減税を使い切れないことがあります。
そのため、シニアにとっての本当のメリットは、減税だけではなく、耐震性・断熱性・修繕のしやすさを高め、老後に大きな修理負担を発生させにくい住宅をつくることにあります。
「減税額」だけで決めず、認定・性能向上にかかる追加費用、実際の納税額、居住予定年数を比較して判断することが大切です。
※税制・補助制度の内容は2026年8月16日時点です。








